小さい子供が発症してしまう気管支喘息のことを一般的に小児喘息といいますが、その気管支喘息とは、一言でいうと、何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言います。
小児喘息の患者も、大人の喘息患者も、その基本的な症状が気管支の慢性的な炎症であるということには変わりはないのですが、その治療方針、つまり治療のガイドラインには違いがあり、小児喘息の患者には、その小児喘息の治療・管理ガイドラインに基づいた治療が行われていくことになります。
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わが国では、数年に1度、「日本小児アレルギー学会」という団体がその小児喘息のガイドラインをまとめて発表しているのですが、では、その最新版の2017年版はすでに存在しているのか、気になっておられる方もいるようなので調べてみました。
そこで今回の記事では、気管支喘息の概要や、小児喘息の概要などについて詳しくまとめますとともに、小児喘息の治療ガイドライン、2017年版に関する情報についてまとめて行きたいと思います。
目次
気管支喘息とはどのような病気なのか?

最初にも申し上げましたように、気管支喘息とは、何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言います。
普通、気管支などの喉の炎症というと、何らかの病原体などが感染してしまった際に、その免疫反応として表れるような症状のことをいいますが、気管支喘息を発症してしまうと、特にそういった病原体などが感染しているわけでもないのに、気管支において免疫細胞の増加などがみられ、そこが常に炎症を起こした状態になってしまうのです。
そして、その炎症の影響から気管支の壁はむくみを起こし、また、その炎症部位は様々な刺激に対して敏感に反応して収縮を起こしてしまうため、気管支喘息を発症すると、その患者は常に息苦しさを感じるようになってしまいます。また、人によっては咳の症状が止まらなくなるような場合もあります。
そして、その気管支の炎症部位は時に急激な収縮を起こしてしまうこともあり、その結果、患者は呼吸が困難になってしまうような場合もあります。これが、俗にいう「発作」と呼ばれる症状であり、気管支喘息の患者においては、いかにこの発作を起こさないように、その症状をコントロールしながらその症状改善に向けて治療をしていくかが何より重要になります。
そして、もうすでに皆さんもご存知だとは思うのですが、そういった喘息症状の改善に用いられるお薬の代表的なものが、吸入ステロイドと呼ばれるものになります。
気管支喘息の治療においては、この吸入ステロイドを1日数回、長期にわたって使用していくことでその症状改善を目指していくのですが、ではなぜその吸入ステロイドを使用することが気管支喘息の改善につながっていくのかというと、これは、そのステロイドと呼ばれる成分には喘息患者に診られる気管支の炎症を鎮める効果が期待されるためです。
もっと具体的に説明すると、その「ステロイド」と呼ばれる成分には免疫の作用を抑制する働きがあり、吸入薬としてこの成分を直接気管支の炎症部位に吹きかけることによって、結果免疫反応として表れている気管支の炎症を少しずつ鎮めていくことができるのです。
ただ、その吸入ステロイドを使用する際には1つ注意しなければならないこともあります。それは、使用後には必ずうがいをして、口内に残っている余分なステロイド成分を洗い流さなくてはならないということです。
これはなぜなのかというと、先ほど申し上げましたように、吸入ステロイドとは免疫の働きを抑制する成分であるため、これが口内に余分に残ってしまうと、その結果口内の免疫力も下がり、それによって口腔カンジダ症と呼ばれるカビ(真菌)の繁殖などが起こってしまうこともあります。
吸入ステロイドは、使用した時点ですぐに気管支の炎症部位まで届くため、口内に残った成分を洗い流すことが、その治療の妨げになるようことはありません。
また、吸入ステロイドの使用後に口をゆすぐというのは、吸入ステロイドの使用をするうえで非常に基本的な注意点なので、必ず医師の方からも説明されると思いますが、そのうえで、その注意点を忘れずに、しっかりとうがいをするところまで気を付けることが大切です。
小児喘息と大人の喘息の違いとは?

ここまで、気管支喘息の概要についてまとめてきましたが、小児喘息も、大人の喘息も、その主な症状が気管支における慢性的な炎症であるということには変わりはありません。
しかし、その小児喘息と、大人の喘息とでは、特に、その症状の悪化が引き起こされる原因に大きな違いがあるといわれています。具体的には、小児喘息の場合は、その症状悪化の原因の8割以上がアレルギー反応であるといわれているのに対し、大人の喘息患者の中には、そのアレルギー反応によって症状が悪化してしまう方もいれば、それ以外の原因(お酒、たばこ、運動、感染症、ストレス、気温や気圧の変化、解熱鎮痛剤など)によって症状が悪化してしまう方も少なくないといわれているのです。
ちなみに、アレルギー反応によってその喘息症状が悪化してしまうのは、アレルギー反応が起きた際に体内に放出されるヒスタミンやロイコトリエンと呼ばれるような成分が、その炎症の悪化や、気管支の収縮を招いてしまうためです。特に、小児喘息の患者においては、ダニによってそのアレルギー反応が引き起こされてしまう方が少なくないそうです。
また、そのほか小児喘息と大人の喘息の違いとして挙げられるのは、小児喘息の患者の中には、体の成長に伴ってその症状が自然と回復していくような方もいるということです。
しかし、ここで注意したいのが、あくまでそういった方は全体の半分程度であり、それ以外はやはりしっかりとした治療を行わないことには、喘息症状は改善しないということです。
そして、その症状を大きくなるまで引きずってしまうと、今度は治すのが困難になってしまうため、小児喘息は、いかに早い段階でしっかりとした治療を行うかが重要であると述べている医師の方もいます。
また、小児喘息も基本的には吸入ステロイドを用いて治療していくことになるのですが、まだ小児における安全性を示すデータが少ないというような影響から、大人の喘息患者に比べると、小児喘息の患者が使える吸入ステロイドは若干まだ少ないようです。
では、その小児喘息の患者が使える吸入薬の種類にはどのようなものがあるのかということにつきましては、以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
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2017年版の小児喘息の治療・管理ガイドラインについて

日本では数年に一度、小児喘息の患者の治療、およびその管理に関するガイドラインが発表されているのですが、その2017年版の存在について気になっている方もいるようなので調べてみました。
その結果、2017年版のガイドラインは現時点ではまだその中身までは詳しくは発表されていないのですが、2017年の11月の下旬にその発刊を予定しているそうです。この記事を作成しているのが2017年の11月13日なので、もうまもなく発刊されるようですね(^^)
ちなみに、その小児喘息の治療ガイドラインは「日本小児アレルギー学会」という団体がその作成を行っています。正確には、「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)」という名前で発刊されており、その、JPGLとは、
「Japanese pediatric guideline for treatment and management of bronchial asthma」
の略になります。
ちなみに、現時点で、そのガイドラインの中で最も新しいものが、2012年に発刊されたものになります。ただ、その後2013年には2012年版のJPGLに基づくハンドブックも発刊されていますが、もう間もなく発刊される2017年版は、その2012年版に続く改訂版のガイドラインということになるようです。
ちなみに、2017年に発表されるガイドラインは、その作成の準備自体は2015年にはすでに始まっていますので、やはり時間をかけて作成し、数年おきに発刊というような感じでガイドラインが定められているようですね。このように時間をかけているのは、様々な医師の方から、日頃の診療上の疑問や問題点を最初に募集して、それに基づきながらガイドラインを定めていくからというのがその理由のようです。
ちなみに、2012年版のガイドラインに基づき作成され、2013年に発表された、「小児気管支喘息治療・管理ガイドラインハンドブック2013」のダイジェスト版は、こちらのページにてご覧になれますので、気になる方は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか(^^)?
まとめ

今回の記事では、気管支喘息の概要や、小児喘息と大人の喘息との違いなどに関する情報についてまとめますとともに、2017年版の小児喘息の治療ガイドラインに関する情報などについて詳しくまとめました。
今のところ、2017年版のガイドラインはまだないようですが、2012年版の改訂版として、もう間もなくその発刊が予定されているそうです。
基本的には医師の方がその内容を把握するために重要なガイドラインですが、もちろん小児喘息の子供を持つ保護者の方が知識を持っておくことも重要なので、もし小児喘息について詳しく知りたいというような方は、先ほど説明した2013年版のハンドブックのダイジェスト版をご覧になって見ることをお勧めいたします。
それでは今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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