※クループ症候群とは?保育園や学校にはいつから行けるの?

クループ症候群とは、主に風邪などの感染症に伴って発症することがあり、声嗄れや喘鳴(ぜんめい)、そして「ケンケンケン」といった、まるで動物が鳴いているかのような犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)と呼ばれる咳などを特徴とする症状のことを言います。厳密には、感染症だけではなく、アレルギー反応などもその原因になることがあるといわれていますが、そのほとんどは感染症によるものであると考えられています。

このクループ症候群は、まだ喉の構造が未発達である、生後数か月の赤ちゃんから、小さい子供において多くみられる症状として知られており、具体的には、喉の奥にある喉頭と呼ばれる部分が炎症を起こして腫れてしまうと、それに伴ってクループ症候群の症状がみられるようになってしまうことがあると考えられています。

このクループ症候群、普通は安静にしていれば、それほど特別な治療をせずとも治る病気とされているのですが、中には重症化してしまうケースもあるといわれているため、もし子供が変な咳をしていたら、早めにお医者さんに相談をすることが大切です。

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このクループ症候群は、その名前から何か特別な病気のようにも思えてしまいますが、厳密には風邪などの感染症に伴ってみられることがある症状の1つなので、そのクループ症候群の症状も、人から人へとうつるわけではありません。つまり、例えば自分の子供がクループ症候群と診断された場合、周囲の人間にその原因となっている細菌やウイルスはうつってしまうかもしれませんが、それによって必ず同じように変な咳が出るようになるというわけではないんです。

そもそも、この「クループ」という言葉は、実は初期近代英語の「馬のように鳴く」という意味を持つ、「croup」という動詞に由来しているそうです。つまり、風邪をひいてしまった際に、その喉の炎症が喉頭部分にまで及び、それによってまるで動物が鳴いているような咳が出てしまうものを、クループ症候群と呼ぶことになった、ということなんですね。

このクループ症候群は、特に保育園に通っているような小さな子供によく見られる症状として知られているのですが、もし、そういった保育園に通っている子供がクループ症候群と診断されてしまった場合、いつから保育園に行っても大丈夫なのか気になる方もいると思います。

そこで今回の記事では、クループ症候群とはいったいどのような症状なのかということについて詳しくまとめますとともに、自分の子供がクループ症候群と診断されてしまった場合、保育園や学校にはいつから行っても大丈夫なのかということについても詳しくまとめていきたいと思います。

目次

クループ症候群とは?そもそも風邪ってどんな病気なの?

それではまずはじめに、ではクループ症候群とはいったいどのような症状なのかということについて、ここで改めて詳しくまとめてみたいと思います。

最初に、このクループ症候群とは、風邪などの感染症に伴ってみられる症状の1つであるというお話をしたのですが、まず、皆さんはそもそも風邪っていったいどんな感染症なのかということについてこれまでに考えたことはありますでしょうか?

私たちにとって最も身近な感染症とも言っていい風邪ですが、この風邪っていったいどんな病原体が原因となって引き起こされているのか、そういえば考えたことが無いという方もいるのではないかと思います。

結論としては、風邪という病気はただ1つの病原体が原因となっているわけではなく、何らかの細菌やウイルスの感染が原因となって、上気道における急性の炎症が起きるものの総称のことを言います。つまり、風邪の原因は1つではないのです。

インフルエンザという感染症は、インフルエンザウイルスという特定のウイルスによって引き起こされますが、風邪はそうではありません。その原因はよくわからないけれども、何かの病原体が上気道に感染し、炎症が起きている状態を風邪と呼ぶのです。

ただ、その風邪を引き起こす細菌やウイルスにはどんなものがあるのか、ということはこれまでの研究からわかってきており、風邪の約8割はウイルス性であるといわれています。ちなみに、ここまで細菌やウイルスと書いていますが、この2つは同じ病原体ではあるのですが、その性質は全く異なります。この「細菌」と「ウイルス」の違いについては以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度目を通してみてください。

【ストップ】長引く咳は細菌感染症が原因かも!細菌とウイルスの違いや抗生物質に関する情報はこちら…

さて、ここまでをまとめると、風邪とは何らかの細菌やウイルス、特にウイルスの感染によって、上気道における急性の炎症がみられる病気という話になりますが、では次に、その上気道とはいったいどこなのかということについてみていきましょう。

こちらの図は、口や鼻などの空気の入り口から、肺までの空気の通り道を模式的に表した図になりますが、この空気の通り道は、先ほど言った上気道と、それより下の下気道という大きく2つの部分に分けることができます。

ここで注目していただきたいのが、その上気道という部分は、さらに大きく3つの部分に分けられるということです。図を見ていただけると分かると思いますが、この上気道はさらに、鼻腔咽頭喉頭という3つの部分に分かれていますよね。

そして、風邪とは上気道における急性の炎症がみられる感染症であるという話をしましたが、今回お話しているクループ症候群の症状は、この上気道のうち、その一番深い部分にある喉頭という部分にまで炎症が及んでしまった結果見られることがある症状として知られています。また、この喉頭の部分にはちょうど声帯があるため、喉頭が炎症を起こしてしまうと、声嗄れなどの症状もみられます。

実は、風邪をひいてしまった結果、喉頭にまで炎症が及ぶということ自体はなんら珍しいことではありません。これは、大人でも普通に炎症が起きてしまうことがあります。しかし、小さな子供の場合はまだ気管の構造自体が未発達であるため、この喉頭付近が炎症を起こして腫れてしまうと、その結果ケンケンケン、というような変わった咳の症状が表れてしまうことがあると考えられています。

クループ症候群の咳とは?重症化してしまうのはどんな時?

では、実際そのクループ症候群における咳はどんなものなのか、というのは以下の動画を参考にしてみてください。この動画を見ていただくと分かると思いますが、確かに、この動画の中の子供がしている咳は、ゲホゲホ、ゴホゴホというような普通の咳とはちょっと違いますよね。

今回お話しているクループ症候群の症状は、ちゃんと医師に相談をして治療を行えば、決して治療が難しい症状ではありません。症状がひどい場合にはステロイドなどを使って炎症を抑える処置が行われることもあるようですが、普通は通常の風邪と同じように治療が行われ、何より安静にしていることが重要になってきます。

しかし、このクループ症候群の患者の中には、時に命に係わるほどその症状が重症化してしまうことがある方もいると言います。これは、その喉頭の炎症が気管の蓋である喉頭蓋にまで広がってしまった場合で、このような症状は急性喉頭蓋炎と呼ばれています。

先ほど示した喉の構造を表した図を今一度見ていただきたいのですが、私たちの喉の管は途中までは1本であり、喉頭の部分で気管と食道とに分岐するということが分かりますよね。しかし、私たちがものを食べた時には、その食べ物はスムーズに食道へと流れていきます。

これって実はとってもすごいことなのですが、この、食べたものを飲み込むとき、その食べ物が気道の方に入らないように蓋をしてくれる器官が、先ほどその名前を挙げた喉頭蓋という器官になります。

近年ではご高齢の方の誤嚥性肺炎がよく問題として取り上げられていますが、これには、その喉頭蓋の機能低下が大きく関わっています。すなわち、加齢などの影響から喉頭蓋が上手く機能しなくなってくると、結果食べ物が肺の方に入ってしまう誤嚥が起き、これが肺内における病原体の増殖、及び肺炎を引き起こす原因になってしまうと考えられています。

そして、クループ症候群の患者の中にはその喉頭蓋が炎症を起こして腫れてしまい、その影響から呼吸が困難になり、最悪の場合命を落としてしまうほど症状が重症化してしまうという方もいるそうです。

この急性喉頭蓋炎の症状はそんなに頻繁に起こるようなものではないようですが、もちろん油断は禁物です。もし自分のお子さんが変な咳をしていたら、なるべくは早めに医師に相談をするようにしましょう。

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学校や保育園にはいつから行っていいの?

子供がクループ症候群と診断されてしまった場合、この病気はいつから学校や保育園に行っても大丈夫なのか、そもそも症状が治まったらすぐに保育園などに行っても良い病気なのかということについてよく知らない方は結構多いのではないかと思います。

感染症の中には、「インフルエンザ」や「百日咳」など、周囲への影響も考えて出席を停止しなければならないものもたくさんありますが、結論から言うと、この「クループ症候群」という症状自体はそういった出席停止の対象には含まれていません。

そのため、咳や熱が治まり、もう大丈夫かなとなるまでは様子を見て、常識の範囲内で判断して保育園や学校に行かせてあげるというような流れになるわけですが、ただ、一番良いのは医師に聞いてみることですね。もし子供のクループ症候群の症状が落ち着いてきたら、もう保育園などに行っても大丈夫なのかどうか、医師に相談をするのが間違いありません。

ただ、今回お話している「クループ症候群」はあくまで「症状」なので、その原因となっている感染症が出席停止措置の対象に含まれている場合には、それを守らなければなりません。

例えば、先ほどその名前を挙げたインフルエンザは出席停止措置の対象に含まれている感染症ですが、このインフルエンザもまた、クループの症状を引き起こす原因になることが分かっています。

また、ジフテリア菌による感染症もクループ症候群の症状を引き起こす原因になることが知られていますが、このジフテリアもまた出席停止措置の対象に含まれています。実は、ジフテリアの予防接種が一般的になる以前は、このクループ症候群の症状はしばしばジフテリアによって引き起こされることが知られており、ジフテリアによるクループを真性クループと呼ぶのに対し、それ以外のものは仮性クループと呼ばれ区別されていました。

今もこの区別自体が無くなったわけではないのですが、先ほども言いましたように、ジフテリアの予防接種が一般的になったため、真性クループの症状が表れる方はぐんと少なくなったといわれています。とはいえ、予防接種は100%その感染症を予防するというものではありませんので、この真性クループというものの存在と、ジフテリアは出席停止の措置の対象に含まれているということは是非覚えておくようにしましょう。

まとめ

今回の記事では、クループ症候群とはいったいどのような症状なのかということについて詳しくまとめますとともに、子供がクループ症候群と診断された場合には、いつから学校や保育園に行っても大丈夫なのかということについて説明しました。

クループ症候群は、厳密には犬吠様咳嗽などを特徴とする症状のことなので、いつから保育園などに行っても良いのかというのは、その原因となっている細菌やウイルスが何なのかというところでまた大きく変わってきます。

もしその原因が単なる風邪の原因となる細菌やウイルスである場合には、いつから行って良いのかは医師の判断を聞いてみるのが一番です。しかし、その原因が出席停止措置の対象に含まれている何か特別な病原体である場合には、それを守らなければならないということは是非覚えておいてください。

今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)

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