
先日、80歳以上の高齢者の方で、歯が20本以上残っている方の割合が5割をこえたという調査結果が発表されていました。大変うれしいニュースではありますが、このように年齢を重ねた時に自分の歯を残しておくためには、子供のころからの歯のケアが重要になってくるということは言うまでもありませんね。
私もまだ子供のころは、よく歯医者さんに通って虫歯の治療をしていた記憶があるのですが、今思うと、子供のころは本当に歯磨きが雑だったなあと思います。今は歯の健康について意識するようになったので、歯ブラシも良いものを選んで、しっかりと時間をかけて磨くようにしていますが、子供のころは1分もかけずにざっと磨いている、という感じでした笑
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虫歯の痛みは自分ではどうしようもできないものなので、今後は虫歯にならないよう毎日しっかりと歯を磨いていきたいと思いますが、もし皆さんのご家庭で、なんだかうちの子供は虫歯になりやすい…ということがありましたら、是非その子供の口元をちょっとよく観察してみてください。もし、その子が普段ぽかんと口をあけて、口呼吸をしているようなら、虫歯になりやすい原因はまさにその口呼吸にあるかもしれないんです。
実はこの口呼吸、非常に様々な問題を引き起こす危険な呼吸法であるということが指摘されており、特に子供のころから口呼吸をする癖が身についてしまうと、それは様々な健康上の被害をもたらす原因になってしまう可能性があります。そこで今回の記事では、口呼吸が虫歯の原因になってしまうのはいったい何故なのかということについて詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報についても詳しくまとめていきたいと思います。
目次
子供が虫歯になりやすい…その原因は口呼吸かもしれません!

私は子供のころは何度か虫歯になったことがありますし、成人を迎えてからも一度だけ虫歯の治療を受けましたが、虫歯って、何とも言えない痛みが続いて本当につらいですよね(*_*)また、大人になってからでも、虫歯の治療で歯を削られるというのは嫌なものです…
虫歯にならないためには、毎日磨き残しが無いようにこまめに歯を磨くことが大切になってくるわけですが、もし皆さんのご家庭で、なんだかうちの子供は虫歯になりやすいなあ…というようなことがありましたら、是非その子が口呼吸をしてしまっていないかよく観察してみてください。もし普段その子供が口をぽかんとあけて口呼吸をしているようなら、虫歯になりやすいのは、まさにその口呼吸が大きく関係しているかもしれないんです。
では、なぜ虫歯と口呼吸が関係しているかということについて説明したいのですが、その前に、そもそも皆さんは虫歯とはいったいどんな病気なのかよくご存知でしょうか?知っている方が後の説明も分かりやすいと思いますので、簡単に説明したいと思います。
虫歯とは、ミュータンス菌と呼ばれる細菌が口の中に歯垢(しこう)を作り、その歯垢の中で酸を分泌することによって、段々と歯が溶けていってしまう病気です。歯垢はプラークとも呼ばれており、これは簡単に言うと細菌が集まってできた塊です。
ミュータンス菌は俗に虫歯菌と呼ばれているもので、私たちが生まれてから後天的に感染するものであるということが分かっています。ミュータンス菌がいなければそもそも虫歯にすらならないわけですが、いつの間にか母親や周りの方の口から子供へと移ってしまうそうです。
よく、甘いものを食べると虫歯になりやすいと聞きますが、実はこの虫歯菌は、砂糖を材料にして酸を作りだすということが分かっています。甘いものが好きな方は多いと思いますが、甘いものを食べたとき、嬉しいのは自分だけではないということですね…笑
普段、キシリトール入りのガムを噛んで歯の健康に気を使っている方も多いのではないかと思いますが、このキシリトールとは天然甘味料の一種、つまり甘さを感じさせてくれる成分なんです。普通の砂糖は虫歯菌にとって酸を作りだす材料になってしまうわけですが、このキシリトールは虫歯菌に取り込まれた後キシリトール5リン酸と呼ばれる成分へと変化し、これが代謝阻害を起こすことによって、ミュータンス菌の活性を弱め、酸の分泌量を減らし、結果これが虫歯の予防につながるということが分かっています。
もしキシリトールがどんなものか知らなかったという方は、是非これを機会に今後はキシリトール入りのガムを普段から噛むことをお勧めいたしますが、ここで、ではなぜ口呼吸は虫歯と関係があるのかという話に戻りたいと思います。
もう察しが良い方ならすでにお気づきかもしれませんが、口呼吸が虫歯の悪化を招くのは、口呼吸が口内の乾燥を招き、唾液の自浄作用を低下させてしまうことによって、ミュータンス菌をはじめとする様々な細菌の活性を高めてしまうのがその理由です。
私たちの口の中には、なんと実に300種類以上にも及ぶ細菌が存在しているといわれており、こういった細菌は普段、唾液の自浄作用によってその活性がある程度抑えられています。ミュータンス菌もその例外ではないわけですが、口呼吸をしてしまう方は口内がとても乾燥しやすいため、細菌が増加しやすく、これが虫歯や歯周病などの口内トラブルを進行させる原因になってしまうということが指摘されているのです。
また、口内の細菌の増加は口臭の悪化も招いてしまいます。実は口臭って、その大半は口内に潜む細菌から発せられる臭いなんです(*_*)
大人になれば歯磨きにも口臭にもある程度皆さん気を使うと思うのですが、子供の時にはあまり気にしなかったという方もきっと多いのではないかと思います。当たり前ですが歯はとても大切なものですし、子供のころからしっかりとケアをすることが後々のことを考えると非常に大切になってきますので、もし子供が虫歯になりやすいという場合は、是非その子の呼吸法にも注意していただければと思います。
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こんなにあるの!?口呼吸が引き起こす問題はこちら…

ここまで、口呼吸は虫歯を悪化させる1つの原因になってしまうという話について詳しくまとめてきましたが、実はこの口呼吸は、それ以外にも様々な問題を引き起こす原因になってしまうということが分かってきているんです。
そして、特にこの口呼吸が子供のころから身についてしまうと、それはその子の歯並びや顔つきにまで影響してくる可能性があるということが分かってきています。これははたしてどういうことなのか、次に、口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:集中力の低下や体の疲れを引き起こす

口呼吸が慢性化してしまうと、それは集中力の低下や体の疲れを引き起こす原因になってしまうということも指摘されています。
実は過去に行われた研究において興味深いデータを示すものがあり、なんと口呼吸は、鼻呼吸に比べて、体への酸素供給量が18%も減少するということが報告されています。
何となく口の方がたくさん空気を取り込めているような気がしてしまいますが、実は空気中の酸素を肺胞に取りこませるためには空気の湿度や温度が重要であり、その点に着目すると、口から吸った空気に比べ、鼻から取り込んだ空気の方が、結果的によく肺胞になじむんだそうです。
こういった理由もあって、口呼吸をしてしまう方は何となく集中力が低下しやすかったり、体が疲れやすいといわれています。なんだか最近体がだるい…そう感じる方は、もしかしたらいつの間にか口呼吸をしてしまっているようなことはありませんか?
3:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
4:骨格や歯並びにまで影響を及ぼす

実は、口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは顔の骨格や歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が骨格や歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、小さい頃から口呼吸が身についてしまった方は出っ歯になりやすく、その影響から、まるで顎が無いかのような、独特な顔つきに成長してしまう可能性があることが分かってきています。この顔つきはアデノイド顔貌と呼ばれているのですが、このアデノイド顔貌については以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非ご覧になってみてください。
→※アデノイド顔貌は治るの?その特徴や原因の口呼吸について解説します!
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
5:腎臓病の原因になる可能性がある

まだあるのかよ!と思ってしまいますが、実は口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
まとめ

今回の記事では、子供が虫歯になりやすい方には是非知っておいていただきたい、口呼吸が虫歯の悪化に与える影響に関する情報について詳しくまとめますとともに、その他口呼吸が引き起こす様々な問題に関する情報について詳しくまとめました。
もちろん、口呼吸によって虫歯になりやすくなるのは大人も同じです。もし普段、気が付くと口呼吸になってしまっていることがありましたら、是非早めに鼻呼吸への改善に取り組むようにしましょう。
また、口呼吸の改善方法に関する情報はこちらの記事で詳しくまとめていますので、気になる方は非一度ご覧になって見てください。
今回の記事は以上になります。最期まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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