※小児喘息の治療に使われる吸入薬の種類とは?

何らかの原因によって気管支が慢性的な炎症を起こすようになり、その結果呼吸機能に障害が表れてしまうような病気を気管支喘息といいますが、特に小さい子供が発症してしまう気管支喘息のことを小児喘息と呼ぶということは皆さんもご存知の通りだと思います。

小児喘息と、大人の喘息とでは、特にその症状の悪化が引き起こされる原因に少し違いがあるといわれているのですが、それ以外には、治療に使える吸入薬の種類にも違いがあります。具体的には、大人に比べると、小児喘息の患者は治療に使える吸入薬の種類が少し少ないのです。

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これは、まだ小児喘息の患者においてはその安全性が確立されていないというのがその大きな理由であり、逆に言えば、現時点でも小児喘息に適応となっている種類の吸入薬は、その安全性が確認されているものであるといえることができます。

では、現在でも小児喘息に適応となっている吸入薬にはどのような種類があるのか、今回の記事では、小児喘息と大人の喘息との違いについて説明しますとともに、小児喘息にも使える種類の吸入薬に関する情報についてまとめていきたいと思います。

小児喘息と大人の喘息との違いとは?

それではまず初めに、小児喘息と大人の喘息との違いについて、そもそも気管支喘息とはどのような病気なのかということについて説明したいと思います。

一番最初にも申し上げましたが、気管支喘息とは、何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことであり、特に小さい子供が発症してしまう気管支喘息のことを小児喘息といいます。

この気管支喘息の怖いところは、その気管支の炎症部位何らかの刺激を受けると急激な収縮を起こすことがあり、呼吸が困難になるいわゆる「発作」と呼ばれる症状が起きてしまうことがあるということです。

発作の程度は人それぞれですが、ひどい場合だと入院治療が必要になるほか、最悪の場合は命を落とす危険性さえあります。そのため、気管支喘息という病気はその症状の悪化が起きないように、日々の症状のコントロールが何よりも重要になります。

さて、では小児喘息と大人の喘息とでは特に何が違うのかということについて説明したいと思いますが、この2つは、気管支に慢性的な炎症が生じているという根本的な症状自体は同じなのですが、その症状の悪化が引き起こされてしまう原因に少し違いがあるといわれています。

具体的には、小児喘息の患者の8割~9割がその症状悪化の原因がアレルギー反応であるといわれているのに対して、大人の喘息患者の中には、アレルギー反応によって症状が悪化してしまう患者もいれば、それ以外の原因(たばこ、お酒、運動、感染症、気温や気圧の変化、ストレス、解熱鎮痛剤など)によって喘息症状が悪化してしまう方も少なくないのです。

また、大人の喘息は小児喘息に比べて完治が難しいとも言われているため、小児喘息を大人になるまで引きずることがないように、小児喘息の段階でいかに早く適切な治療をするかが非常に重要であると述べている医師の方もいます。

ちなみに、気管支喘息の症状がアレルギー反応によって悪化してしまうのは、アレルギー反応が起きた際に体内に放出されるヒスタミンやロイコトリエンと呼ばれる化学物質が、その気管支の炎症の悪化や、気管支の収縮を引き起こす原因になってしまうためです。

そのため、そういったアレルギーの作用を抑える薬も喘息治療薬としてはよく使用され、有名なものだと抗ロイコトリエン薬がよく知られています。

ちなみに、喘息治療薬にはどのようなお薬があるのかということについては以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってください。簡単に説明すると、喘息の治療薬は、普段から症状をコントロールするための「長期管理薬」と発作が起きてしまったときに使う「発作治療薬」という2つのタイプに大別され、それぞれのタイプの中に、またいくつかの種類のお薬が存在しています。

喘息治療薬に関する情報はこちら…

さて、ではここからはそのうち長期管理薬の方に使用される「吸入ステロイド」と呼ばれる吸入薬について詳しくお話ししていきたいと思いますが、その吸入ステロイドだけでも、またその中にいくつかの種類が存在しています。これは、「ステロイド」という成分にもまた色々な種類のものが存在しているというのがその主な理由です。(ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾンなどなど…)

ただ、安全性の問題から、大人が使用できる吸入薬と、小児の患者が使用できる吸入薬とでは、その種類に若干の違いがあります。では、具体的に小児喘息の患者が使える吸入薬にはどんな種類のものがあるのか次にまとめてみたいと思います。

小児喘息の患者でも使える吸入薬の種類とは?

気管支喘息の治療において、吸入薬である吸入ステロイドは最も重要なお薬であるといっても過言ではありません。ちなみに、日本では2002年から小児喘息の患者においてもその吸入ステロイドが第一選択薬として用いられるようになりました。

では、なぜ気管支喘息においては吸入ステロイドを使用するのが大切なのか、そもそもステロイドとはどのような働きをするものなのかということについて簡単に説明しますと、ステロイドの主な作用は免疫の働きを抑えることであり、その効果を利用することで、喘息患者における気管支の炎症を抑えることができるのです。

すなわち、気管支喘息とはいわば免疫システムの機能異常が起きている状態ということができ、免疫システムが過剰に機能していることによって、気管支が慢性的に炎症をおこしている状態になってしまっています。

しかも、その炎症部位は放っておくと炎症と修復を繰り返すリモデリングと呼ばれる症状を引き起こし、気管支の壁が分厚くなってもとに戻すことができなくなってしまう恐れもあるため、そうなる前に、抗炎症作用のある吸入ステロイドを使って、少しずつその炎症を鎮めていくことが何よりも大切なのです。

ただ、大人が使える吸入薬と、小児喘息の患者が使える吸入薬とでは、その種類に違いがあります。これは主にその薬の安全性の問題が関わっており、大人の患者に比べ、小児喘息の患者においては、まだ十分なデータがそろっていないというのがその理由のようです。つまり、小児喘息の患者の方が使える吸入薬の種類は少ないということになります。

もちろん、そのように安全性が確立されていないようなお薬を小児喘息の患者に処方されるということはありえませんので、もし小児喘息の治療を受ける方は医師から処方されたお薬を使用して問題はないはずですが、ちなみに、現時点で小児喘息の患者でも使える吸入ステロイドには以下のような種類のものが挙げられます。(これらは商品名であり、有効成分の名称ではありません。)

  • キュバール
  • オルベスコ
  • フルタイド
  • アドエア
  • パルミコート

ちなみに、これらそれぞれのお薬の有効性分(ステロイド成分)は以下のものになります。

  • キュバール(有効成分は「ベクロメタゾン」)
  • オルベスコ(有効成分は「シクレソニド」)
  • フルタイド(有効成分は「フルチカゾン」)
  • アドエア(有効成分は「フルチカゾン」)
  • パルミコート(有効成分は「フルチカゾン」)

ちなみに、フルタイドとアドエアは有効成分が同じ「フルチカゾン」となっていますが、これは誤りではありません。また、このうちアドエアの方は少し特殊なお薬であり、実はその「フルチカゾン」という成分以外にも、「サルメテロール」と呼ばれる成分が含まれた合剤となっています。

このサルメテロールという成分は先ほど説明したステロイド成分ではなく、炎症の結果むくみ、常に収縮してしまっている気管支を拡げ、呼吸を楽にするための気管支拡張剤(β2刺激薬)と呼ばれるものに分類される成分になります。

実は、最近の喘息治療においては、このアドエアのように、気管支の炎症を抑えるための「ステロイド」と、気管支を拡げ呼吸を楽にするための「β2刺激薬」を一緒に摂取することができる合剤の吸入薬を使うというのが主流になってきているのですが、いくつかある合剤の中で、現時点で小児喘息にも適応となっているのはアドエアだけのようです。

ちなみに、そういった合剤のお薬としては、アドエアのほかに、シムビコート、レルベア、フルティフォームといった吸入薬が挙げられます。いずれは、こういったほかの合剤も、小児喘息への適応が認められるのではないかと思われます。

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吸入薬に副作用はあるの?

小児喘息の患者でも、気管支喘息を治療していく以上は吸入ステロイドを使用していくのが基本であるということは今まで説明したとおりですが、中には、ステロイドという成分にちょっと怖い印象を持っていたり、そのような成分を小さい子供に使用しても大丈夫なのかと心配になるご両親の方もいるのではないかと思います。

ただ、小児喘息の患者に適応となっている吸入スステロイドは、もちろんその使用の安全性が確立されているからこそその使用が認められているわけであり、それによって副作用が生じるようなことはほとんどないといわれています。

しかも、この吸入薬は炎症が起きている気管支の部分に直接作用させるお薬であるため、1回の使用量はごく微量ですみます。また、服用薬のように全身に作用させるタイプのお薬ではないため、全身的な副作用を心配する必要もほぼありません。

お薬である以上、副作用が全くないとは言い切れませんし、確かに添付文書を見てみるとごく少数の副作用が挙げられていたりもしますが、よほど長期にわたって使用を続けたり、使用方法を守らずに過剰に摂取したりしない限りは、副作用を心配する必要はほとんどないようです。

ちなみに、私も以前1か月から2か月ほど吸入ステロイドを使用していた経験がありますが、何らかの副作用を感じるようなことはありませんでしたし、吸入ステロイドを使用してから数日間で、明らかに呼吸が楽になるのを感じました。やはり、喘息患者にとっては吸入ステロイドの使用は重要であると身をもって感じました。

ただ、吸入ステロイドを使用するうえでは、使用後にうがいをして、口内に残った余分な成分を洗い流すことは非常に重要です。これは、絶対に医師からも指示があるので問題ないとは思いますが、ステロイドは免疫の働きを抑える作用のある成分なので、口内にその成分が残っていると口内の免疫力まで低下し、その結果口腔カンジダ症と呼ばれるカビの繁殖がおきてしまうことがあるのです。

吸入ステロイドは正しく使用すれば吸入した時点でしっかりと気管支の炎症部位に届くようにできていますので、口内にその余分な成分を残しておく必要はありません。なので、もし自分の子供が小児喘息になり、吸入薬を使用した治療が必要になった場合には、その保護者の方がうがいをするところまで一緒に見守ってあげるようにしてください(^^)

まとめ

今回の記事では、小児喘息とはどのような病気なのかということについてまとめますとともに、その小児喘息を治療するための吸入薬の種類について詳しくまとめました。

小児喘息においては、まだその使用例が少なく、安全性が確立されていないという問題から、大人に比べると使える吸入薬の種類は少し少ないようです。今後ほかのお薬もどんどん小児喘息に適応になっていくのではないかと思われますが、今使用できるお薬も歴史のある優秀なお薬なので、それらを処方された場合には、医師の指示と用法用量をよく守って使用するようにしましょう。

最初にも申し上げましたが、小児喘息は、大人になる前にしっかりと治療をしておくことが重要であるといわれています。なので、もし自分のお子さんが小児喘息になってしまった場合には、その症状が悪化しないような環境づくりと、その治療のサポートをしっかりと行ってあげるようにしてください。

今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)

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