小さい子供が発症する気管支喘息のことを小児喘息といいますが、この気管支喘息とは、一言で説明すると何らかの原因によって気管支において慢性的な炎症が生じるようになってしまう病気のことを言います。
そして、その炎症の影響から気管支は非常に敏感な状態になってしまうため、気管支喘息の患者は常に息苦しさを感じるようになってしまうほか、時にはその炎症部位が急激な収縮を起こして、俗にいう発作と呼ばれる症状が引き起こされてしまうこともあります。気管支喘息の患者が最も注意しなければならないのがこの発作の症状であり、実際に発作が起きてしまうと、中には入院治療が必要になってしまうような方もいる他、最悪の場合は命を落としてしまうようなケースもあります。
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特に、小さい子供の喘息、すなわち小児喘息の子供の場合には、そういう発作が起きてしまわないか心配な親も多いのですが、それに加えて、そういった小児喘息の症状は何歳まで続くのか、または小児喘息は何歳までに治すと良いのかということについて疑問に思っている方も少なくないと思います。
そこで今回の記事では、気管支喘息という病気の概要について詳しくまとめますとともに、小児喘息は何歳まで続くのか、何歳までに治すべきなのかということについて詳しくまとめていきたいと思います。
目次
気管支喘息ってどんな病気?

近年、気管支喘息の患者は増加傾向にあり、国内の患者数は500万人近くいるとも言われていますが、最初にも申し上げましたように、この気管支喘息とは何らかの原因によって気管支において慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言います。
普通、気管支やのどの炎症というと感染症などに伴う免疫反応として表れるような症状ですが、気管支喘息を発症すると、その炎症部位において白血球の増加などがみられ、特に何かの病原体が悪さをしているわけでもないのに、気管支が常に炎症を起こしている状態になってしまいます。
そして、その炎症の影響から気管支の壁はむくみを起こすため、気管支喘息の患者は常に息苦しさを感じるようになり、また炎症部位は様々な刺激に対して敏感に反応して収縮を起こすため、気管支喘息を発症すると、特に熱は出ないのに、咳の症状が頻繁に出るようになってしまいます。
ちなみに私は以前、成人を迎えてから、感染症に伴い気管支喘息を発症してしまったのですが、その時は、熱はひいたのに、いつまでたっても咳と息苦しさの症状が治まらないので、呼吸器内科の医師に相談をして詳しい検査を受けたところ、気管支喘息と診断されました。
ちなみに、私は記憶にもないほど小さいころに小児喘息を発症したことがあるそうなのですが、その後いったん症状は落ち着き、成人を迎えてからまたその症状を再発させるような形になってしまいました。実は、このように小児喘息の患者の中には、成長に伴って症状が落ち着くものの、その後成長してから再び何らかのきっかけによってまた喘息を再発してしまうという方も少なくないようです。
喘息の治療に吸入ステロイドを使うのはどうしてなのか?

気管支喘息の治療には吸入ステロイドと呼ばれるお薬を使うということは皆さんもご存知だと思うのですが、なぜこの薬を使うと喘息症状が良くなるのかというと、この吸入ステロイドによって摂取できる「ステロイド」というものに分類される成分には免疫の働きを抑える作用があるため、吸入によってこれを気管支の炎症部位に吹きかけると、結果免疫反応として表れているその気管支の炎症を鎮めることができるというのがその治療メカニズムになります。
また、吸入ステロイドの中にもまた色々な種類のものがあるのですが、これは、「ステロイド」と一口に言っても、その中にはまた様々な種類の成分が存在しているためです。
例えば「キュバール」という製品名の吸入ステロイド薬には「ベクロメタゾン」という成分がステロイド成分として含まれており、「オルベスコ」という製品名の吸入ステロイド薬には「シクレソニド」という成分がステロイド成分として含まれています。
また、科学的根拠が示されているわけではありませんが、薬を変えてみたところ喘息症状が良くなったと述べているような方も少なくないため、吸入ステロイドを使っているのになかなか喘息症状が良くならないという場合には、薬を変えてみるというのも重要なことなのかもしれません。
ちなみに、日本では2002年から小児喘息の患者においても吸入ステロイドが第一選択薬として用いられるようになったのですが、まだその小児における安全性を示すデータなどが少ないという影響などから、小児喘息の患者でも使える吸入ステロイド薬の種類は、大人の喘息患者に比べると少ないようです。
では、実際に小児喘息の患者でも使える吸入薬にはどのような種類のものがあるのかということについては以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
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小児喘息と大人の喘息の違いとは?

小児喘息とは小児における気管支喘息のことをそう呼んでいるだけなのであって、小児喘息と大人の喘息が違う病気であるというわけではないのですが、実際小児喘息と大人の喘息とでは、その特徴にいくつかの違いがあるといわれています。
具体的には、小児喘息も、大人の喘息も、その主な症状が気管支における慢性的な炎症であるということには変わりはないのですが、その喘息症状が悪化してしまう原因に大きな違いがあるといわれています。
さらに詳しく説明すると、小児喘息の場合には、その症状悪化の原因の8割以上はアレルギー反応であるといわれているのですが、大人の喘息の場合には、そのアレルギー反応によって喘息症状が悪化してしまう患者に加え、それ以外の原因(お酒、たばこ、運動、感染症、ストレス、気温や気圧の変化、解熱鎮痛剤など)によって症状が悪化してしまうという方も少なくないのです。
ちなみに、アレルギー反応によって喘息症状が悪化してしまうのは、そのアレルギー反応が起きた際に体内に放出されるヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が、気管支の炎症の悪化や、その収縮を招いてしまうためです。そのため、喘息治療薬の中にはそういったアレルギー反応を防ぐための抗ロイコトリエン薬などもあります。
また、大人の喘息患者の中には、解熱鎮痛剤、俗にいう痛み止めのお薬によってその症状が悪化してしまう患者もいるのですが、これは現在、アスピリン喘息、またはNSAIDs過敏性喘息といった呼ばれ方で知られており、子供においてみられることはほとんどないことから、大人になってから後天的に発症する恐れのある疾患であると考えられています。
ちなみに、私がたちが良く知っているものだとロキソニンやバファリンなどがそのアスピリン喘息の原因になってしまうため、もし喘息の症状がある方は、そういった痛み止めのお薬を使用する際には十分な注意が必要です。
ちなみに、このアスピリン喘息の症状は、お薬の成分を摂取すると喘息症状が悪化するというものなので、それだけを聞くとなんだか一種のアレルギー反応が起きているように聞こえますが、近年わかってきているその発症メカニズムは、アレルギー反応とは異なるものになります。
では、なぜ喘息患者の中にはそういった痛み止めによって喘息症状が悪化してしまう方がいるのか、そのメカニズムについては以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方はぜひ一度目を通してみてください。
小児喘息は何歳まで続くの?何歳までに治すべきなの?

小児喘息のお子さんがいらっしゃる方の中には、その小児喘息は何歳までその症状が続くのか、または何歳までにその症状を治すべきなのかということについて気になっているという方も少なくないと思います。
小児喘息は成長とともにその症状が治るという話を耳にしたことがあるという方もいるかもしれませんが、実際これは誤りであり、確かに体の成長とともにその症状が落ち着いていくという方もいるそうですが、なんの対策もせずに、小児喘息の患者の全員が全員成長するにつれて喘息症状が治るかというとそうではありません。具体的には、自然に小児喘息が治ってしまうという方は全体の約5割程度であるといわれています。
逆に、その小児喘息の段階できちんとした治療を行わないままにしてしまうと、そのまま大人になるまで喘息症状が残り、そうなってしまうと、さらにその症状を治療するのが難しくなってしまうということも言われています。(一般に、小児喘息よりも、大人の喘息の方が症状を落ち着かせるのが難しいといわれています。また、喘息症状はしっかりと治療を行わないと、気管支の炎症部位が炎症と修復を繰り返すリモデリングと呼ばれる症状が起こり、気管支の壁が厚くなってしまって、こうなると元の状態に戻すことは難しいといわれています。)そのため、小児喘息という病気は、その小児の段階でいかにしっかりとした治療を行うかが重要であると述べている医師の方もいます。
なので、小児喘息の症状は何歳まで続くのか、ということについては、いかにしっかりとした治療を行うかということがまず1つ重要なカギとなり、また、その人その人によって症状の重症度も変わってくるため、一概に何歳まで続くかということははっきりとは言えないようです。
しかし、何歳までに治すと良いのかということについては、ある医師の話だと、発症から2~3年で症状が落ち着いていくことを目指して治療を行っていくとよいという話もあります。もちろん、早ければ早い方が良いので、症状の悪化に気を付けながら、継続的に治療に取り組んでいくことが重要です。
小児喘息の患者の中には小さい子供が多いため、その子の喘息症状がいつまでに良くなるかどうかというのは、その子の保護者のサポートが大きくかかわってきます。是非、その子の喘息症状が早く良くなりますように、近くで見守ってあげるようにしてください(^^)
まとめ

今回の記事では、気管支喘息の概要や、小児喘息と大人の喘息との違いなどについてまとめますとともに、小児喘息は何歳までに治るのか、何歳までに治すべきなのかということについてまとめました。
結論としては、一概には何歳までに治るということは言えませんが、その発症から2~3年以内に症状が落ち着いていくことを目指して治療を行っていくと良いそうです。3歳で発症したなら5歳までに、5歳で発症したなら7歳までにというような感じで、目標をもって治療に取り組んでみるようにしてください。
それでは今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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