※サチュレーション(SpO2)の低下の原因とは?そのとき起こる症状はこちら!

この記事をご覧になっていただいている方は、医療の現場で使用されるサチュレーションという言葉の意味についてご存知の方がほとんどだと思いますが、このサチュレーションとは、酸素とヘモグロビンがどのくらいの割合で結合しているかを表している数値です。ヘモグロビンとは赤血球の内部にあるタンパク質のことで、酸素と結合して血流にのることによって、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。つまり全ヘモグロビンのうち、どのくらいの割合のヘモグロビンが酸素を運んでいるかを表すのがサチュレーションという値であり、健康な方であれば、サチュレーションの値は96%~99%の間におさまります。

サチュレーションという言葉は直訳すると飽和状態を意味しており、つまりサチュレーションとは酸素とヘモグロビンの飽和度を示しているので、このサチュレーションの値のことを酸素飽和度とも言います。また、この酸素飽和度はパルスオキシメーターと呼ばれる装置によって計ることが出来、酸素(O2)の飽和度(Saturation:サチュレーション)をパルスオキシメーター(pulse oximeter)で計測した値は、SpO2と呼ばれています。色々あってややこしい、と思うかもしれませんが基本的にサチュレーション、酸素飽和度、SpO2という言葉の意味は同じと考えていただいて大丈夫です。

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先ほども申しましたように、このサチュレーションの値は、健康な方であればおよそ96%~99%の間におさまり、ほとんどのヘモグロビンが酸素と結合しています。しかし、気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を発症していると、その症状として酸素を上手く体に取り込めなくなることによって、このサチュレーションの値が低下してしまうことがあります。具体的には、90%を切ってしまうと何らかの原因によって呼吸不全が起こっているとみなされ、このような場合は直ちに適切な処置が必要となります。

しかしある病気を発症すると、呼吸が非常にしづらく、体は酸欠状態になるのに、サチュレーションの値は正常であるという不思議な現象が起こってしまうことがあります。これはいったい何が原因なのか。今回の記事では、サチュレーションの低下の原因や、そのとき表れる症状、そしてサチュレーションの変化としては表れないが、体を酸欠状態にしてしまうある病気に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。

目次

サチュレーション(SpO2)の低下の原因とは?そのとき表れる症状はこちら!

最初にも申し上げましたように、サチュレーション(SpO2)とは、酸素とヘモグロビンがどのくらいの割合で結合しているのかを表した数値です。具体的には、指先の動脈中を流れるヘモグロビンと酸素の飽和度を示しています。その値は健康な方であればだいたい96~99%を示し、ほとんどすべてのヘモグロビンが酸素と結合しているのですが、何らかの原因によって酸素が上手く取り込めなくなると、この値が低下してしまい、酸素と結合できないヘモグロビンが表れ始めます。サチュレーションの値は、上の図に示すようなパルスオキシメーターという装置を使うことによって測ることが出来ます。

パルスオキシメーターの詳しい原理を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

※子供のサチュレーションの正常値はどれくらい?パルスオキシメーターの原理とは?

このサチュレーションの低下の原因となるのが、気管支喘息や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患です。COPDは最近よくテレビなどでも取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。気管支喘息とCOPD、この2つの呼吸器疾患はとてもよく似ており、どちらも気管支において炎症が起きることによって、気管支が敏感な状態となり、収縮を起こすことによって呼吸がしづらくなってしまう病気です。気管支喘息はアレルギー体質の方に多い病気で、子供の患者も多くいますが、慢性閉塞性肺疾患は患者の多くが喫煙者であり、中高年に多くみられる病気です。

こういった呼吸器の病気によって酸素が上手く取り込めなくなると、サチュレーションの低下が起き、血中において酸素と結合できないヘモグロビンの割合が増加します。このヘモグロビンは、酸素と結びついて初めて鮮やかな赤い色(鮮紅色)に変化し、酸素と結びついていない時は暗い赤色(暗赤色)であるため、サチュレーションの値が低下すると暗赤色のヘモグロビンの割合が増えることから、指先が青っぽく変化してしまいます。この症状チアノーゼと呼ばれています。

このチアノーゼが起きてしまったときは体が大変危険な状態にあると推測されますので、早急に病院を受診するか、もしそのとき家に1人でいる場合には、迷わずに救急車を呼びましょう。気管支喘息の患者は症状がひどくなると入院を視野に入れた治療が必要になることがあり、チアノーゼが起きてしまった場合には入院となる可能性が高いです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【ストップ】喘息大人の治療における入院の必要性について…

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サチュレーションの値は正常なのに呼吸が苦しい…その原因とは?

気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患の症状がひどくなってしまった場合は、酸素が十分に取り込めなくなることによって、酸素と結合できないヘモグロビンの割合が増加し、サチュレーション(SpO2)の値は低下しますが、サチュレーションの低下は起きないのに、体が酸欠状態になって、めまい立ちくらみ頭痛などの症状を引き起こしてしまう病気があります。その病気とは、貧血です。貧血とは一言でいうと、血液中の赤血球や、その赤血球に含まれるヘモグロビンの量が減少してしまう病気です。

貧血は鉄分の不足によっておこりやすいということは皆さんご存知だと思いますが、そもそもヘモグロビンは、その中に含まれる鉄原子が酸素と結合することによって酸素を運搬することが出来ます。そのため、ヘモグロビンを生成するには、鉄分が必要不可欠なのです。

この鉄分の不足が起きると、そもそも全体のヘモグロビンの量が減少するのですが、この今あるだけのヘモグロビンには酸素が結合するので、サチュレーションの値は低下しません。サチュレーションとは、血液中で酸素と結合しているヘモグロビンの割合を示すものですので、例えば健康な方よりヘモグロビンの量が少ない貧血の患者でも、そのすべてが酸素と結合していればサチュレーションの値は100%なのです。

詳しい説明は図に例として示した通りです。このように、サチュレーションの低下は起きないのに、体が酸欠になってしまうということもあり得ますので、鉄分の不足には要注意です。

貧血に関するさらに詳しい情報は、以下の記事でまとめていますので、是非ご覧になってみてください。貧血を予防、改善するために、鉄分を豊富に含む食材に関する情報もまとめています。

空咳の原因が貧血?貧血の改善に効く鉄分が多い食品をご紹介します…

あなたは大丈夫?普段口呼吸をしている方は要注意!

今回の記事のテーマとは少し関係のない話になってしまいますが、日本人の多くの方に関係のある話なので、「口呼吸」に関する話について少しご紹介させていただきたいと思います。

皆さんは普段、自分が口で呼吸をしているのか、鼻で呼吸をしているのかをちゃんと意識したことはありますか?もちろん鼻で呼吸をしているよ、と思う方も多いと思うのですが、実は現在、日本人の大半が気が付かないうちに口呼吸になってしまっているということが指摘されています。

例えばテレビをみてぼーっとしている時などに、口呼吸になってしまっていることが無いかを是非これからはたまに意識してみてほしいのですが、もしそういったときに無意識のうちに口呼吸になってしまっている自分に気が付いたら、早めに改善に取り組むことをお勧めいたします。実はこの口呼吸、現在非常に様々な問題を引き起こす原因になってしまうということが分かってきており、多くの医師の方がその改善を呼びかけているのです。

例えば、気管支喘息や花粉症などのアレルギー疾患がある方はそのほぼ100%が口呼吸をしているということが指摘されている他、慢性的な口呼吸は免疫の働きを狂わせる原因となり、iga腎症と呼ばれる腎臓病や、リウマチなどの発症の原因になるということも指摘されているんです。

また、口呼吸によって引き起こされる問題はそれだけではありません。口呼吸が引き起こす問題に関する情報や、その口呼吸を改善するための方法に関する情報は以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。

【※口呼吸を治したい方必見】お勧めの改善グッズはこちら!

まとめ

今回の記事では、サチュレーション(SpO2)の低下の原因や、そのとき表れる症状などに関する情報をまとめました。

このサチュレーションという値は、特に気管支喘息などの呼吸器疾患の患者と関わりの深いものになります。もし気管支喘息の症状がある方は、自分の体調をチェックするためにも、パルスオキシメーターを家においておくようにすると良いかもしれません。

近年、気管支喘息という患者は大人の患者が増加傾向にあるのですが、もし大人になってから気管支喘息を発症してしまった方は、ロキソニンなどの解熱鎮痛剤を飲む際には十分な注意が必要です。詳細は、こちらの記事をご覧になっていただければわかります。

【※気管支喘息とアスピリン喘息の違いとは?】その症状や原因、薬による気管支喘息の治療に関する情報はこちら…

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)

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