イブプロフェンとは、痛みを和らげたり、熱を鎮めたりする解熱鎮痛作用のある成分の1つであり、市販薬の解熱鎮痛剤の成分としても用いられています。イブプロフェンを有効成分とする市販薬の解熱鎮痛剤だと、イブクイック頭痛薬などが有名ですね。
しかし皆さんは、こういった市販薬の解熱鎮痛剤に含まれている成分の副作用によって、重度の発作が表れてしまうことがあるということをご存知でしょうか?そしてこれは、イブプロフェンに限らず、ロキソニンの有効成分であるロキソプロフェンやボルタレンの有効成分であるジクロフェナクナトリウムなど、市販薬の解熱鎮痛剤の有効成分として使用されているものはほとんどのものがその副作用として発作を誘発する原因になります。これは何故かというと、市販薬の解熱鎮痛剤はそれぞれその有効成分は異なりますが、どの有効成分も皆同じ作用によって痛みや熱を緩和させ、ある特定の人によってはこの作用が発作を誘発する原因となってしまうからです。
少し分かりずらいと思うので補足します。まず、皆さんは、なぜ市販薬の解熱鎮痛剤にはロキソニン、バファリン、ボルタレンなど、様々な種類のものがあるのだろうと不思議に思ったことはないでしょうか?どうせなら、1番良い解熱鎮痛剤が1種類だけおいてあれば良いですよね?とは言え、使う人にとっては何をもってして1番というかにもよるのですが(子供や妊婦では効き目が弱い方が良い時もあるため)、このように多くの種類の解熱鎮痛剤があるのは、ぞれぞれその成分の特許を持っている会社が異なるから、ということが大きく関係します。
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これは、解熱鎮痛剤に限らずに言えることなのですが、例えば、ある会社が優れた解熱鎮痛剤の成分を開発したとします。すると、その会社は直ちに特許をとることによって、その成分を独占して製造、販売することが出来るようになり、他の会社はその成分を製造することが出来なくなります。しかし、他の会社はこれに対抗して、新たに別の成分を開発して特許を取得し、それを新たに製造、販売するようになります。こういった競争が起こることによって、医薬品業界では日々新たな薬が開発されているわけです。しかし、人間の体の痛みや熱が生じるメカニズムというのは1つしかありませんので、どの会社も、その成分の構造は変えつつも、皆同じ作用をする成分を開発しているのです。
具体的には、市販薬の解熱鎮痛剤に含まれている成分は、皆痛みや熱の原因となるプロスタグランジンと呼ばれる成分の生成を抑えることによってその作用を発揮します。しかし、人によってはこのプロスタグランジンの生成の抑制が原因となって重度の発作が引き起こされてしまう方がおり、この副作用は現在アスピリン喘息と呼ばれています。アスピリンとは、アセチルサリチル酸という成分を主成分とする解熱鎮痛剤であり、解熱鎮痛剤の中では最も歴史の古いものの1つです。
ではこのアスピリン喘息とはいったいどのような病気なのでしょうか。今回の記事では、イブプロフェンという成分に着目して、アスピリン喘息に関する情報をまとめていきたいと思います。
目次
イブプロフェンとは?市販薬の解熱鎮痛剤の代表的な成分について説明します!

イブプロフェンとは解熱鎮痛剤の成分の一種であり、これを主成分とする市販薬は数多く販売されています。
イブプロフェンが含まれている代表的なお薬としては、先ほど挙げたイブクイック頭痛薬以外にも、ライオン株式会社から販売されているバファリンプレミアムやバファリンルナiなどがあります。このバファリンシリーズにはイブプロフェンを主成分とするもの以外にも、ロキソプロフェンナトリウム水和物を主成分とするもの(バファリンEX)やアセチルサリチル酸を主成分とするもの(バファリンA)などがあり、【バファリン】というお薬がただ一つの有効成分を取り扱っているいるわけではありません。解熱鎮痛剤の主成分を製造、販売する会社は別にあり、その成分を買い取って市販薬として販売するのがライオン株式会社などのメーカーというわけですね。
そもそも、バファリンという名前は、ライオン株式会社さんの公式サイトによりますと、胃にやさしいアセチルサリチル酸という意味であり、緩和するものを意味するBuffer(バッファー)と、Aspirin(アスピリン、一般名はアセチルサリチル酸)を組み合わせた造語なんだそうです。先ほども申し上げましたが、このアスピリンとは解熱鎮痛剤の成分の中で最も歴史の古いものになります。
では、数ある解熱鎮痛剤の成分のうち、イブプロフェンとはどのような成分であるのかまとめたいと思います。
イブプロフェンはプロスタグランジンの生成を抑えることによって熱や痛みを緩和する解熱鎮痛剤の成分であり、1960年代に初めて合成されました。それから約半世紀もたった現在でも広く用いられているということから、その効能の優秀さがうかがえますね。
イブプロフェンは風邪による発熱の緩和によく用いられますが、それ以外にも、頭痛、生理痛、神経痛、リウマチ、腰痛、筋肉痛そして手術後の炎症を鎮めるときなど、多岐にわたって用いられます。
イブプロフェンは、服用すると、約1~2時間ほどで効果が現れはじめ、4~8時間ほど効果が持続するといわれています。1日2回以上服用する場合は、次の服用まで4時間以上あけることが望ましいといわれており、また1回の服用は200mgまでで、1日最高3回、つまり600mgまでが服用の許容量となっています。
しかし、イブプロフェンは時に副作用を誘発することもあり、イブプロフェンの副作用としては、消化器の不調、食欲不振、腹痛、吐き気などが挙げられます。もしこういった副作用が現れた場合は服用を控え、ひどい場合には医師に相談をしましょう。
イブプロフェンと同じく、解熱鎮痛剤の代表的な成分にロキソプロフェンがあります。ロキソプロフェンとはロキソニンシリーズの他、数多くの市販薬の有効性分として用いられている解熱鎮痛剤の主要成分です。このロキソニンは市販薬の解熱鎮痛剤の中でも特に代表的なものですので、頭痛や生理痛を抑えるために普段から持ち歩いているという方も多いのではないでしょうか?
では、このロキプロフェンとイブプロフェンとでは、その効能にどのような違いがあるのかと言いますと、一般的に、イブプロフェンに比べてロキソプロフェンの方が解熱鎮痛作用は強いといわれています。しかし、人によってはロキソプロフェンよりもイブプロフェンの方が効くという方もいるようです。このように、解熱鎮痛剤の成分というのはその人の体質にもよるところがあるようですので、最終的に自分に合ったものを見つけることが大切ですね。
イブプロフェンは、現在は主に上に書いたような頭痛や生理痛などの症状緩和に用いられているのですが、いくつかの研究によりますと、このイブプロフェンは、アルツハイマー型痴呆や、パーキンソン病の予防に効果がある可能性が示されたそうです。
これらの病気は、現在でも治療法が確立されてない難病ですので、是非こういった症状に悩む患者を減らすことが出来るように研究が進んでほしいですね。
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アスピリン喘息とは?市販薬の解熱鎮痛剤が引き起こす重大な副作用について解説します…

上に書いたように、現在でも多くの方が利用し、応用も期待されているイブプロフェンですが、実はアスピリン喘息という副作用を誘発する可能性があります。
アスピリン喘息とは、現在大人の喘息患者の約10%ほどが患っている疾患で、子供の患者はほとんどいないことから、大人になってから後天的に発症する疾患であると考えられています。そのため、ある日突然発症してしまう可能性がありますので注意が必要です。
特にこの病気は、大人になってから気管支喘息を発症してしまった方に多く見られる合併症として知られています。気管支喘息とは、特に感染症を患っているわけでもないのに、気管支が慢性的に炎症を起こすようになる病気です。このように気管支が慢性的に炎症を起こすようになると、その影響から気管支がむくんで息苦しさを感じるようになるほか、何らかの刺激によって気管支が急激に収縮を起こし、呼吸が困難になる発作が起きてしまうことがあります。
気管支喘息に関する情報はこちら→【※気管支喘息とアスピリン喘息の違いとは?】その症状や原因、薬による気管支喘息の治療に関する情報はこちら…
近年こういった大人になってから気管支喘息を発症する患者は増加傾向にあります。その場合、感染症に伴って発症したり、季節の変わり目や、妊娠、出産による体調の変化をきっかけに発症してしまう方などがいます。特に感染症に伴って発症した場合、熱はひいたのに、いつまでも空咳(乾いた咳)や、息苦しさが続くという場合には、気管支喘息を発症している可能性がありますので、風邪の治りかけと勘違いをしないように注意が必要です。気管支喘息の発症が疑われる場合には、呼吸器内科の医師などに相談をするようにしましょう。
話を戻しますが、もしアスピリン喘息の症状を発症している場合、その方はイブプロフェンのような解熱鎮痛剤の成分を摂取すると、それから30分~1時間ほどで、鼻水、鼻づまりの症状や、重度の発作の症状が引き起こされてしまいます。
この症状は一般的にアスピリン喘息と呼ばれていますが、実はアスピリン以外の解熱鎮痛剤の成分によっても発症する恐れがあり、残念ながらその中にイブプロフェンも含まれています。これは、解熱鎮痛剤の成分というのは、最初にも申し上げましたように、ほとんどのものがプロスタグランジンの生合成阻害という同じメカニズムによって解熱鎮痛作用を示すからなんです。
では、何故アスピリン喘息の患者は市販薬の解熱鎮痛剤を服用するとその副作用として重度の発作が引き起こされてしまうのか、そのメカニズムについて説明するために、まずは、市販薬の解熱鎮痛剤はどのようにして熱や痛みの症状を緩和してくれるのか詳しくご説明したいと思います。
まず、私達の体に熱や痛みの症状があるとき、体内ではその原因となるプロスタグランジンと呼ばれる成分が合成されています。このプロスタグランジンは、痛みの原因となる炎症を引き起こす他、視床下部にある体温調節枢に作用することによって体温を挙げる働きなどがあります。つまり、イブプロフェンなどの市販薬の解熱鎮痛剤の成分は、このプロスタグランジンが合成されるのを防ぐよう働くことによって、プロスタグランジンによる熱や痛みの症状を緩和してくれるのです。
実際には、イブプロフェンなどの成分は、このプロスタグランジンがアラキドン酸と呼ばれる成分から合成される際に、その合成を促すように働くシクロオキシゲナーゼと呼ばれる酵素の働きを阻害することによってプロスタグランジンの生成を抑制します。つまりまとめますと、熱や痛みの原因となるプロスタグランジンを合成するためには、酵素シクロオキシゲナーゼの働きが不可欠なのですが、イブプロフェンなどの成分はこの酵素シクロオキシゲナーゼの働きを阻害する作用があるため、結果アラキドン酸→プロスタグランジンへの合成を抑制できる、というわけです。ここまでが、イブプロフェンなどの市販薬の解熱鎮痛剤の成分に期待される通常の作用になります。
しかし、アスピリン喘息の症状がある患者においては、イブプロフェンなどの成分によって、このアラキドン酸からプロスタグランジンへの合成が抑制されてしまうと、その副作用として、今度はアラキドン酸からロイコトリエンと呼ばれる成分を大量に合成してしまうと考えられています。
このロイコトリエンとは、アレルギー反応が起きた際に、肥満細胞からヒスタミンなどとともに体内に放出されるアレルギー症状の原因物質として知られていおり、鼻水などの粘液の分泌を促す他、気管支を収縮させる作用などがあります。つまりアスピリン喘息の患者は、イブプロフェンなどの成分を摂取すると、このロイコトリエンが大量に作られることによって、鼻水、鼻づまりや、発作等の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ロイコトリエンはアラキドン酸をもとに合成されるということは以前からわかっていましたが、なぜ特定の患者においてのみ副作用としてこのような急激な産生が起きてしまうのかは未だによくわかっていません。アスピリン喘息は未だにその治療法が確立していない難病ですが、もし発作が起きた時には、病院で気管支の筋肉を弛緩させるアドレナリンの注射などが有効であるとされています。もし、イブプロフェンなどの成分を摂取した後に、息苦しさなどを感じ、少しずつひどくなる場合には早めに医師に相談をするようにしましょう。
まとめ

今回の記事では、気管支喘息の患者の一部に見られるアスピリン喘息に関する情報や、副作用としてこの症状を誘発する恐れがあるイブプロフェンについて解説しました。
このアスピリン喘息の患者は、その合併症として好酸球性の副鼻腔炎を発症していることが多いことなどもその特徴として挙げられます。この好酸球性の副鼻腔炎とは、発症すると、慢性的な鼻づまりの症状が起きるのがその特徴です。つまり、気管支喘息の患者で、鼻づまりの症状があるという方は、イブプロフェンなどの市販薬の成分に過敏に反応してしまう可能性がありますので、十分に注意してください。
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今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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