
何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになり、それによって呼吸機能に障害が表れるようになってしまう病気のことを気管支喘息と言いますが、今回お話するシムビコートは、特にその気管支喘息を治療するためのお薬として知られています。(気管支喘息の治療以外には、慢性閉塞性肺疾患【通称COPD】の治療などにも用いられます。)
このシムビコートは、喘息患者における気管支の炎症を鎮めるためのステロイドと、その炎症の影響から収縮した気管支を弛緩させ、呼吸を楽にしてくれる気管支拡張剤(β2刺激薬)が一緒に含まれた合剤となっており、最近では、気管支喘息の治療にはこうした合剤を用いるというのが主流になってきています。ちなみに、その合剤にもまたいくつか種類があり、シムビコート以外には、アドエア、フルティフォーム、レルベアといったお薬がその合剤として知られています。
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私は今から数年前に気管支喘息を発症してしまい、症状がひどかった発症当時は、先ほど挙げた合剤のうちフルティフォームと呼ばれるお薬を使って治療を行っていたのですが、こういった吸入タイプのお薬を使うにあたって注意しなければならないことの1つが、吸入後には数秒間息止めをするということです。私も、フルティフォームを使っていた時には、お薬を吸い込んだ後数秒間息止めを行っていたのをよく覚えています。
しかし、今回お話するシムビコートというお薬は、同じ吸入タイプのお薬なのに、その息止めが不要であるといわれています。では、このような違いがあるのはいったいなぜなのでしょうか。
そこで今回の記事では、気管支喘息の治療薬であるシムビコートとはいったいどのようなお薬なのか、その概要について詳しくまとめますとともに、シムビコートでは息止めが不要な理由とはいったい何なのか、息止めが必要なお薬とシムビコートとの違いについて詳しくまとめていきたいと思います。
目次
シムビコートってどんなお薬なの?その特徴や使い方はこちら!

最初にもお話しましたが、今回お話するシムビコート(シムビコートタービュヘイラー)は吸入タイプのお薬であり、気管支喘息の治療薬としてよく用いられます。おそらく、この記事をご覧になってくださっている方の多くも、気管支喘息、もしくはCOPDと診断され、そのシムビコートを処方されたという方なのではないかと思います。
シムビコートには30吸入タイプのものと60吸入タイプのものがあるのですが、どちらもその使い方は同じです。では、このお薬はいったいどもようにして使うのかという話になりますが、その正しい使い方に関しましては、非常に参考になる動画がありますので、もしシムビコートの使い方について不明な点があるという方は、まずは以下の動画を一度ご覧になってみてください。
この動画をご覧になっていただければ、シムビコートの使い方については問題なく理解していただけるのではないかと思います。なのでここからは、この動画ではあまり説明されていないような、シムビコートの特徴について詳しくまとめていきたいと思います。
まず、最初にこのお薬は、ステロイド成分と気管支拡張成分が一緒に配合されている合剤であるというお話をしましたが、もっと詳しく解説すると、このシムビコートというお薬には、ステロイド成分としては「ブデソニド」という成分が含まれており、気管支拡張剤としては「ホルモテロール」という成分が含まれています。
合剤にもいくつか種類があるというお話も最初にしましたが、そういった合剤は、ステロイド成分や、気管支拡張成分としてどのような成分が含まれているのかというところに違いがあるのです。つまり、ステロイドなどと一口に言っても、そこにはまたいくつかの種類のものがあるということなんですね。
また、気管支喘息の治療薬には、喘息の発作が起きないよう、その症状をコントロールしながら症状の改善を目指すための長期管理薬と、もし発作が起きてしまった際に、その症状を鎮めるための発作治療薬という大きく2つのタイプのお薬があるということはすでにご存知の方も多いと思います。その2つのタイプ中にはそれぞれどのようなお薬が含まれるのか、ということについてはこちらの記事を参考にしていただきたいと思いますが、今回お話しているシムビコートは、一般的にはこのうち長期管理薬の方に分類されます。
しかし、今一般的にはといったのには少し理由があり、実は今回お話しているシムビコートは、いくつかある合剤の中でも、唯一発作時にもその使用が有効なお薬として認められています。シムビコートを発作時に用いるこの使用法はSMART療法(Symbicort Maintenance And Rliever Therapy)と呼ばれ、日本では平成24年の4月からこの使用法が認められるようになりました。
では、なぜいくつかある合剤のうち、このシムビコートだけがそのような使い方が止められているのかというと、これにはシムビコートに含まれている「ホルモテロール」という成分の特徴が大きく関係しています。
まず、シムビコートをはじめとする合剤にはどれも気管支拡張剤が含まれているというお話をしましたが、実はこの気管支拡張剤には、「即効性があるが作用時間が短いもの」と、「遅効性であるが作用時間が長いもの」という大きく2つのタイプのものが存在しています。そして、そのような特徴から、前者の「即効性があるが作用時間が短いもの」が発作治療薬として用いられ、後者の「遅効性であるが作用時間が長いもの」が長期管理薬として用いられるという特徴があります。
つまり、通常であれば、シムビコート、レルベア、アドエア、フルティフォームなどの長期管理薬に含まれている気管支拡張剤は、「遅効性であるが作用時間が長いもの」であるはずなのですが、実は今回お話しているシムビコートに含まれるホルモテロールは少し特殊で、この成分には、「即効性なのに作用時間が長い」という特徴があるのです。つまり、この即効性が認められたことから、シムビコートは発作時にもその使用が有効であると認められるようになったということなんですね。
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シムビコートの用法用量とは?

では、ここでそのシムビコートの用法用量について説明をしたいと思いますが、このシムビコートは、基本的には朝夕1吸入ずつ、1日計2吸入行うというのがその使い方の基本となっています。
ただ、その症状の程度によっては朝夕2吸入ずつとも指示されることもあり、この辺りはその患者を担当した医師の判断によって変わってきます。
また、先ほどお話したSMART療法を活用する場合、このシムビコートタービュヘイラーは、コントローラーとして使用する回数も含めて、1日最大6回までの使用が可能となっています。つまり、コントローラーとしての使用回数が朝夕に1回ずつであった場合、それ以外に4回までリリーバーとして使用しても大丈夫ということです。
ちなみに、最大8吸入と伝えられているときもあるのですが、8吸入以上の臨床試験データが十分には無いため、もし8回以上吸入してしまったときには医療機関への相談が必要になるそうです。
こういったお薬の正しい使い方については、処方されるときにきちんと医師からも説明を受けていることと思います。SMART療法に関する情報や正しい使い方についてきちんと把握しておき、常にスムーズに治療が行えるように是非気を付けてください(^^)
シムビコートにジェネリック医薬品はあるの?

最近では「ジェネリック」という言葉を耳にすることが増えてきましたが、この記事をご覧になってくださっている方の中にも、これまでに何かのジェネリック医薬品にお世話になったことがあるという方も多いのではないでしょうか?
ジェネリック医薬品とは、簡単に言うと、含まれている有効成分の量が同じで、ほとんど同じ効果効能が期待できるのに、もともとあったお薬よりも安く手に入るようなお薬のことを言います。この、安く手に入るということについてはご存知の方も多いと思いますが、では、なぜ安く手に入るのかということについて、皆さんはこれまでに考えたことがありますでしょうか?
実は、このジェネリック医薬品とは、言い換えると、もともとのお薬の特許期間が切れた後に、他の企業などが製造することによってできたお薬のことを言います。実は、医薬品というのはもともと発明した研究機関が特許を申請すると、その後最大で20年間はその研究機関以外での製造、販売を行うことができないという決まりがあるのです。
しかし、その特許が切れた後は誰でも製造ができるようになるため、そのような経緯があって後発的に製造されたお薬を、私たちはジェネリック医薬品と呼んでいます。そして、もともと製造方法やその安全性などが確立されている分、販売までのコストを抑えることができるため、ジェネリック医薬品は、もともとのお薬よりも安く提供される傾向にあります。
では、今回お話したシムビコートにはジェネリックはあるのかと言いますと、シムビコートの販売元や、ジェネリックに詳しい大手製薬会社などへも問い合わせてみましたが、今現在、日本で正規に取り扱われているシムビコートのジェネリックはまだないということが分かりました。
ただ、どうしてかはわかりませんが、シムビコートのジェネリック医薬品について調べてみると、ネット上でヒットする商品などがあります…。こういった商品に関する情報も含め、ジェネリック医薬品とはどのようなものなのかということについて、さらに詳しいことは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
→※シムビコートってどんなお薬?ジェネリックはいつでるの?…
シムビコートは息止め不要?その理由とは?

最初にもお話しましたが、吸入薬を使ううえで気を付けなければならないことの1つが、息止めをするということ。私も以前吸入薬を使用していたころは、すーっつと吸入薬を吸い込み、数秒間息止めを行い、ふーと息を吐く、というような感じでお薬を使用していたのを覚えています。
しかし、今回お話しているシムビコートは、説明の方にこのお薬は息止めが不要であると書いてあります。では、これは一体なぜなのか。これには、そもそもなぜ息止めが必要なのかということが大きく関係しています。
これについてはもう説明するまでもないのかもしれませんが、息止めをするのは、そのお薬の沈着率を高めるというのがその目的です。吸入薬の中には、吸い込んだだけではお薬が目的の部位にしっかりと沈着しない場合があるものもあるため、数秒~約10秒ほど息を止めることによって、その沈着率を高めようというのが息止めを行う目的なのです。
もっと具体的に説明すると、吸入薬は、成分をミストの状態で吸入させるもの(エアゾールタイプ)と、粉末の状態で吸入させるもの(ドライパウダータイプ)の大きく2つのタイプのものに分けることができるのですが、このうち、ミストの状態で吸入させるものは、全般的に吸入後の息止めが必要となるようです。
ドライパウダー式のものは、基本的には息止めは不要との説明もあるそうなのですが、シムビコート、及びパルミコートというお薬以外は息止めが必要になるようです。すなわち、喘息の吸入薬にも色々ありますが、その中でシムビコートとパルミコートだけが息止めが不要、ということのようですね。この2つに関しては、息止めを行わずとも高い沈着率、及び効果が期待できるということなのでしょう。
ただ、息止めが不要と言っても、息止めをしてはいけないということではありません。なので、どのお薬を使用するという場合になっても、使用後に軽く息止めを行うようにする、ということを覚えておけば、その効果を損なうことなく、安心して効果的に使えるのではないでしょうか。(^^)
まとめ

今回の記事では、シムビコートとはどのようなお薬なのかということについて詳しくまとめますとともに、吸入薬を使用した後の息止めに関する内容にについて詳しくまとめました。
結論としては、やはりシムビコートは息止めは不要とのことなのですが、これは息止めをしてはいけないということではないようです。また、もし今シムビコートを使用している方で、今後別のお薬に変えるとなった場合には、その時には吸入後の息止めを忘れないように気を付けてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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