口呼吸と鼻呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、実は口呼吸は非常にデメリットの多い間違った呼吸法であるということが指摘されており、現在多くの医師がその改善を呼びかけています。
特に口呼吸の危険性について注目しているのは歯科医師の方々で、なんと最近では、小さいころからの慢性的な口呼吸は、歯並びや顔つきにまで影響してくるということが分かってきています。普段から口をぽかんとあけて生活するようになると、前歯がでっぱり、下あごが後退してしまうことによって、まるであごが無いようなアデノイド顔貌という顔つきになってしまう可能性もあるんです。
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また中には、慢性的な口呼吸の症状は、ある腎臓病を引き起こす原因になると指摘している方もいます。口呼吸が腎臓病と関連があると聞いてもいまいちピンときませんが、これはいったいどういうことなのか。詳しいことはまた後程まとめていきたいと思います。
もし、現在自分が口呼吸かもしれないと思う方は、是非これからは鼻呼吸を意識し、口呼吸の改善に取り組むようにしましょう。ということで、今回の記事では、口呼吸が引き起こすとされる様々な問題について詳しくまとめますとともに、その口呼吸を治す方法についてご紹介していきたいと思います。
目次
知らないと怖い…口呼吸が引き起こす問題はこちら!

ちょっと脅かしているように聞こえるかもしれませんが、口呼吸によって引き起こされる問題の中には、知らないと本当に怖いものもあるんです。特に、現在小さいお子さんがいらっしゃる方は、その子が口呼吸になってしまわないように是非気を付けてください。
では、口呼吸によって引き起こされる問題とはいったい何なのか、詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:口臭や歯周病の原因になる

口呼吸が慢性化してしまうと、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病がひどくなる可能性があるとされています。これは口呼吸によって口内が乾燥し、口内細菌の繁殖を抑える役割を担う唾液が不足してしまうのがその原因です。
知らない方も多いかもしれませんが、私たちの口内には、実に300種類もの細菌が存在しているといわれています。ただ、こういった細菌も普段は唾液の自浄作用によってその繁殖が抑えられているわけですが、口呼吸が慢性化してしまうと、乾燥した環境を好む細菌はここぞとばかりに増えてしまい、結果細菌の塊であるプラークなどもできやすくなって、これが歯周病や口臭の原因になってしまうのです。
3:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ちなみに、この睡眠時無呼吸症候群は何となく中年の方に多い病気というイメージがある方も多いと思うのですが、子供でも発症することがあるそうです。詳しくはこちらのサイトなどを参考にしてみてください。
4:骨格や歯並びにまで影響を及ぼす

実は、口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは顔の骨格や歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が骨格や歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、小さい頃から口呼吸が身についてしまった方は出っ歯になりやすく、その影響から、まるで顎が無いかのような、独特な顔つきに成長してしまう可能性があることが分かってきています。この顔つきはアデノイド顔貌と呼ばれているのですが、このアデノイド顔貌については以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非ご覧になってみてください。
→※アデノイド顔貌は治るの?その特徴や原因の口呼吸について解説します!
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
5:腎臓病の原因になる可能性がある

最初に少し説明しましたが、実は口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
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口呼吸を治す方法はこちら!

いかがでしたでしょうか?ここまで読んでいただいた方には、口呼吸がいかに危ない呼吸法であるかというのがよくわかっていただけたのではないかと思います。
では、この口呼吸はいったいどうやって治したら良いのか、ということで、ここからは口呼吸を治す方法について詳しくまとめていきたいと思います。
口呼吸を治す方法1:ガムを噛む

口呼吸を治す方法として、ガムを噛むという方法を提唱している医師の方がいます。確かに、ガムを噛んでいるときは、自然と口が閉じられますよね。
口呼吸をしてしまう方は、無意識のうちに口が開いてしまうために口呼吸をしてしまいます。ガムを噛む方法はそういった無意識な口の開きを防ぎ、口周りの筋肉を鍛えるという意味でとても有効ですが、このガムを噛むという方法は、記事の中でお話した低位舌を改善するためにも有効なんだそうです。
ガムを使った低位舌改善トレーニングについては、こちらのサイトなどを参考にしてみてはいかがでしょうか?
口呼吸を治す方法2:矯正グッズを使う

皆さんは、現在口呼吸を改善するための様々な矯正グッズが販売されているということをご存知でしょうか?こういった商品は特に寝ている間の口呼吸を治す方法として非常に役に立つと思いますので、夜中のいびきを指摘されたことがあったり、朝起きると口の渇きがひどいなど、寝ている間に口呼吸をしている可能性がある方は、まずはそういったものを活用してみるというのも1つの方法として有効だと思います。
ではどんな商品があるのかと言いますと、口呼吸の矯正グッズとして定番中の定番とも言えるのが、口が開かないように固定しておくテープです。

上の画像は小林製薬から販売されているナイトミンという商品なのですが、これ以外にもいくつかの会社から同様の商品が販売されています。口を開かないように固定する非常にシンプルな商品ではありますが、レビューを見ると結構その効果を実感している方はいらっしゃるようです。
ただ、ちょっと問題なのは、数の割に少々値段が高いという点だと思います。中には絆創膏で十分、と言っている方もいらっしゃったので、まずは絆創膏で試してみて、はがれてしまうようなら、ナイトミンのような商品を試してみるというふうにするといいのではないかと思います。
その他、口が開かないように固定するサポーターなども色々と販売されています。

なんだかいかにも効果がありそうな気がしますが、こういったサポータータイプの商品は、効果を実感している方がいらっしゃる一方で、付けてみる跡がついて、ちょっと痛いとレビューを書いている方もいました。もちろんそれは商品にもよると思いますので、サポータータイプのものを試してみたいという方は、是非色々な商品のレビューなどを見比べてから購入するようにしましょう。
また、このサポーターに少し似た商品で、口だけを隠し、鼻を出すことによって鼻呼吸を促すマスクなども販売されています。例えば以下の画像のようなもので、このマスクは「美呼吸マスク」と検索していただくと見つけられると思います(^^)

ゴムで耳が痛くならないか心配だったけど、大丈夫でしたというレビューがありましたので、非常に使いやすい商品だと思います。お値段も1000円くらいですので、1つ持っておくといいかもしれませんね。
また、この他にもマウスピースのような商品も口呼吸を治すグッズとして販売されています。例えば、三晴社から販売されているブレストレーナーなどがその1つです。

本気で口呼吸を改善したいと考えている方は、今ご紹介したような商品を1つは持っておいてもいいのではないかと思います(^^)どれもそんなにとびぬけてお値段が高いわけではありませんので、是非こういったものを活用してみてください。
口呼吸を治す方法3:あいうべ体操

最近、口呼吸を治す方法として、あいうべ体操と呼ばれる体操が徐々に広まりつつあるのですが、皆さんはご存知でしたでしょうか?このあいうべ体操はみらいクリニックの院長を務める今井一彰さんという方が考案した方法なのですが、本も出版されている他、過去にはテレビでも紹介されています。
このあいうべ体操は、その名前からもわかりますようにあ~い~う~べ~と口を大きく動かすことによって、口周りの筋肉や、舌を鍛えることで、口呼吸の改善を促す方法です。最後のべ~では、舌を顎につくようにだすそうです。
このあいうべ体操の詳しいやり方は、以下の画像が参考になると思います。簡単な方法ですので、口呼吸が気になる方は是非空いた時間に取り組むようにすると良いのではないでしょうか(^^)

まとめ

今回の記事では、口呼吸が引き起こす様々な問題について詳しくまとめますとともに、その口呼吸を治す方法についていくつかご紹介しました。
もし自分は口呼吸かもしれないという方には是非今回ご紹介したような方法を試していただきたいと思いますが、もしすでに睡眠時無呼吸症候群などの疑いがある場合には、まずは医師の方に相談にのってもらうようにしましょう。睡眠時無呼吸症候群は、特に呼吸器内科の先生が話を聞いてくれるようです。
口呼吸の症状は、特に小さいころから慢性化してしまうと、それによる被害も大きくなってしまう可能性があります。もし今小さいお子さんがいらっしゃる方や、これから子供がほしいと考えている方は、その子が口呼吸になってしまわないように是非気を付けてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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