
クループ症候群とは、主に何らかの細菌やウイルスによる感染、すなわち風邪などの症状に伴って表れる症状の1つです。具体的には、その特徴としてまるで動物が鳴いているかのような、ケンケンケンという犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)という咳の症状や、声嗄れ、喘鳴(ぜんめい)などの症状が表れるということが分かっています。
このクループ症候群は、まだ気管の発達が十分ではない生後数か月の赤ちゃんから、小さい子供に多くみられる症状であるという特徴があり、重症化も懸念されることから早めに医師に相談をすることが大切です。
具体的には、細菌やウイルスによる感染の影響が、喉の奥にある喉頭という部分にまで及び、そこが炎症を起こしてしまうとクループ症候群の症状が引き起こされてしまうということが分かっているのですが、またその喉頭の周囲の器官にまで影響が及んでしまうと、更に症状が悪化して命に係わるほど重症化してしまうこともあるのです。
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細菌やウイルスの感染によって引き起こされる病気、症状には様々なものがありますが、このクループ症候群は決して珍しいものではありません。また、重症化が懸念されることからも、もし自分の子供が夜中に変な咳などをし始め、苦しそうにしている場合には、すぐに救急車を呼ぶくらいの対応をとることが大切です。
そこで今回の記事では、このクループ症候群が引き起こされた際の症状などについて詳しくまとめますとともに、その原因や、治療方法などについてまとめていきたいと思います。
目次
「細菌」や「ウイルス」による感染には要注意!皆さんはこの2つの違いをご存知ですか?

まず、クループ症候群がどのような病気なのかということについて説明する前に少しお話しておきたいのですが、皆さんは、細菌とウイルスの違いっていったいなんだかご存知ですか?
この2つは、どちらも人間の細胞に感染するという意味では同じですが、実はその実態は全く異なります。ウイルスは細菌よりもずっと小さい存在ですし、細菌は1つの細胞から成る単細胞生物であるのに対し、ウイルスはその細胞さえも持っていない遺伝子だけの存在です。生物の最小単位は細胞を持っているかどうかというふうにも言われているため、実はウイルスは生物であるかどうかも曖昧な存在なのです。
細菌とウイルス、この両方はどちらも人間に感染しますが、どちらが感染した方が危険なのかというのは一概には何とも言えません。細菌の感染が引き起こす病気の中には、結核、百日咳、破傷風など、重症化を招く危険性があるものは様々なものがありますが、ウイルスの感染によって引き起こされる病気の中にも、インフルエンザや黄熱、HIVなど、重症化が懸念されるものや、その治療が難しい病気はたくさんあります。
ちなみに、感染症を患った際には抗生物質(抗生剤)と呼ばれるお薬が処方されることがありますが、実はこのお薬は細菌にのみ効果を発揮するお薬で、ウイルスの感染が原因で起こっている症状には効果を示しません。
これは何故なのかというと、そもそも抗生物質とはもともとは細菌の中から発見されたもので、細菌が自分以外の種類の細菌の繁殖を抑えようとして作り出す物質だからなんです。そのため、細菌が持つ特徴に影響を与えてその繁殖を抑制しようとする物質であることから、そもそもその特徴が全く違うウイルスには効果を示さないのです。
ちなみに、抗生物質が最初に発見されたのは1928年のことであり、その後色々な種類の抗生物質がこれまでに発見されてきました。もし、細菌感染症が疑われる場合には、こうした抗生物質の中からその原因となっているであろう細菌に効果を示すことが分かっている抗生物質を選んで処方するという形になります。以前は肺結核と言えば不治の病として有名でしたが、この抗生物質の発見によって、今では治療が可能な病気となりました。
ちなみに、2017年現在も、いまだにどんなウイルスにも効くお薬というものは存在していません。これが発見された、または開発されたとしたら、それは世界的な大発見として、ノーベル賞を受賞することは間違いないでしょう。
ただ、どんなウイルスにも効くお薬はありませんが、特定のウイルスに効くお薬というのは既にいくつか存在しています。例えば、インフルエンザウイルスに効果を示すタミフルもその1つですし、ヒト免疫不全ウイルス、通称HIVに効果を発揮するお薬というのもこれまでに開発されています。
ただ、問題はそういった細菌やウイルスは、それに効くお薬を造ったとしても、徐々にその作用に順応して、そういったお薬に耐性を持ったものを新たに造りだしてしまうということなんです。そのため、細菌やウイルスによる感染症が絶対に治る日というのが来ることはなく、人間と病原体のいたちごっこになるのではないかと思います。
ちなみに、こういった細菌やウイルスの特徴や、感染症に関する情報は別記事でも詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。特に、HIVは未だに完全に治るとは言えない病気なので、正しい知識を持って性行為に及ぶという意味でも、一度ご覧になっていただくと参考になるのではないかと思います。
→【ストップ】長引く咳は細菌感染症が原因かも!細菌とウイルスの違いや抗生物質に関する情報はこちら…
→【※ストップ】hiv感染症の初期症状は空咳?感染経路や感染率、検査の方法から治療法まで詳しく解説します!
さて、前置きが長くなってしまい、もう少しだけお話させていただきたいと思うのですが、皆さんは、「風邪」ってどんな病気だかご存知ですか。私たちにとって一番身近な感染症ともいえる風邪ですが、実はこの病気は、主に何らかの細菌やウイルス、特に不特定の「ウイルス」が、上気道に感染することによって、急性の炎症が引き起こされる病気のことを言います。
今申し上げましたように、その原因の大半は「ウイルス」なので、今現在も風邪に絶対に効くというお薬はありません。風邪をひいたときに処方されるお薬というのは、風邪による熱や咳などの諸症状を緩和するお薬であって、その原因となっているウイルスの繁殖を抑えたりするためのお薬ではないのです。風邪は基本的に、人間の免疫の力によって治す病気なので、色々なお薬を飲むより、家で安静にして体がウイルスを退治するのに集中できるようにしてあげることが大切です。
こう聞くと、人間の免疫力って本当にすごいなあと皆さん感じるのではないかと思いますが、中にはその免疫力だけではどうにもならないほど重症化してしまうこともあり、これからお話するクループ症候群もそういった危険性のある症状の1つです。このクループ症候群は、特に小さい子供が、今説明した「風邪」の症状に伴って発症する病気として知られています。
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クループ症候群とは?重症化してしまうのはどんな時?

ここまでに何度か申し上げておりますが、クループ症候群とは、何らかの細菌やウイルスによる感染、特に風邪に伴って発症することが多い症状の1つです。クループ症候群という1つの病気があるというよりも、感染症による影響から発症する症状の1つとしてとらえていただくと分かりやすいのではないかと思います。
厳密には、クループ症候群の原因は感染症だけではなく、アレルギー反応や心の問題(心因性)によっても引き起こされることがあるといわれています。何らかの原因によって、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)などの症状が引き起こされてしまう病気の総称をクループ症候群と呼んでいるということなんですね。
このように、「症候群」とはその原因がいくつか考えられる場合に用いられることのある言葉で、先ほど説明した風邪という病気も、実はその原因は不特定多数のウイルスや細菌なので、「風邪症候群」というのが正しい名前なんです。
ただ、そのクループ症候群は、その原因のほとんどが細菌やウイルスによる感染であると考えられています。細菌やウイルスが喉に感染し、上気道において急性の炎症を起こす病気を風邪と呼ぶという話をしましたが、その上気道の一番奥の部分である喉頭という部分にまで炎症が及んでしまうと、今回お話するクループ症候群の症状が引き起こされてしまうと考えられています。
言葉だけだとよくわからないと思いますので、喉頭とはいったいどこなのかというのは以下の図を参考にしてください。この図は鼻や口から肺にかけての空気の通り道がどのようになっているのかを示した図になりますが、その空気の通り道は大きく上気道と下気道という2つの部分に分けることができ、その上気道はさらに3つの部分に分けることができるのですが、その3つのうち一番奥に位置する部分を喉頭と呼びます。

また、そのクループ症候群においてみられる犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)とはいったいどんなものなのかというのは、以下の動画を参考にしてください。確かに、この動画の中で苦しそうに咳をしている子供の咳を聞いてみると、まるで何かの動物が鳴いているかのように聞こえますよね。
ちなみに、クループ症候群という名前に含まれている「クループ」とは、初期近代英語の「馬のように鳴く」という意味を持つ、「croup」という動詞に由来しているそうです。つまり、喉頭周辺の炎症の影響から、動物が鳴いているような咳が出てしまう風邪のことを、いつしかクループ症候群と呼ぶようになったということなんですね。
このクループ症候群、厳密にはまたいくつかのタイプのものに細かく分けることができるのですが、そのうち、これが急性喉頭蓋炎という症状にまで発展してしまうと、命に係わるほどの重症化が起きてしまう可能性があるということが分かっています。
この急性喉頭蓋炎とは、喉頭の部分にある喉頭蓋という器官にまで炎症が及んでしまった場合に引き起こされてしまうことがある症状のことを言いうのですが、この喉頭蓋にまで炎症が及ぶと、呼吸困難などが引き起こされ、早めの処置を行わなければ最悪の場合は命を落としてしまうことがあるとも言われています。喉頭蓋は、食べ物が気管の方に入ってしまわないように、ものを飲み込むときに気管に蓋をする器官なのですが、確かにこれが炎症を起こして腫れてしまうと、呼吸機能に影響が表れてしまうというのはそれをみなくてもわかりますよね。
もしこのような症状が引き起こされてしまった場合には、気管支の炎症を鎮めるステロイド剤や、喉の筋肉を弛緩させるアドレナリンなどを注射などによって投与して、その症状の改善をはかります。また、クループ症候群は風邪に伴って発症すると言いましたが、この急性喉頭蓋炎の症状が引き起こされた場合には細菌の感染が疑われ、その後は抗生物質などを使用しながら治療をしていくという形になります。
ただ、クループ症候群と一口に言ってもその症状は人それぞれで、中には入院治療が必要になるケースもありますが、症状が軽い場合には自宅での療養になるということも十分にあり得ます。しかし、やはり重症化が起きるケースもあるということは常に頭の中に入れておき、もし子供が変な咳をしていたら、早めに病院に連れて行くようにしましょう(^^)
まとめ

今回の記事では、細菌やウイルスの違いに関する情報について詳しくまとめますとともに、そういった病原体の感染によって引き起こされることがあるクループ症候群の詳細についてまとめました。
小さい子供のうちは、まだ気管の発達が未発達なので、気管の閉塞も起きやすく、炎症も喉の奥にまで拡がりやすいという特徴があります。今回のクループ症候群は主に上気道における炎症が原因になるというお話をしましたが、小さい子供の場合、それよりさらに先、すなわち下気道にまで炎症が及び、肺炎などにもつながるケースがありますので、是非子供の感染症には十分に気を付けてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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