口呼吸と鼻呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、実はこのうち口呼吸は非常に問題の多い間違った呼吸法であるとして、現在多くの医師の方がその改善を呼びかけています。
特に、小さいころからこの口呼吸をする癖がついてしまうと、それはなんと顔の輪郭にまで影響する可能性があるということが分かってきているんです。口呼吸によって形成されるその輪郭、顔立ちは、アデノイド顔貌と呼ばれており、横から見るとまるで下あごが無いかのような独特な顔立ちのことを言います。
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人の顔の輪郭が、実は日々の呼吸の仕方によって変わってしまうなんてとても怖いですよね。現在小さいお子さんがいらっしゃる方や、これから子供がほしいと考えている方には、その子が口呼吸になってしまわないように是非気を付けていただきたいのですが、そもそも、アデノイド顔貌っていったいどんなものなのか、なんでそんな名前なのか気になるという方も多いと思います。
そこで今回の記事では、慢性的な口呼吸によって形成されるアデノイド顔貌とはいったい何なのか詳しく説明しますとともに、その他口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
口呼吸で輪郭が変わる?慢性的な口呼吸によって形成されるアデノイド顔貌とは?

この記事をご覧になってくださっている方の中には、小さいころの写真と、大人になった時の顔を見比べてみた時に、なんだか顔の輪郭が違うなあと感じたことがあるという方もいるかもしれませんね。人の顔の輪郭って、何となく遺伝的な要因でほとんどが決まってしまうように思えますが、実は生まれてからの呼吸の仕方が、この顔の形の成長に非常に大きな影響を与えるということが最近では分かってきているんです。
口呼吸によって形成される顔の輪郭はアデノイド顔貌と呼ばれているもので、上あごのでっぱりと、下あごの後退を特徴とする、まるで下あごが無いかのような独特な顔立ちのことを言います。アデノイド顔貌がどんなものかというのは、以下の図を参考にしてください。

確かに、まるであごが無いような顔の輪郭の人って、割といらっしゃるように思えるのですが、その顔立ちに名前がついており、ましてやそれが呼吸の仕方によって形成されるものであったとは知らなかったという方も多いのではないかと思います。アデノイド顔貌という独特な名前がついているわけですが、その名前の由来とはいったい何なのでしょうか?
そこで、まずこのアデノイドとはいったい何なのかというところから解説していきたいと思うのですが、アデノイドとは、鼻の奥にあるリンパ組織(免役細胞の集まり)のことを言い、別名咽頭扁桃とも言います。アデノイドの位置は以下の図を参考にしてください。

扁桃と言えは喉の奥にある俗にいう扁桃腺が有名ですが、実は鼻の奥にもこれと同じようなリンパ組織があるんです。ただ、このアデノイドと呼ばれる組織は、5歳くらいまでは大きくなり、その後は段々と小さくなっていくということが分かっているそうで、その間に鼻から入ってくる様々な抗原を記憶する重要な役割を担っているそうです。
しかし、中にはこのアデノイドが肥大しすぎたり、年齢を重ねても大きいままであるという方もいるそうで、アデノイドのある位置を見ていただくと分かると思うのですが、そのアデノイドの肥大は慢性的な鼻づまりを起こす原因になってしまいます。すると、自然と口呼吸をするようになってしまう方が多いそうで、この慢性的な口呼吸による「ぽかん口」が、上あごのでっぱりや、下あごの後退を引き起こす原因になってしまうと考えられています。
つまり、アデノイド顔貌という独特の輪郭を形成してしまう原因は、あくまで口呼吸なんです。そのため、アデノイド肥大が起こっている方ではなくても、口呼吸をする癖が身についてしまうことがこの輪郭を形成する原因になってしまいます。
顔の骨格は主に成長期に形成されるものですので、例えば、大人になってから自分はアデノイド顔貌だと気づき、それが口呼吸によるものだと気がついても、口呼吸を治すことによって、その顔つきが劇的に改善されるというわけではありません。アデノイド顔貌を防ぐには、小さいころから鼻呼吸を身に着けることが大切なのです。
ただ、上の歯の歯並びの矯正を行うことでアデノイド顔貌の症状が改善されるというケースもあるといわれている他、手術を行えばアデノイド顔貌は治せるそうです。自力で顔の輪郭を治すのは難しいですが、どうしても気になるという方は、いっそ手術をして顔の輪郭を綺麗にすることは、私個人的には全然ありだと思います(^^)
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その他、口呼吸が引き起こす問題はこちら!

ここまで、口呼吸が顔の輪郭にまで影響を与える理由について詳しく説明してきましたが、実は慢性的な口呼吸によって引き起こされる問題は、その他にも様々なものがあります。
なんと最近では、口呼吸はある腎臓病との関連もあると指摘している方までいるんです。これはいったいどういうことなのでしょうか。それでは、慢性的な口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:集中力の低下や体の疲れを引き起こす

口呼吸が慢性化してしまうと、それは集中力の低下や体の疲れを引き起こす原因になってしまうということも指摘されています。
実は過去に行われた研究において興味深いデータを示すものがあり、なんと口呼吸は、鼻呼吸に比べて、体への酸素供給量が18%も減少するということが報告されています。
何となく口の方がたくさん空気を取り込めているような気がしてしまいますが、実は空気中の酸素を肺胞に取りこませるためには空気の湿度や温度が重要であり、その点に着目すると、口から吸った空気に比べ、鼻から取り込んだ空気の方が、結果的によく肺胞になじむんだそうです。
こういった理由もあって、口呼吸をしてしまう方は何となく集中力が低下しやすかったり、体が疲れやすいといわれています。なんだか最近体がだるい…そう感じる方は、もしかしたらいつの間にか口呼吸をしてしまっているようなことはありませんか?
3:口臭や歯周病の原因になる

口呼吸が慢性化してしまうと、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病がひどくなる可能性があるとされています。これは口呼吸によって口内が乾燥し、口内細菌の繁殖を抑える役割を担う唾液が不足してしまうのがその原因です。
知らない方も多いかもしれませんが、私たちの口内には、実に300種類もの細菌が存在しているといわれています。ただ、こういった細菌も普段は唾液の自浄作用によってその繁殖が抑えられているわけですが、口呼吸が慢性化してしまうと、乾燥した環境を好む細菌はここぞとばかりに増えてしまい、結果細菌の塊であるプラークなどもできやすくなって、これが歯周病や口臭の原因になってしまうのです。
4:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ちなみに、この睡眠時無呼吸症候群は何となく中年の方に多い病気というイメージがある方も多いと思うのですが、子供でも発症することがあるそうです。詳しくはこちらのサイトなどを参考にしてみてください。
5:歯並びにまで影響を及ぼす

実は、口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは顔の骨格や歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が骨格や歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
6:腎臓病の原因になる可能性がある

実は慢性的な口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
まとめ

今回の記事では、慢性的な口呼吸が顔の輪郭に影響を与える理由について詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こす可能性がある様々な問題に関する情報について詳しくまとめました。
まさか呼吸の仕方が顔の形にまで影響するというのは驚きですよね。現在小さいお子さんがいるという方や、これから子供がほしいと考えている方は、是非その子が口呼吸になってしまわないように注意してみてあげるようにしてください。
また、今回お話した口呼吸の改善方法に関する情報は以下の記事で詳しくまとめています。気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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