エナラプリルによって空咳が出てしまう方へ…

エナラプリルとはACE阻害薬というものに分類される、降圧剤の一種です。

血圧が普段から高いという方は、このエナラプリルを使用しているという方も多いと思いますが、実は、このエナラプリルはその副作用として空咳の症状が現れてしまう場合があります。

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では、なぜエナラプリルを使用すると空咳の症状が現れてしまうのでしょうか。また、エナラプリルを使用することによって苦しい空咳の症状が続いてしまう場合、どのように対処したら良いのでしょうか?

今回の記事では、エナラプリルが空咳を誘発してしまうメカニズムや、エナラプリルによって空咳が誘発されてしまったときの対処法に関する情報についてまとめていきたいと思います。

目次

エナラプリルとは?

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エナラプリルとは、最初にも説明しましたが、血圧を下げるために使用される、ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)というものに分類されるお薬です。では、まずこのエナラプリルがどのようにして血圧を下げる働きをするのかについて説明したいと思います。

まず、私達の体内では、普段様々な器官や成分の働きによって血圧の値が調節されているのですが、その中でも、特に大きな役割を担っているのが、アンジオテンシンⅡと呼ばれる物質です。

このアンジオテンシンⅡには血管の収縮作用や、腎臓におけるナトリウムや水分の排出を抑制し、血液量を増やすことによって血圧を上げる効果などがあります。

そして、このアンジオテンシンⅡは、アンジオテンシンⅠというものから作られるのですが、その際アンジオテンシン変換酵素と呼ばれる酵素の働きを借ります。

そこで、エナラプリルはこのアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害し、その結果血圧を上げるように働くアンジオテンシンⅡの合成を防ぐことによって、血圧を下げることが出来るのです。これがエナラプリルの作用メカニズムになります。

エナラプリルが空咳を誘発してしまう理由とは?

上記のように、非常に優れたメカニズムによって血圧の上昇を防いでくれるエナラプリルですが、実はエナラプリルを使用するとその副作用として空咳の症状が誘発されてしまう場合があります。

エナラプリルを使用すると誰もが空咳の症状が現れてしまうというわけではなく、使用者のうち約30%ほどがこの空咳の症状を訴えることがあるようです。また、特に女性に多くみられるそうです。

それでは、なぜエナラプリルを使用すると空咳の症状が誘発されてしまうのか、そのメカニズムについてまとめたいと思います。

まず、このエナラプリルは、先ほどアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害するといったのですが、実は、もう一つある作用も阻害してしまうことがわかっています。そのある作用とは、ブラジキニンと呼ばれる成分の分解作用です。

そして、エナラプリルの作用によって、この、ブラジキニンの分解作用が阻害されてしまうと、分解されなかったブラジキニンはどんどん体内に蓄積されていくことになります。

すると、蓄積したブラジキニンは、その後気道を刺激するようになってしまい、その結果気管支が反応して空咳の症状が現れるようになってしまうのです。これが、エナラプリルによって空咳が誘発されてしまうメカニズムになります。

ブラジキニンの刺激による咳は、風邪などの感染症による咳の症状ではないため、痰を含まない空咳の症状になります。

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エナラプリルによって空咳が出てしまう場合はどうしたら良いのか?

それでは、エナラプリルの作用によって、実際に空咳の症状が誘発されてしまう場合はどのように対処したら良いのでしょうか。

エナラプリルによって空咳が出てしまう場合、その最も有効な対処法は、薬を別のものに変えてもらうことです。エナラプリルのような血圧を下げるお薬で、副作用として空咳の症状が現れないお薬としては、現在アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、通称arbと呼ばれるお薬があります。

このアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は、アンジオテンシンⅡが作られるのを防ぐエナラプリルに対して、できたアンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを防ぐお薬になります。

このarbの場合はその副作用として空咳の症状が現れることはないようですので、もしエナラプリルによるひどい空咳の症状に悩んでいるという場合は、このarbの方に変えてみてもらってはいかがでしょうか。

では、なぜエナラプリルにはこうした副作用があると分かっているのに、arbが最初から処方されない場合があるのでしょうか。

実はエナラプリルなどのace阻害薬は高血圧症の治療に以前より使われていたお薬なのですが、arbの方は比較的最近登場したお薬ですので、まだその値段がエナラプリルなどと比較すると高価であるのがその理由として挙げられます。

そして、ace阻害薬も、絶対に空咳が誘発されるというものではないため、一度使ってみて、症状が現れてしまった場合はarbの方に変更するというのが一般的なようです。

まとめ

今回の記事では、高血圧症の治療に用いられるエナラプリルが空咳を誘発してしまう理由と、そのときどのように対処したら良いのかという情報についてまとめました。

エナラプリルは高血圧を治療するにあたって非常に優れたお薬であることは間違いありませんが、もし辛い空咳の症状が誘発されてしまう場合は、空咳の心配のないarbの方に変更してもらうようにしましょう。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。(^^)

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