
口呼吸と鼻呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、実はこのうち口呼吸は非常にデメリットの多い間違った呼吸法であるということが指摘されており、現在多くの医師の方がその改善を呼びかけています。
現在では大人の5割、20代の若者に至ってはその9割近くが口呼吸をしているとも言われていますが、東大医学部で医師を務め、日本免疫治療研究会会長も務めている西原克成氏の話によると、なんとアレルギー体質の人はそのほぼ100%が口呼吸をしているといいます。そのため、花粉症やアトピーの症状がひどいという方は、気が付くと口呼吸になってしまっていることが無いかたまに意識してみてください。
また、逆に言うと、アレルギーの症状がひどい場合には、口呼吸を改善することによってその症状が改善するケースも多いそうです。例えば、下の写真はアトピー性皮膚炎の症状に悩む18歳の方の写真なのですが、口呼吸の対策を行い、3ヶ月が経過することにはその症状が大幅に改善したそうです。

アレルギーは口呼吸が原因、という話を聞いたことがあるという方は多いかもしれませんが、実際に上の写真のような例をみると、口呼吸が免疫系に与える影響というのは非常に大きいということが分かりますよね。また、その口呼吸による免疫系への影響が、最近では腎臓病やリウマチの原因になる可能性があるということもわかってきているのですが、詳しくはまた後程お伝えしていきたいと思います。
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さて、現在その体への影響が非常に注目、心配されている口呼吸であるわけですが、皆さんは慢性的な口呼吸は人の顔まで変えてしまう可能性があるということをご存知でしょうか?実は慢性的に口呼吸を行っていると、それは歯並びや顔つきにまで影響を与えてしまい、独特な特徴を持った顔へと成長させてしまうといわれているんです。
そこで今回の記事では、口呼吸をしている人の顔の特徴について詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
あなたは知ってる?口呼吸をしている人の顔の特徴とは?

皆さんは、慢性的な口呼吸は、実は人の顔の形にまで影響するということをご存知でしたでしょうか?特に、小さな子供のころからこの口呼吸が慢性化してしまうと、成長に伴い顔がだんだんと変化していき、具体的には、上あごがでっぱったり、下あごが後退することによって形成される、アデノイド顔貌と呼ばれるまるで下のあごが無いかのような独特な顔つきになりやすいということが指摘されているんです。
そのアデノイド顔貌がどんなものかというのは、以下の画像を参考にしてください↓

こういった顔の特徴がある方をこれまでに見たことがある、または自分がそうなのかもしれないという方もいるかも知れませんが、これがなぜアデノイド顔貌という名前なのか、ということについてはご存知ない方も多いかもしれません。
簡単に説明しますと、この名前に含まれる「アデノイド」とは鼻の奥にある免疫組織のことであり、この組織の肥大によって鼻呼吸が困難になり、結果口呼吸が慢性化してしまうことが、この独特な顔の形につながってしまうのではないかと考えられており、それがこのアデノイド顔貌という名前の由来となっているようです。
もう少し詳しく説明しますと、このアデノイドとは別名咽頭扁桃(いんとうへんとう)と呼ばれる組織のことで、外から入ってきた細菌やウイルスの情報を記憶し、抗体の産生を促す役割などを担っています。しかし、その役割を果たすのは主に生まれてから数年の間のことであり、全身の免疫力が獲得された後は、次第に小さくなっていくことが知られています。
実際には、5歳くらいの頃までは大きくなり、その後は段々と小さくなっていくそうなんですが、中にはこの組織が異常に肥大したり、小さくならない方もいるそうで、それが慢性的な鼻づまりの原因になってしまうということが指摘されています。
アデノイドの位置は以下の図を参考にしてください。確かにこの位置にあるアデノイドが肥大してしまうと、それが鼻づまりを起こしてしまうというのはよくわかりますよね。ちなみに、もし鼻づまりの原因がアデノイドの肥大である場合に、基本的には切除手術が必要になるそうです。

ただ、今回お話しているアデノイド顔貌という顔つき自体は、あくまで慢性的な口呼吸の症状が原因となって形成されるものであり、その原因がアデノイド肥大によるものであるとは限らないようです。現在、口呼吸をしてしまう原因としては、硬いものを噛まなくなったことによる口周りの筋力低下や、姿勢(猫背)、鼻炎などのアレルギー症状など様々なものが挙げられていますが、その原因がなんであれ、慢性的な口呼吸をしている場合には、このアデノイド顔貌という独特な顔の形に成長してしまう可能性があるのです。
アデノイド顔貌は、もう骨格が口呼吸の習慣に合わせてそういう形に成長してしまっているということなので、大人になってから口呼吸を治したからと言って、アデノイド顔貌自体も治るというわけではないようです。ただ、どうしても治したい場合には、手術を行うことによって治せるケースもあるようです。
しかし、もちろん1番大切なことは、小さい頃から鼻呼吸を癖づけるということです。もし現在小さいお子さんがいるという方や、これから子供がほしいと考えている方は、その子が口呼吸になってしまわないように是非気を付けてください。
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アデノイド顔貌だけじゃない!その他口呼吸をしている人の特徴はこちら…

口呼吸をするようになると、それによって引き起こされる問題はアデノイド顔貌の症状だけではありません。そこでここからは、慢性的な口呼吸が引き起こす可能性がある様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:集中力の低下や体の疲れを引き起こす

口呼吸が慢性化してしまうと、それは集中力の低下や体の疲れを引き起こす原因になってしまうということも指摘されています。
実は過去に行われた研究において興味深いデータを示すものがあり、なんと口呼吸は、鼻呼吸に比べて、体への酸素供給量が18%も減少するということが報告されています。
何となく口の方がたくさん空気を取り込めているような気がしてしまいますが、実は空気中の酸素を肺胞に取りこませるためには空気の湿度や温度が重要であり、その点に着目すると、口から吸った空気に比べ、鼻から取り込んだ空気の方が、結果的によく肺胞になじむんだそうです。
こういった理由もあって、口呼吸をしてしまう方は何となく集中力が低下しやすかったり、体が疲れやすいといわれています。なんだか最近体がだるい…そう感じる方は、もしかしたらいつの間にか口呼吸をしてしまっているようなことはありませんか?
3:口臭や歯周病の原因になる

口呼吸が慢性化してしまうと、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病がひどくなる可能性があるとされています。これは口呼吸によって口内が乾燥し、口内細菌の繁殖を抑える役割を担う唾液が不足してしまうのがその原因です。
知らない方も多いかもしれませんが、私たちの口内には、実に300種類もの細菌が存在しているといわれています。ただ、こういった細菌も普段は唾液の自浄作用によってその繁殖が抑えられているわけですが、口呼吸が慢性化してしまうと、乾燥した環境を好む細菌はここぞとばかりに増えてしまい、結果細菌の塊であるプラークなどもできやすくなって、これが歯周病や口臭の原因になってしまうのです。
4:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ちなみに、この睡眠時無呼吸症候群は何となく中年の方に多い病気というイメージがある方も多いと思うのですが、子供でも発症することがあるそうです。詳しくはこちらのサイトなどを参考にしてみてください。
5:歯並びにまで影響を及ぼす

これは最初に説明したアデノイド顔貌に関連した話になりますが、実は口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
6:腎臓病やリウマチの原因になる可能性がある

まだあるのかよ!と思ってしまいますが、実は口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる顔の特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
また、このiga腎症に関連して、最近ではリウマチなどの病気にも口呼吸が関連しているのではないかと指摘されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
→※リウマチの原因は口呼吸?口呼吸と扁桃病巣感染症の関係とは?…
まとめ

今回の記事では、口呼吸をしている人の顔の特徴に関する情報や、その他口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめました。
また、口呼吸をしている人の顔の特徴としては、アデノイド顔貌以外にも、唇の肥大、つまりたらこ唇なども挙げられるそうです。実際、先ほどiga腎症の話の際に名前をだした堀田さんの話によると、iga腎症の患者の多くにおいてそういった顔の特徴が見られると言います。
また、口呼吸がリウマチと関係があるという話では、リウマチの患者はその多くが口臭がきついという特徴があることから、口呼吸はリウマチとの関連があるのではないかという発見につながったそうです。そう指摘するのは福岡にあるみらいクリニックの院長を務める今井一彰という医師の方であり、この方は現在口呼吸の改善を呼びかけている第一人者と呼べる方でもあります。口呼吸とリウマチとの関連に関する話は大変興味深い内容なので、是非別記事の方をご覧になってみてください(^^)
また、今回お話した口呼吸の改善方法に関する情報は以下の記事で詳しくまとめています。気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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