口呼吸と鼻呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、実は口呼吸は非常に多くのデメリットを伴う危険な呼吸法であるということが分かってきており、最近では多くの医師の方がその改善に取り組むことを呼びかけています。
ぼーっとしているときに口をぽかんとあけてしまい「はあ、はあ」と口で浅い呼吸をしてしまっているという方や、寝ているときに口をあけていびきをかいてしまうような方は注意が必要なのすが、とは言え、口で呼吸をすることに果たしてそんな大きな問題があるのか、と現在あまり気に留めていない方も多いかもしれません。しかし、調べれば調べるほどに、この口呼吸はいかに多くのデメリットを伴うものであるかということが良くわかります。
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もちろん、口呼吸をすることが必ずしも重大な病気に発展するというわけではないのですが、これまでに、口呼吸は心不全や脳血管障害などの発症リスクを高める睡眠時無呼吸症候群の発症につながる可能性があるということが指摘されている他、透析治療も必要になる場合があるiga腎症と呼ばれる腎臓病までもがこの口呼吸が関係しているとも言われています。
また、ここがある意味一番怖いところと言ってもいいと思うのですが、小さいころから口呼吸をする癖が身についてしまうと、なんとそれは人間の顔つきの成長にまで関係してくるとも言われているんです。
ではこれはいったいどういうことなのか、今回の記事では、口呼吸と顔つきの関係に関する情報について詳しくまとめますとともに、口呼吸が引き起こす可能性がある様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
口呼吸が顔つきに影響するといわれているのは何故?皆さんは、「アデノイド顔貌」という言葉をご存知ですか?

皆さんは、アデノイド顔貌と呼ばれる言葉をご存知でしょうか?これは上あごが前にでっぱり、逆に下あごが後退してしまっている、まるであごがないかのような独特な顔つきのことを言うのですが、実はこのアデノイド顔貌こそが、口呼吸によって誘発されてしまう顔つきであるということが最近指摘されるようになってきました。
アデノイド顔貌は上の画像のような顔つきのことなのですが、確かに、この画像のように一見あごが無いような方って結構いますよね。こういった顔つきは、常に口をぽかんとあけていることによって段々と下あごの後退が起こっていくことがその根本的な原因にあると考えられているんです。
おそらく、アデノイド顔貌という言葉をご存知ではなかった方が多いのではないかと思いますが、そもそもアデノイドとはいったい何かというと、これは鼻の奥にある免疫細胞が集まってできた組織のことを言います。その位置は、以下の画像を参考にしてください。

この組織は5歳くらいまでは大きくなっていき、鼻から侵入してくる様々な外敵に対する抗体を作るうえで重要な役割を果たしている組織であるそうなんですが、通常は必要な機能を果たした後は成長とともに段々と小さくなっていくそうです。
しかし、中にはこれが小さくならなかったり、必要以上に肥大してしまう方などもいるそうで、そうなると切除手術が必要になる場合もあるそうなんですが、今回話しているアデノイド顔貌とは、このアデノイドの肥大によって結果鼻づまりが起きてしまい、その結果口呼吸が慢性化してしまうことが原因で形成されてしまう顔つきのことを言うのです。そのため、アデノイド顔貌自体はアデノイドの肥大によってのみおこるというものではなく、何らかの原因によって口呼吸が慢性化してしまうことがこの顔つきに成長させてしまう原因になってしまう、ということのようです。
もちろん、顔つきは遺伝的な部分も大きいことは確かですが、呼吸の仕方によって顔つきが変わってしまう可能性があるというのは非常に怖い話ですよね。そのため、もし現在小さいお子さんがいるという方や、これから子供がほしいと考えている方は、是非自分の子供がいつの間にかぽかんと口をあけていないか注意深く見てあげるようにしてください。
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こんなにあるの?口呼吸によって引き起こされる可能性がある問題はこちら!

ここまで、口呼吸は顔つきを変えてしまう可能性があるということについて詳しくお伝えしてきましたが、口呼吸によって引き起こされる可能性があるとされている問題はこれだけではありません。そこでここからは、今現在口呼吸が引き起こすとされている問題とはいったい何なのか、詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:口臭や歯周病の原因になる

口呼吸が慢性化してしまうと、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病がひどくなる可能性があるとされています。これは口呼吸によって口内が乾燥し、口内細菌の繁殖を抑える役割を担う唾液が不足してしまうのがその原因です。
知らない方も多いかもしれませんが、私たちの口内には、実に300種類もの細菌が存在しているといわれています。ただ、こういった細菌も普段は唾液の自浄作用によってその繁殖が抑えられているわけですが、口呼吸が慢性化してしまうと、乾燥した環境を好む細菌はここぞとばかりに増えてしまい、結果細菌の塊であるプラークなどもできやすくなって、これが歯周病や口臭の原因になってしまうのです。
3:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
4:歯並びの悪化を招く

今回の記事では、口呼吸をすることが顔つきにまで影響するという話をしましたが、それに関係した話で、口呼吸をすることは歯並びの悪化につながる可能性があるということも様々な医師、特に歯科医師の方から指摘されています。これにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しているそうです。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

本当にその程度の力に骨を拡げるほどの力があるのかと最初は思ったのですが、人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかります。
今回の記事ではアデノイド顔貌について詳しく説明しましたが、このアデノイド顔貌において見られる上あごのでっぱりが、まさにこの口呼吸による歯並びの悪化と密接な関係があるのではないかと思います。いずれにせよ、口呼吸をすることが顔の骨格の形成に大きな影響を与える可能性があるということは嘘ではないようなので、もしまだ歯並びが定着していないような小さなお子さんがご家庭内にいる場合には、ぼーっとしているときに口をあけていないかよく見てあげるようにしてください(^^)
5:腎臓病の原因になる可能性がある

まだあるのかよ!と思ってしまいますが、実は口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
まとめ

今回の記事では、口呼吸が顔つきに与える影響に関する情報について詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こす可能性がある様々な問題に関する情報についてご紹介しました。
私は昔から花粉症の症状があるので、春になると鼻づまりがひどくなり、その時期だけはどうしても口で呼吸をしてしまうこともあります。私と同じように花粉症に悩まされている方はきっと多いと思うのですが、その影響から、口呼吸が慢性化してしまわないように皆さん是非気を付けてください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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