気管支喘息を発症し、これから治療を行っていく方にとって、喘息の治療に使われる薬にはどのような種類のものがあるのかということは非常に気になる点だと思います。また、患者自身が正しい治療を行うために、なぜその薬をつかうのか、その薬に関する情報をしっかりと把握しておくことはとても重要です。ただ医師に処方された薬を使うというだけではなく、なぜその薬が治療に有効なのか理解したうえで使用した方が、不安も少なくて済みますよね。
特に、近年大人になってから喘息を患う方は増加傾向にあるといわれており、こうした喘息大人の症状は子供の喘息に比べて発作が起こると重症化しやすいといわれていますので、薬に関する正しい知識を持って治療を行うことがとても重要です。
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そもそも、まず気管支喘息とはどのような病気なのかということを一言で説明しますと、気管支喘息とは、免役システムの誤作動によって、気管支が慢性的に炎症を起こしてしまう病気のことを言います。このように気管支が炎症を起こすと、その影響から気管支がむくむため、気管支喘息の患者は慢性的に息苦しさを感じるようになります。また、このように炎症を起こした気管支は非常に敏感な状態となっているため、アレルギー反応、タバコの煙、お酒、運動、ストレスなど、様々な刺激によって急激な収縮が起こり、呼吸が困難になってしまうことがあります。これがいわゆる気管支喘息における発作と呼ばれる症状です。
気管支喘息の根本的な原因は、先ほども書きましたように気管支に生じている炎症ですので、喘息の治療ではまずは抗炎症効果のある吸入ステロイドと呼ばれる薬を使って、この炎症を徐々に鎮めていくことが基本となります。しかし、吸入ステロイド以外にも、抗アレルギー薬や、気管支拡張剤に分類されるものなど、気管支喘息の治療に使われる薬には様々な種類のものがあります。今回の記事では、喘息の治療に使われる薬について、その種類や詳細を一覧にしてまとめたいと思います。
目次
喘息大人の治療のゴールとは?子供の喘息と喘息大人の違いはこちら…

まず、始めに喘息大人の症状は重症化しやすいということを申し上げましたが、この喘息大人の症状は薬を使って治療をしても完全に治すのは難しいということも言われています。
しかし、薬を適切に使って治療を行えば確実に症状は良くなりますし、喘息の症状を気にすることなく生活が送れるようにもなります。このように、喘息大人の治療のゴールは健常者と同じような普段の生活が送れるようになることです。
実際に喘息の症状があり、辛いと感じている方は、薬を使って治療を行うとどのくらい症状が良くなるのかと不安になる方もいると思いますが、私自身喘息の症状を改善させた経験がありますので、その経験について少しお話したいと思います。
私の場合は、大人になってから重度の風邪と併発して子供のころに患っていた喘息の症状を再発させてしまいました。最初は喘息であるとは思いもしなかったのですが、熱はひいたのに、しばらくしても空咳(乾いた咳)が一向に収まる気配がなく、常に息苦しさを感じる日々が続いたため、呼吸器内科を受診し検査を受けた結果喘息と診断されました。
最初は喘息を発症したことにひどいショックを受けましたが、薬によって治療を続けた結果、次第に症状は良くなり、咳の症状は段々となくなっていきました。これで何とか一安心かと思いきや、今度は軽度の風邪とともにまた慢性的な咳の症状が現れるようになってしまいました。
そこで私は薬による治療に加えて、喘息の改善に良いとされる水泳も取り入れ、風邪などをひかないように健康管理をしっかりと行った結果、咳や息苦しさの症状はなくなり、今では薬を使うこともなく、喘息を発症する前と同じような生活を送ることが出来るようになりました。
しかし、また風邪をひくと症状が現れてしまうのではないかという不安もあります。経験したからわかるのですが、喘息患者にとって風邪をひくことは、発作のようなひどい息苦しさを引き起こす原因となりますので、喘息患者の方はまず感染症にかからないようにするために健康管理をしっかりと行うことがとても重要です。
経験から申しますと、喘息の治療において、水泳を取り入れることは非常に有効だと感じました。私は、薬による治療を行いつつ、水泳を適度に行った結果、喘息の症状が非常によくなりました。水泳が喘息の改善に良いということは、川井太郎氏という医師の方も述べており、彼は水泳が喘息の改善にもたらす効果を説明するとともに、水泳の運動を家でもできるようなエクササイズを紹介したDVDも出しています。私も、このDVDを購入して実践してみましたが、ちょうど家の近くにジムがあったので、現在はそちらのジムで適度に泳ぐようにしています。もし、近くにジムがないという方は、川井医師が紹介しているエクササイズを実践してみてはいかがでしょうか?
気管支喘息という病気は、実は子供と大人でその症状に少し違いがあるといわれています。根本的な原因は気管支の炎症であることには間違いないのですが、子供の場合発作が起こる原因としてアレルギーが多いのに対し、大人の場合はアレルギー以外のものが発作の原因になってしまうという方が多いといわれています。アレルギー以外の原因とは、最初にも挙げましたが、タバコの煙やお酒、運動、ストレスなどです。
また、大人になってから喘息を発症してしまった場合、その患者の中にはロキソニンやバファリンなどの解熱鎮痛剤によって重度の発作が引き起こされてしまう方もおり、この症状はアスピリン喘息と呼ばれています。このアスピリン喘息の症状は、大人の気管支喘息患者の約10%ほどに見られるといわれており、子供の患者は基本的にいないため、後天的に発症する疾患であると考えられています。
特に大人になってから喘息を発症してしまった方は、解熱鎮痛剤の成分に対して過敏な体質になってしまっている可能性があるため、頭痛薬などを飲む際には注意が必要です。このアスピリン喘息に関する詳細はこちらの記事でまとめています。
喘息大人の症状と、子供の喘息にはこのようにその症状についていくつか違いがありますが、その治療の仕方や治療に使われる薬は基本的に同じです。それでは、喘息の症状を治療するために用いられる薬にはどのようなものがあるのか詳しく説明していきたいと思います。
喘息大人の治療に使われる薬の種類はこちら

喘息の治療に使われる薬には様々な種類のものがありますが、それらの薬は長期にわたって治療に用いられるコントローラーと、急な発作を鎮めるために使われるリリーバーの2種類に分けられます。
また最初に述べましたように、それらの薬は更に炎症を抑える抗炎症剤と、狭くなった気管支を広げる気管支拡張剤に分けることができます。それでは、喘息の治療に用いられる薬にはどのような種類のものがあるのか詳しくまとめていきたいと思います。
コントローラー
コントローラーとは、発作が出ないよう管理するための薬です。長期にわたって治療に用います。
抗炎症剤と気管支拡張剤ごとにわけると
抗炎症剤には、吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬などがあり、
気管支拡張剤には、長時間作用型β2刺激薬、テオフィリン徐放製剤、抗コリン薬などがあります。
*これらに関する詳細は後に記述してあります。
リリーバー
リリーバーは発作が出てしまったときにそれを鎮めるために使われる薬です。
抗炎症剤は主に経口ステロイド薬が使用され、
気管支拡張剤には、主に短時間作用型β2刺激薬が用いられます。
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喘息の治療に使われる薬の種類一覧はこちら。吸入ステロイドの効果とは?…

それでは次に、先ほど述べたコントローラーやリリーバーに分類される薬について、その薬の効果や使用の際の注意点などについて一覧にして詳しく説明したいと思います。まずは、コントローラーとして治療に用いられるものから説明します。
吸入ステロイド
吸入ステロイドはその名の通り吸入するタイプの薬で、炎症が生じている気道に直接作用させます。ステロイドは、炎症作用に関与する様々な伝達物質の産生を抑制する効果があるため、免疫作用を弱め、抗炎症効果を得ることが出来るのです。気道に直接作用することから、一回の量が少量で済むので、それほど副作用の心配をする必要はありません。しかし、使用後は口内に残った薬品の影響による感染症を防ぐために、うがいをして口内の余分な薬品を洗い流すようにしましょう。
抗アレルギー薬
抗アレルギー薬のうち、治療に用いられる代表的なものとして抗ロイコトリエン薬があります。ロイコトリエンはアレルギー反応の際肥満細胞から放出される化学物質であり、気道の収縮を促します。先ほど述べた吸入ステロイドは様々な化学物質の抑制を行いますが、ロイコトリエンの抑制には効果が薄いため、アレルギーが原因で発作が起きてしまう方には、この抗ロイコトリエン薬が用いられます。この抗ロイコトリエン薬は、ロイコトリエンが受容体に受容されることを阻害し、アレルギー反応に関する情報伝達を阻害することによって、気道の収縮を防ぐ効果があります。
長時間作用型β2刺激薬(LABA)
LABAは吸入タイプの薬で、気道平滑筋のβ2受容体に作用し、収縮した平滑筋を弛緩させることで、気管支を拡張させる効果が期待できます。長い時間効果が続くのが特徴です。ただ、この薬には抗炎症効果はないため、治療には抗炎症剤も併用して使うことで症状をコントロールします。
テオフィリン徐放製剤
テオフィリン徐放製剤は、気管支の拡張と、抗炎症の二つの効果を示します。ゆっくりと溶け出すように作られているため、血中のテオフィリン濃度の安定化に優れており、また長時間の効果が期待できる薬となっています。
抗コリン薬
体内器官の働きをコントロールする役割がある自律神経は、主に交感神経と副交感神経の2つに分けられるのですが、このうち、人間は起きているときは基本的に交感神経が優位になっており、眠っているときなどリラックスしているときは副交感神経が優位になっています。そして、この副交感神経が優位になっているとき、体内ではアセチルコリンと呼ばれる化学物質の伝達が行われており、この作用によって、気管支が収縮しやすくなっています。夜間に発作が起きやすいといわれているのは、この副交感神経の働きによる影響が大きく関係しているのです。抗コリン薬はこのアセチルコリンの働きを抑制する働きがあるため、気管支の拡張効果が期待できます。同じ気管支拡張剤であるβ2刺激薬と比較すると効果は薄いのですが、体への負担は小さいといわれています。
次は急な発作を抑えるリリーバーとして治療に用いられる薬について説明します。
経口ステロイド
重篤な発作が出てしまった場合は、内服型の経口ステロイドを摂取することで症状の改善をはかります。吸入ステロイドは気管支のみに作用しますが、経口ステロイドは全身に作用するため強い抗炎症効果が期待できます。ただ、摂取してから効果をえられるまでに2時間程度の時間がかかりますので、即効性のある短時間作用型β2刺激薬と併用するのが基本です。また、全身に作用する分吸入型と比較すると副作用のリスクは高まります。正しい用法用量を守ることが大切です。
短時間作用型β2刺激薬(SABA)
作用メカニズムはLABAと変わりませんが、SABAは速攻性があり、使用してから約20分ほどで効果が得られるものになっています。作用時間は4~6時間と言われています。
喘息は重症化すると命に係わります!症状が表れて危ないと感じたらすぐに病院へ行きましょう!
喘息は発作がおきて重症化すると命を落としてしまう可能性もある病気です。上記のように、現在喘息は様々な薬の登場によって治療が進歩しつつありますが、もしこれらの薬を使用しても症状が改善されなかったりした場合はすぐに病院へ行くか、救急車を呼ぶなどして対応するようにしてください。喘息は、近年でも年間約2000人近い方が亡くなっている病気です。
喘息の症状が悪化してしまった場合、その症状の程度によっては治療のために入院が必要になることもあります。喘息の治療における入院の必要性に関する情報は以下の記事でまとめていますので、よろしかったらご覧になってみてください。
喘息の治療における入院の必要性について気になる方はこちらの記事をご覧ください…
まとめ

今回は喘息大人の治療に使われる様々な種類の薬の詳細について一覧にしてまとめました。
喘息大人の症状は放っておいたり、治療をおろそかにすると重症化に発展してしまいますので、これらの薬を使って正しい治療を行っていくことが大切です。
薬を使って正しい治療を行えば、間違いなく症状は改善されます。大人になって急に喘息を発症してしまった場合戸惑うことも沢山あると思いますが、健康的な生活が送れるようになるために、医師と相談しながら治療を頑張りましょう。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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とても参考になり、これからもっと
気をつけて 内服するように 気をつけていきたいと思いました‼