サチュレーションとは、動脈を流れる全ヘモグロビンのうち、どのくらいのヘモグロビンが酸素と結びついているのかを示す数値です。ヘモグロビンとは血液中を流れる赤血球に含まれるタンパク質のことであり、酸素と結びついて全身をめぐることによって、酸素を体の各所に運搬する役割を担っています。

このサチュレーションの値はパルスオキシメーターと呼ばれる装置を用いることによって測定することが出来ます。パルスオキシメーターは上の図のようなもので、指先にはめることによって、指の中の動脈を流れるヘモグロビンと酸素との飽和度を測定することが出来ます。このパルスオキシメーターがどのようにしてサチュレーションの値を測定しているのかは、こちらの記事で詳しくまとめています。→※子供のサチュレーションの正常値はどれくらい?パルスオキシメーターの原理とは?
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このパルスオキシメータ―によって測定されたサチュレーションの値は、しばしばspo2とも呼ばれます。これは、(saturation:サチュレーション)のs、(pulse oximete:パルスオキシメーター)のp、酸素を意味するo2を合わせたもので、サチュレーションには飽和状態という意味があることから、spo2はパルスオキシメーターで測定した酸素とヘモグロビンとの飽和度を意味しています。現在はサチュレーションよりもspo2と呼ばれる方が一般的かもしれませんが、この2つの意味は同じです。
さて、このサチュレーションの値というのは、健康な方であれば、およそ96%~99%の間におさまるといわれています。これはつまり、指先の動脈を流れるヘモグロビンのうち、96%以上は酸素と結合しているということです。
逆にサチュレーションがこれ以下の値になってしまうと、その方は何らかの原因によって酸素を上手く取り込むことが出来ていないということを意味しています。特に気管支喘息などの呼吸器疾患の症状がある場合には、症状がひどくなるとサチュレーションの低下が起きてしまうことがありますので、自分の体調に異変がないかしっかりと管理するためにもサチュレーションの値を測定することはとても大切です。
さて、現在この記事をご覧になっている方の中には、サチュレーションを測定したところ基準値以下であり、何度測っても上がらないという問題を抱えていらっしゃる方もいるかと思います。そこで今回の記事では、サチュレーションが上がらない原因とその時の対処の仕方などについて詳しくまとめていきたいと思います。
目次
サチュレーション(spo2)が上がらないのは何故?その時の対処法とは?

サチュレーション(spo2)が上がらない時、まずはその時の自分の体調は良いの悪いのかをよく確認してみてください。例えば、もし呼吸が苦しくて、サチュレーションの値がなかなか上がらない時には、間違いなく体に異常が起きていますね。
サチュレーションを自分で測定している方というのは、何らかの呼吸器疾患などの持病があるという前提でお話しさせていただきますが、そういった方は、呼吸が苦しくなった時のための薬などをもらっているかもしれません。特に、気管支喘息の患者の場合には、気管支拡張剤や、内服型の経口ステロイドなどの発作治療薬を渡されていると思いますので、サチュレーションが低下してしまった場合には、まずはそういった薬を使って息を整えてください。
しかし、もしそういった処置をしてもサチュレーションが上がらないという時、またはそもそもそういった薬が無い場合には、私がいうのもなんですが、すぐにこのサイトから離れて、病院へ行くか、119番に相談をしてください。病院へ行く場合には、誰かに連れて行ってもらうようにしましょう。特に、サチュレーションが90%以下にまで低下しているような場合には発作が起きてしまう可能性まりますので、自分でどうにかしようとせず、落ち着いて119番に連絡をして、救急車を呼ぶようにしましょう。そして、救急車が来るまでには、そのとき指示された対処法を落ち着いて実行するようにしてください。
救急車を呼ぶかほどかどうか迷うのであれば、とりあえずは連絡だけでもしてみて、相談をするようにしましょう。一番いけないことは、自分でどうにかしようとすることです。万が一をさけるために、サチュレーションが上がらない場合にはまずは119番に連絡をして自分の体調についてよく相談してください。
ひどく大げさに書いているように感じるかもしれませんが、「呼吸ができない」というのは、命に直結する非常事態です。私はこのくらいの危機感があっても良いと思います。例えば、喘息という病気は現在も年間2000人近い方が亡くなっている病気ですが、その中にはまさか自分が命を落とすことになるとは思わなかった方も大勢いらっしゃったと思います。大事をとった選択をするのは非常に大切です。
とにかく、【呼吸に違和感がある】+【サチュレーションが上がらない】という場合には、一度119番に問い合わせてみて、話だけでも聞いてもらうようにしましょう。
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呼吸には異常はないが、サチュレーション(spo2)の値が上がらない、安定しないという場合…その原因や対処法はこちら!

サチュレーション(spo2)を測ってみたところ、その値が基準値以下であり、何度計測しても上がらない、という場合で、呼吸には特に異常が無いという場合、まずは測定方法が間違っていないか、または測定結果に誤差を生じさせる原因がないかよく確認してみましょう。
というのも、サチュレーションの値を計測するパルスオキシメーターは、しっかりと安定した条件で計測しないと、その測定結果が正常値より低かったりというのは珍しいことではないのです。では、パルスオキシメーターの測定結果に誤差を生じさせる原因にはどのようなものがあるので挙げていきたいと思います。
サチュレーションが上がらない原因1:体の揺れや冷え
もし、サチュレーションを測定しているときに、体が小刻みに震えていたりすると、それはサチュレーションを正常に計測する妨げとなってしまいます。パルスオキシメーターは指先にある動脈と静脈のうち、拍動を感知することによって動脈の方だけを対象にサチュレーションの値を計測しているので(動脈は心臓から送り出されてすぐの血液が通っているので、静脈を流れる血液に比べて強い拍動を示す)、体が震えているとこの拍動の感知を妨げてしまう可能性があるのです。つまり、動脈と静脈の違いを検出しづらくなってしまうということです。もし仮に静脈を流れるヘモグロビンのサチュレーションの値を計測してしまっている場合、静脈を流れるヘモグロビンはすでに酸素を放出した状態なので、サチュレーションの値が低下してしまうのは当然のことです。また、指先が冷えて血の巡りが悪いと、これも拍動の感知を妨げる原因となり、正常なサチュレーションの値を測定する妨げとなってしまうので注意が必要です。サチュレーションを測る場合には、体を暖かくして、しっかりと静止した状態で測るようにしましょう。
サチュレーションが上がらない原因2:測定部の圧迫
例えば、サチュレーションを測る際に、もう片方の手で測定機器をギュッと圧迫してしまったりするのはNGです。こういった圧迫をしてしまうと、センサーが静脈の弱い拍動まで感知してしまうので、サチュレーションの値が低下してしまうことがあります。
サチュレーションが上がらない原因3:マニキュア、絆創膏など
もしサチュレーションを測定する指に、マニキュアを塗っていたり、絆創膏などを張ってしまっていると、それはサチュレーションの正常な値を測定する妨げとなります。これは、光の透過に影響を及ぼすためです。
今ご説明した3つの原因については、こちらの記事を読んでいただくことでより理解が深まると思いますので、もしご不明な点がある場合には是非ご覧ください。
まとめ

今回の記事では、サチュレーション(spo2)が上がらない原因や、その時の対処法などについてまとめました。
サチュレーションの値がなかなか上がらない時で、もし、自分自身呼吸に異常があるなと感じる場合には、すぐに医療機関に相談することが1番の解決法です。自分でどうにかしようとするのはとても危険ですので、特にサチュレーションが90%を切っている場合にはすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。
また、それ以外で、呼吸に異常は感じないのに、サチュレーションの値が上がらない時や、なかなか安定しないという時には、測定方法の方に何らかの原因がある可能性があります。今回ご紹介した体の震えや、冷え、測定部の圧迫、マニキュア、絆創膏などの他にも、もともと低血圧の方や、運動直後であったり、直射日光が当たる場所で測定などを行っている場合にも、サチュレーションの値が上手く測れない場合がありますので、ご注意ください。また、測定をする際にはすぐ表示された値を参考にするのではなく、30秒以上たってから表示された値を参考にするようにしましょう。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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