
ドライマウスとはその名前の通り口の中が乾燥してしまう症状のことを言いますが、その原因としてしばしば口呼吸が挙げられているのはご存知の方も多いと思います。口で呼吸をするといつも口の中に乾燥した空気が入ってきてしまうため、自然と口の中の唾液が乾いてしまうんですね。
また、高血圧や花粉症などの薬による副作用や、慢性的なストレスなどもドライマウスの原因として挙げられています。薬の副作用というのは何となく聞いて納得ですが、ストレスがドライマウスの原因になるとはいったいどういうことなのでしょうか。
これには、ストレスが自律神経の乱れを招くということが大きく関係しています。自律神経は、主に緊張しているときに優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位に働く副交感神経という2つから成り立っており、私たちは時と場合によってこの神経の働きを切り替えながら生活しているわけですが、交感神経が優位に働いている時には、自然と唾液は出づらくなってしまいます。これは、緊張をしたときに、口が渇きやすくなるということからも想像がしやすいのではないでしょうか?
そして、慢性的なストレスはこの自律神経のバランスの乱れを招く原因になってしまうため、結果それがドライマウスの原因になってしまうと考えられているのです。なんだか口が渇きやすい、という方でちょっと日ごろからストレスがたまっているかもと思う方は、しっかりと体と心のケアをすることが大切になってくるわけですね。
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様々なものがその原因として挙げられているドライマウスの症状ですが、やはり、1番身近な原因でかつ気を付けなければならないのが口呼吸でしょう。もちろん、ストレスも注意すべき問題であることは確かですが、実はこの慢性的な口呼吸というのは、近年、ドライマウスの原因になるということだけではなく、その他にも非常に多くの問題を引き起こす原因になってしまうということが分かってきているのです。ちょっと信じられないかもしれませんが、なんとリウマチなども難病までもが、この口呼吸がその根本的な原因の1つなのではないかとまで言われています。
そこで今回の記事では、口呼吸とドライマウスとの関係について説明しますとともに、そのドライマウスが引き起こす問題や、その他口呼吸が引き起こすとされる様々な問題について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
慢性的な口呼吸に要注意!ドライマウスが引き起こす問題とは?

ドライマウスは口呼吸によって引き起こされるということは先にお話ししましたが、ではそのドライマウスの状態になると、いったいどのような問題が生じるのでしょうか、詳しく説明していきたいと思います。
まず、ドライマウスによって引き起こされる問題の1つが虫歯や歯周病の悪化です。唾液には細菌の活動を抑え、これを洗い流す自浄作用があるのですが、口の中が乾燥してしまうとその作用も弱まり、細菌の活動も活発になってしまうんですね。
虫歯や歯周病ってなんだかいつもひとくくりにされているイメージがありますが、皆さんは、実はこの2つはその原因となる菌や症状が全く異なるということをご存知でしょうか?
虫歯の原因になる、いわゆる虫歯菌と呼ばれているものは、主にミュータンス菌と呼ばれる特定の細菌であり、これに対して歯周病は、P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)、Td.菌(Treponema denticola)、T.f.菌(Tannerella forsythensis)などを代表とする10種類以上もの細菌がその原因になるということが分かっています。また、今挙げた3つの細菌は、歯周病の原因となる菌の中でも、特に重度の歯周病を引き起こす原因になると言われているんです。
ちなみに、甘いものを食べると虫歯になりやすいといわれているのは、虫歯の原因になるミュータンス菌は、甘いものに多く含まれる糖分を材料にして酸を分泌し、その酸が歯を溶かしてしまうためです。甘いものを食べると嬉しい気持ちになるという方は多いと思いますが、この時嬉しいのは人間だけではないということですね!笑
ミュータンス菌は主に歯を溶かすだけで、基本的には歯茎にまで影響を与えることはあまりないそうです。これに対して歯周病の原因となる細菌は、歯と歯茎の間に入り込み、炎症などを起こす原因となって、歯を支えている組織に少しづつ時間をかけながら影響を与えていきます。症状がひどくなるまで痛みを伴わないことも多いそうで、気が付くと歯がぐらついていたなんてことも珍しくないそうなので、非常に注意が必要です。
また、この話を聞くとドライマウスの症状が口内全体の細菌の活動を活発化させてしまうということも容易に想像できると思いますが、そうなるとそれが口臭の悪化にもつながってしまいます。皆さんの身の回りにももしかしたら口臭がきつい方っていらっしゃるかもしれないのですが、実はその口臭って、その大半が口内細菌から発せられる臭いなんです。
知らない方が聞くと驚くと思いますが、人の口内には、なんと実に300種類もの細菌が住み着いているといわれています。ちなみに、舌をみると白くなっているという方もいると思いますが、これは舌苔(ぜったい)と呼ばれ、これも主に食べ物のカスや口内細菌が付着した結果見られるものです。
ただ、この舌苔をいつも歯ブラシでごしごしとろうとしてしまう方もいるかも知れませんが、それは危険な行為で、味覚感じる神経を傷つけてしまったり、削れた細胞が最近の餌になってむしろ逆にまた舌苔を悪化させてしまう原因にもなってしまうといわれています。舌が少し白いくらいが正常な状態と言われていますので、舌が綺麗なピンク色になるまでごしごし磨くということはしないようにしましょう。
ただ、あまりにも舌が真っ白という方は要注意!これは普段から口の中の細菌が繁殖しやすい環境になっているということでもありますし、細菌が増えやすいということは免疫力が低下しているかもしれないということも意味しています。実は、この舌が白いかそうでないかというのは非常に重要なことで、医者はまず人の口の中をみますが、この舌が白いかどうかというのも様々な症状を判断するための材料なんだそうです。舌苔が多くできている場合には、胃腸などに何らかの問題がある場合もあると言います。
口内の乾燥、つまりドライマウスが起きてしまうと、主に細菌の活動を活発化させ、それによって様々な問題が引き起こされてしまう可能性があります。これに関連する話ですが、次に、慢性的な口呼吸の症状が引き起こす問題について詳しくまとめていきたいと思います。
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こんなにあるの…口呼吸が引き起こす問題はこちら!

口呼吸と鼻呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、このうち口呼吸は非常に問題の多い間違った呼吸法であるということが近年分かってきており、現在多くの医師の方がその改善を呼びかけています。
最初にも申し上げましたが、この口呼吸はリウマチなどの難病とまでつながりがあるのではないかという指摘もあります。これはいったいどういうことなのか、それでは口呼吸が引き起こすとされる様々な問題について詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

これはドライマウスの話と関係してきますが、まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、口内も乾燥し、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
特に、これに関連して要注意なのがお年寄りの口呼吸です。お年寄りの方はただでさえ免疫力が若い方に比べて低いことに加え、唾液の分泌量の減ってしまうため、常に口呼吸をするようになってしまうと肺炎などの細菌感染症の発症リスクが高くなってしまうといわれています。
肺炎は現在お年寄りの死因の第3位にもなってしまっている非常に危険な病気です。こういった感染症にならないためにも、皆さん是非慢性的な口呼吸には気を付けてください。
2:集中力の低下や頭痛、体の疲れを引き起こす

口呼吸が慢性化してしまうと、それは集中力の低下や頭痛、体の疲れなどを引き起こす原因になってしまうということも指摘されています。
実は過去に行われた研究において興味深いデータを示すものがあり、なんと口呼吸は、鼻呼吸に比べて、体への酸素供給量が18%も減少するということが報告されています。
何となく口の方がたくさん空気を取り込めているような気がしてしまいますが、実は空気中の酸素を肺胞に取りこませるためには空気の湿度や温度が重要であり、その点に着目すると、口から吸った空気に比べ、鼻から取り込んだ空気の方が、結果的によく肺胞になじむんだそうです。
こういった理由もあって、口呼吸をしてしまう方は何となく集中力が低下しやすかったり、体が疲れやすいといわれています。また、脳は体の中で最も酸素を消費する器官であるため、酸素供給が上手くいかないと頭痛を引き起こしてしまうこともあるんです。
なんだか最近体がだるい…そう感じる方は、もしかしたらいつの間にか口呼吸をしてしまっているようなことはありませんか?
3:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ちなみに、この睡眠時無呼吸症候群は何となく中年の方に多い病気というイメージがある方も多いと思うのですが、子供でも発症することがあるそうです。詳しくはこちらのサイトなどを参考にしてみてください。
4:骨格や歯並びにまで影響を及ぼす

実は、口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは顔の骨格や歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が骨格や歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、小さい頃から口呼吸が身についてしまった方は出っ歯になりやすく、その影響から、まるで顎が無いかのような、独特な顔つきに成長してしまう可能性があることが分かってきています。この顔つきはアデノイド顔貌と呼ばれているのですが、このアデノイド顔貌については以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非ご覧になってみてください。
→※アデノイド顔貌は治るの?その特徴や原因の口呼吸について解説します!
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
5:腎臓病やリウマチの原因になる可能性がある

これがある意味では1番怖い問題とも言えるのではないかと思いますが、実は慢性的な口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。そしてこれには、病巣感染症という考え方が大きく関係しています。
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
また、このiga腎症に関連して、最近ではリウマチなどの病気にも口呼吸が関連しているのではないかと指摘されています。リウマチと言えば、免役の機能異常によって、免疫システムが自身の体を攻撃してしまい、関節の変形などを主な症状とする難病として知られていますが、なぜこれが口呼吸と関係しているのか、詳しいことは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
→※リウマチの原因は口呼吸?口呼吸と扁桃病巣感染症の関係とは?…
6:アレルギー性疾患の発症の原因になる

この記事をご覧になってくださっている方の中には、花粉症やアトピー性皮膚炎など、何らかのアレルギー性疾患の症状を抱えている方も多いのではないかと思うのですが、実は、慢性的な口呼吸の症状は、そういったアレルギー性疾患の発症や悪化と密接な関係があるということが近年分かってきています。
東大医学部で医師を務め、日本免疫治療研究会会長も務めた経験もある西原克成さんの話によると、アレルギー体質の人はそのほぼ100%が口呼吸をしているそうです。もし、アレルギーの症状がひどいという方は、普段気が付くと口呼吸になってしまっていることはありませんか?
慢性的な口呼吸がアレルギー性疾患を悪化させるという話については、それを裏付ける証拠ともいえるものもあり、過去には口呼吸対策を行った結果アレルギーの症状が大幅に改善したという報告もあります。
例えば、以下の写真はアトピー性皮膚炎の症状に悩む18歳の方の写真なのですが、口呼吸対策を3カ月行った結果、このように症状が良くなったそうです。この変化には驚きですよね。

また、気管支喘息などのアレルギー性疾患もスポーツ選手に意外と多いことから、激しい運動時の慢性的な口呼吸がその症状の発症と関係があるのではないかという指摘もあります。腎臓病やリウマチもそうですが、慢性的な口呼吸は人の免疫システムに大きな影響を与える原因になってしまうんですね(*_*)
もしこの記事をご覧になってくださっている方の中に、アレルギーの症状がある方がいらっしゃいましたら、自分が普段口呼吸をしてしまっていることが無いか意識してみてください。そして、いつの間にか口呼吸になってしまっている自分に気が付いたら、早めにその改善に取り組むようにしましょう。
まとめ

今回の記事では、口呼吸とドライマウスとの関係について詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こすとされる様々な問題に関する情報について詳しくまとめました。
ドライマウスに関する問題を呼んだだけでも口呼吸が健康によくないものであるということはよくわかっていただけたのではないかと思いますが、この口呼吸の習慣が腎臓病やリウマチとまで関係していると聞くと、とても怖いですよね(*_*)普段自分も口呼吸になっていることがあるかも…と思う方は、是非早めに口呼吸の改善に取り組むようにしましょう。
また、その口呼吸の改善方法に関する情報は以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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