
シムビコート(シムビコートタービュヘイラー)は、特に気管支喘息の治療に用いられるお薬です。吸入式のお薬となっており、基本的にはこのお薬を朝夕継続的に使用することによって、徐々に気管支喘息の症状を鎮めていきます。
ここで、気管支喘息とは何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言うのですが、その炎症部位がアレルギー反応などによる刺激を受けると、急激な収縮を起こし、呼吸が困難になってしまう発作の症状を起こしてしまうことがあります。もし、発作が起きてしまうと、命に係わるほど重症化してしまうこともありますし、実際に今でも喘息によって命を落としてしまう方というのは決して少なくありません。
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そのため、そういったことが無いように、喘息のお薬を使ってその症状をコントロールして行くことがその治療の基本となるのですが、様々ある喘息のお薬の中でも、シムビコートは非常に使い勝手がよく、優秀なお薬となっていて、喘息の治療薬としてしばしば用いられます。後に詳しく説明しますが、このシムビコートは日々の喘息症状のコントロールに使えるという以外に、発作が出てしまったときにも使えるという大きな利点があるのです。
しかし、このシムビコートというお薬には、ちょっとした問題とも言える点もあります。これは人それぞれどう感じるかの問題ともいえるかもしれませんが、シムビコートは、従来使われてきた吸入薬に比べて薬価が少し高いのです。薬価が高いと言っても、何万円もするわけではありませんし、処方される場合には保険も適用されるのですが、これまでよく使われてきた喘息の治療薬と比べると、患者が負担する費用は多少高くなるということは事実です。また、人によっては朝夕複数回ずつの使用を指示される場合もあるため、もし治療が長期に及ぶ場合には、何回も新しいものへの交換が必要になり、その費用が結構かかってしまうということもあるかもしれません。
では、そのシムビコートの薬価は一体どれくらいなのか。また、それと比べて他のお薬はどのくらいなのか。今回の記事では、気管支喘息や、その治療薬であるシムビコートに関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
気管支喘息ってどんな病気なの?その治療法とは?

改めて説明いたしますが、気管支喘息とは、何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言います。その気管支の場所は上の図を参考にしていただきたいと思いますが、その炎症部位は時に急な収縮を起こしてしまうこともあり、これが呼吸を困難な状況にしてしまうことがあるというのが喘息の怖いところです。
私も以前気管支喘息の治療を受けていたので、その経験から書かせていただきますが、気管支喘息を発症すると、特に発作などが起きていない時でも、常に息苦しさを感じるようになってしまいます。また、非常に気管支が敏感になっているということもわかり、例えばちょっと熱いものを食べようとすると、そこから立ち上る湯気を吸いこんだだけでも、呼吸が苦しくなって咳が止まらなくなってしまうのです。特に熱はないのに、喉に違和感があって咳がよく出る、これが私が病院を受診するきっかけでした。
私は重度の風邪を患い、熱はひいたのにいつまでも息苦しさや喉の過敏性が良くならないため、病院で検査をうけましたところ、気管支喘息との診断を受けました。もしかしたら、この記事をご覧になってくださっている方の中にも、私と同じように感染症をきっかけに喘息を発症してしまったという方もいるかもしれません。感染症をきっかけに喘息を患ってしまう方というのは結構多いそうなんです。
喘息は放っておいても治らないどころか、下手をすると喉が炎症と修復を繰り返し、更に症状が悪化してしまうこともあるので、きちんと病院で相談をして、正しい治療を行っていくことが大切です。では、どのような治療を行うのかというと、気管支喘息の治療では、主に吸入ステロイド剤や気管支拡張剤を使用して症状をコントロールする長期管理が基本となります。
気管支喘息という病気は、その原因は何らかの細菌やウイルスが原因になっているわけではありません。気管支喘息はよくアレルギー体質の方に多いということもわかっており、「体質」が大きく関係している病気なのです。そのため、この病気の症状は一朝一夕で治るようなものではありませんし、完治を目指すというよりも、症状を悪化させず、普通の生活が送れるように症状をコントロールしていく、というのがその治療の基本的な考え方です。
じゃあ、ずっと薬を使わないといけないの?と不安な方は結構いるのではないかと思いますが、私はもう薬は使わなくても普通の生活が送れるようになりました。これは人それぞれかもしれませんが、私の場合は、継続的な治療を1~2ヶ月続けた結果、喉の過敏性や息苦しさの症状はなくなり、薬を使わなくても大丈夫になりました。ただ、その後1度か2度感染症を患ってしまったことがあったのですが、やはり風邪をひいてしまうと喘息の症状が出てきてしまうので、普段から感染症にはならないように気を付けています。
さて、ではこの気管支喘息はどのように治療をしていくのか、その内容についてもう少し具体的に説明をしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、喘息の治療においては吸入ステロイドや気管支拡張剤を使用した長期管理が基本となります。
ここで、気管支拡張剤とは、その名前からもわかりますように、喘息における炎症の影響から収縮した気管支を拡げ、呼吸を楽にしてくれるお薬になります。ただ、気管支拡張剤には抗炎症作用はないため、これを使用しただけでは喘息は治りません。
そこで使用されるのが吸入ステロイドというお薬なのですが、この「ステロイド」という成分には、免役の働きを抑制し、炎症を鎮めてくれる抗炎症作用があるため、これを継続的に使用することが喘息の改善につながっていくのです。喘息は炎症が起こる病気と説明しましたが、これはつまり、免疫システムが過剰に働いてしまっているということなので、吸入ステロイドを使ってその免疫の働きを抑えてあげるというのが、現時点における喘息の基本的な治療法なのです。
しかし、こういった治療を行っていても、中には症状が急激に悪化して、呼吸が困難になってしまう方というのもいます。そこで用いられるのが、発作治療薬というものに分類されているお薬です。
実は、喘息の治療薬と一口にいっても、そこには色々な種類のものがあります。これについてよく知りたい方はこちらの記事をご覧になっていただくと分かりやすいと思うのですが、喘息の治療薬は、大きく長期管理薬、通称「コントローラー」と、発作治療薬、通称「リリーバー」という大きく2つのカテゴリーに分けることができるのです。
また、その中でもまたいくつかの種類のものがあって、先ほど説明した気管支拡張剤も、即効性のものと遅効性のものがあり、遅効性のものはコントローラーに分類され、即効性のあるものはリリーバーに含まれます。また、吸入ステロイド剤に分類されているお薬にもいくつか種類があって「ステロイド」にもまたいくつか種類があるのです。少しややこしいですね…
ただ、こういったお薬の細かな情報について、全て把握する必要はありません。もちろん知っておいて損はありませんが、少なくとも知っておいてほしいのは、喘息の治療の基本的なことと、どのような場合にどのお薬を使うのか、ということです。これについては医師から薬を処方される時に十分な説明があると思いますが、基本的には、喘息を治療するとなった場合には、コントローラーとリリーバー両方のお薬が処方されます。
そして、コントローラーで症状をコントロールしつつ、もし症状が悪化してしまった場合には、リリーバーで症状を抑える、というのがその治療の基本になります。長い説明になってしまいましたが、次にシムビコートがどんなお薬かというのを説明するために必要なことなので、書かせていただきました。
また、喘息の治療薬について詳しく知りたいという方は、是非以下の記事に一度目を通してみてください。これから説明する内容もさらに理解しやすくなると思います(^^)
→【※喘息大人の治療に使われる薬の種類一覧はこちら】吸入ステロイドの効果とは?…
シムビコートってどんなお薬なの?

シムビコート(シムビコートタービュヘイラー)は、気管支喘息の治療薬として用いられるお薬です。30吸入タイプのものと、60吸入タイプの2つのタイプのものがあります。↓

その詳しい使い方については、以下の動画を参考にしてください。最初に3回カチッと鳴らす準備が必要であったり、使い方にもいくつか注意点があるので、もしこれからシムビコートを使用するという方は、一度ご覧になっていただくと正しくスムーズに使えるのではないかと思います。
このシムビコート、様々ある喘息のお薬の中でもとても優秀なお薬なので、喘息の治療薬としてしばしば用いられるのですが、では、具体的にはいったいどんなところが優秀なのか、そのシムビコートの特徴について詳しくまとめていきたいと思います。
まず、このシムビコートは、喘息の症状が改善されていくよう「コントローラー」として使用するお薬となっています。基本的には、朝と夕方、各1吸入ずつ使用するのですが、このあたりはまた医師の判断によって、各2吸入などと指示される場合もあります。
先ほど、コントローラーにもまたいくつか種類があるということを説明いたしましたが、このシムビコートというお薬は、気管支拡張剤としての成分と、ステロイドとしての成分が一緒に含まれている合剤となっています。具体的には、気管支拡張剤としての作用を示す「ホルモテロール」と、抗炎症作用を示す「ブデソニド」というステロイド成分が一緒になっていて、これ1つで、気管支を拡げて呼吸を楽にする作用と、喘息の原因になっている炎症を鎮めるという2つの作用が期待できるのです。
これだけでも治療薬として非常に優秀であるということが分かりますが、実はこのシムビコート、喘息の症状をコントロールするためのコントローラーとしての用途に加え、発作が出た際にその症状を抑えるためのリリーバーとしても使用ができるお薬として認められています。普通、コントローラーとリリーバーは別のお薬を使うのですが、このシムビコートに含まれている気管支拡張成分「ホルモテロール」には、即効性があるということが認められ、平成24年の4月からリリーバーとしても使用できるお薬として認定されたのです。
実際、これにはどんなメリットがあるのかというと、実は喘息患者の中には、発作が起きてしまったという時にも、その発作治療薬として処方されている方のお薬は使わずに、コントローラーとしていつも使用しているお薬の方しか使わないという方が結構いるんだそうです。でも、確かに、どこからが発作なのか、というのは、本人からしたらなかなか判断が難しいですよね。私も、結局発作治療薬として処方された即効性の気管支拡張剤は一度も使用しませんでした。(私の場合は重度の発作に発展することが無かったのでそれで大丈夫でした。)
ただ、もちろんそういう時に判断が遅れてしまい、コントローラーだけで対処をしようとすると、更に症状がひどくなってしまうということがありえますよね。そのため、コントローラーとリリーバー、2つの役割を担ってくれるシムビコートは、非常に使い勝手がよく、優秀なお薬と言えるのです。
もちろん、このあたりのことは医師からも十分な説明を受けていることと思います。また、シムビコートの他に即効性の気管支拡張剤などが処方されている場合には、もちろんそちらを使用しても大丈夫です。ただ、症状がひどい時にはどのお薬を使ったらいいのか、というのは、もしもの時のためにしっかりと確認をしておくようにしましょう(^^)
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シムビコートは薬価が高い?他のお薬との違いとは?…

ここまでシムビコートの有用性について詳しく説明してきましたが、実はこのシムビコート、少し薬価が高いといわれており、実際この記事をご覧になってくださっている方の中にも、薬価が高いと感じているという方もいるかもしれません。
ちょっと払えないくらい薬価が高いというわけではないですし、初めて喘息治療薬を使うという方ならそうは感じないと思うのですが、もしそれまでにも喘息の治療を行っていたことがあるという方からしたら、あれ?喘息のお薬ってこんなに高かったっけ…と思う方がいるのではないかと思います。
実際、シムビコートの薬価はどのくらいなのかというと、薬価は2年周期で変化する(段々安くなる傾向にある)のですが、2018年の3月までは、シムビコート30吸入の方が2996.3円、60吸入の方が5877.7円となっています。
仮に60吸入の方が処方されたとすると、朝夕1吸入で使用した場合、1日2吸入なので、約1か月(30日)でこれを使い切ることになります。60吸入の方の薬価は約6000円(5877.7円)なので、1吸入が約100円、1日では200円分を吸入するということになりますね。
ただ、実際にはお薬の処方にも保険が適用されるので、60吸入の方を処方される場合には、その3割、つまり約1800円が実際に払わなければならないお金です。これを高いと感じるか、安いと感じるかは、はっきり言って人それぞれでしょう。
喘息治療薬には様々な種類のものがあるのですが、シムビコートのような、吸入ステロイドと気管支拡張剤を一緒にした合剤は、吸入ステロイド単体のお薬よりも高いという特徴があります。これは当たり前のことを言っているだけですが、もしそれまでは吸入ステロイドのお薬しか使用したことが無いという方からしたら、シムビコートの値段をみたら少しびっくりしてしまうかもしれません。
例えば、吸入ステロイド剤の代表的なものとして「パルミコート100ugタービュヘイラー」というお薬があるのですが、これは112回まで吸入することができ、基本的に1日2吸入で使うお薬なので、これ1つで56日間使うことができます。しかし、薬価は1689.40円と非常に手頃な値段で、30日分で薬価が5877.7円であるシムビコートタービュヘイラーとはその値段に大きな違いがありますよね。もし、病院を変えたら処方されるお薬も変わった、という時にはこのようなことが起こりえるかもしれません。
今回はシムビコートに関する情報について詳しくまとめましたが、実は、シムビコートのような吸入ステロイドと気管支拡張剤が一緒になった薬というのは、シムビコート以外にもいくつか種類があります。実際、私も以前その1つである「フルティフォームエアゾール」というお薬を使っていました。こういった合剤同士での薬価の違いを見てみると、そこにはそんなに大きな違いというものはなく、大体が同じような値段です。
現在は合剤をよく処方する傾向があるようなので、以前に吸入ステロイド単体のものを使用していた方からしたら、その薬価に疑問を感じる方もいるかも知れません。高いからよく効くというわけではありませんし、合剤だから絶対に吸入ステロイド単体のものよりも効果があるというわけでもないので、もしそのあたりで疑問なことがありましたら、ぜひ遠慮なくその医師の方にお薬について色々と相談をしてみるようにしましょう(^^)
まとめ

今回の記事では気管支喘息の概要について解説しますとともに、その治療薬に関する情報や、現在の喘息治療薬の中で代表的なお薬の1つであるシムビコートに関する情報について詳しくまとめました。
シムビコートの薬価は高いといわれているのですが、合剤の中では突出してこれだけが高いというわけではありません。また、1日2吸入で使用する場合、1か月の費用は約1800円で済むので、この場合だとそんなに高いとは感じることはないと思います。
しかし、シムビコートは場合によっては1日朝夕2回ずつなど複数回の使用が指示される場合もあるため、そうすると約2週間で1つを使い切ってしまい、1か月では2本分、つまり約3600円の費用が掛かるということになり、こうなるとちょっとその費用を何とか抑えたいという気持ちになりますよね^^;喘息のお薬には色々なものがあり、吸入ステロイドだけで十分ということもあり得ますので、もし費用がかかると厳しいという方は、他に自分に合ったお薬が無いのか医師に相談をすることは全然やってはいけないことではありません。
喘息は長期の治療が必要になる病気なので、医師との信頼関係が重要です。もし、この人とは合わないなと感じたら、病院を変えるというのも1つの手なので、もしそう感じたら是非遠慮なく他の病院の方にも相談をしてみるようにしましょう。
今回の記事は異常になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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