アスピリン喘息とは、解熱鎮痛剤の成分によって鼻水、鼻づまりの症状や発作が誘発されてしまう疾患です。
この疾患は大人の喘息患者の約10%ほどにみられるといわれており、小児の患者はほとんどいないことから後天的に発症する疾患であると考えられています。
また、この疾患はアスピリン喘息と呼ばれていますが、アスピリン以外の解熱鎮痛剤の成分によっても引き起こされます。そのため、この疾患の患者は薬局で販売されているほとんどの解熱鎮痛剤が使用してはいけないといわれています。
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また、この疾患は解熱鎮痛剤の成分以外によっても引き起こされることが分かっています。例として、防腐剤として用いられるパラベンや、着色料の一種であるタートラジンなどがあります。
また、この症状は特定の果物によっても引き起こされる場合があるといわれています。普段多くの方が食する果物がこのような疾患の原因になるとは驚きですね。
今回の記事では、アスピリン喘息と果物との関連について説明していきたいと思います。(^^)
目次
アスピリン喘息と果物との関連とは?

解熱鎮痛剤の成分によって引き起こされるアスピリン喘息ですが、実は果物の摂取によって引き起こされる場合もあります。果物が好きな方も多いかと思いますが、気管支喘息の患者は果物を食べる際も注意が必要です。
症状を引き起こす果物としては、メロン、スイカ、パイナップル、キウイ、イチゴ、ラズベリー、杏子、ブドウ、プラム、柑橘類などが挙げられます。普段私たちが目にする果物ばかりですね。^^;
では、どうしてこのような果物によって症状が誘発されてしまうのでしょうか。その原因は、これらの果物はサリチル酸化合物を多く含んでいるという特徴あります。
サリチル酸化合物は古くから解熱作用のある成分として知られていました。果物の中にはサリチル酸メチルやサリシンと呼ばれる構造のものが多く含まれています。また、果物だけではなく、こういったものを含む植物や野菜もあります。
このサリシンとはラテン語で植物のヤナギを意味しており、一説によるとヤナギは紀元前400年ころから鎮痛のために使われていたといわれています。
その後、1830年にピリアという人物がこのサリシンを分解して得た物質はサリチル酸と命名され、その後鎮痛剤として用いられるようになりました。
しかし、このサリチル酸は酸性度が高く、服用すると胃痛を起こすという副作用がありました。そのためフェリックスホフマンという人物はこのサリチル酸をより副作用の少ないものにしようと研究を重ね、1897年についに、酸性度を弱め、安全性の高いアセチルサリチル酸が合成されました。
このアセチルサリチル酸が、現在も解熱鎮痛剤をして用いられるアスピリンです。合成がされてから100年以上もたっているのに、今も世界中で用いられているというのは素晴らしいですね。
このように、サリチル酸化合物に手を加え、安全性を考慮して作られたアスピリンですが、その作用がアスピリン喘息の患者にとっては発作を誘発する原因となってしまいます。
また、果物に含まれる、アスピリンに似たサリチル酸化合物も発作などを誘発する原因になってしまうと考えられています。
では、どうしてアスピリン喘息の患者は、アスピリンを服用すると発作などの症状が誘発されてしまうのでしょうか?次の項で詳しく説明したいと思います。
アスピリン喘息のメカニズムとは?
アスピリン喘息とは、解熱鎮痛剤の成分によって、摂取から約1時間以内に鼻水、鼻づまりの症状や発作が誘発されてしまう疾患です。現在大人の喘息患者の約10%ほどがこの症状を患っているといわれています。
では、どうして解熱鎮痛剤を服用するとこのような症状が誘発されてしまうのでしょうか。このメカニズムを説明するために、まずは解熱鎮痛剤がどのようにして解熱鎮痛作用を示すのか説明したいと思います。
まず、私たちが痛みを感じるとき、その患部では痛みの原因となる炎症が生じており、この炎症はプロスタグランジンと呼ばれる成分によって引き起こされています。
また、このプロスタグランジンは、体温調節枢に作用して、体温を挙げる働きもあります。熱も痛みもこのプロスタグランジンが原因で引き起こされているのです。
薬局で販売されている解熱鎮痛剤の成分は、このプロスタグランジンの生成を抑えることによって熱や痛みを鎮めることが出来るのです。
もう少し具体的に説明すると、このプロスタグランジンは私たちの体内でアラキドン酸と呼ばれる成分から合成されるのですが、その際シクロオキシゲナーゼと呼ばれる成分がこの合成を促します。
解熱鎮痛剤の成分は、このシクロオキシゲナーゼの働きを阻害することによってアラキドン酸からプロスタグランジンが生成されるのを抑えることが出来るのです。これが解熱鎮痛剤の作用メカニズムになります。
しかし、この疾患の患者は、シクロオキシゲナーゼの働きを阻害し、このアラキドン酸からプロスタグランジンへの流れを抑制してしまうと、アラキドン酸から新たにロイコトリエンと呼ばれる成分を定量に作り出してしまうと考えられています。
このロイコトリエンとはダニや花粉などによってアレルギー反応が起こった際に、肥満細胞から放出されるアレルギー症状を引き起こす原因物質です。そのため、アスピリン喘息の患者は解熱鎮痛剤を服用すると、この大量に作られたロイコトリエンによって気管支の収縮などが起こり、発作が引き起こされるのです。これがアスピリン喘息のメカニズムになります。
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アスピリン喘息患者の特徴とは?
アスピリン喘息の患者は、解熱鎮痛剤の服用以外でも症状が現れる場合や、この疾患の患者に共通する特徴などがあるため、もし心当たりがある方は、専門の病院へ行って検査を受けることをお勧めいたします。
まず、最初に述べたとおり、この疾患は防腐剤や着色料などの添加物によっても引き起こされます。着色料で誘発が確実なのはタートラジンと呼ばれるもので、黄色の着色料になります。防腐剤は、パラベンや安息香酸ナトリウムがこの疾患を誘発する可能性が高いといわれています。また、タートラジン以外の黄色の着色料もこの疾患を誘発する疑いがあるそうです。
その他には、先ほど説明したような果物が原因になることもあります。数ある果物の中でも、特にラズベリーはサリチル酸化合物を多く含んでいるそうなので、気管支喘息の患者で、ラズベリーを食べた後に息苦しさを感じたりした場合はこの疾患の可能性は高いと思われます。
果物以外に、野菜、香辛料、歯磨き粉などもこの疾患の症状を誘発する原因になる可能性があります。もし、何かを摂取した後に、呼吸器などに違和感を感じた場合は、摂取したものの原材料などの情報を調べてみるとよいかと思います。そこにサリチル酸化合物が含まれていたらアスピリン喘息の可能性が高いです。
また、この疾患の患者は、嗅覚障害などを併発している場合が多いといわれています。嗅覚障害を患うと、においがしづらくなります。この原因は鼻茸と呼ばれるポリープや副鼻腔炎という症状が原因であると考えられています。
もし気管支喘息の患者で、鼻茸や副鼻腔炎を併発している場合は、解熱鎮痛剤に過敏に反応してしまう可能性が高いといわれています。心当たりがある方は、解熱鎮痛剤の使用は控え、専門の病院で負荷試験によって検査を受けた方が良いでしょう。負荷試験とは、医師の管理のもと実際に解熱鎮痛剤の成分を用いて、症状が現れるかどうか確認するテストです。
まとめ
今回の記事ではアスピリン喘息と果物の関連などについてまとめました。
果物の中でも、杏子、ラズベリー、オレンジなどは、サリチル酸化合物を多く含んでいることが分かりました。気管支喘息の患者で、これらの果物の摂取後に息苦しさを感じた場合はアスピリン喘息かもしれません。
心当たりのある方は、解熱鎮痛剤の使用の際は十分に注意してください。もし解熱鎮痛剤の使用後に症状が現れてしまった場合は、酷くなる前に医師に診てもらって治療を受けてください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。(^^)
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