小さい子供が発症する気管支喘息のことを一般的に小児喘息といいますが、この小児喘息と、大人の喘息は、同じ喘息という病気でも、その特徴にはいくつか違いがあるといわれています。
まず、小児喘息は、その症状の悪化の原因のほとんどがアレルギー反応であるのに対し、大人の喘息ではそのアレルギー反応に加え、その他にも色々なものが症状の悪化を引き起こしやすいといわれているのです。その色々なものというのは、例えば、お酒、たばこ、運動、ストレス、気圧や気温の変化、感染症、解熱鎮痛剤などが挙げられます。
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そして、その大人の喘息は何より慢性化しやすく、治療が困難になるとも言われていますので、小児喘息を発症してしまった場合には、その時にいかに適切な治療を行うかがとても重要であるともいわれています。
しかし、小児喘息を発症してしまった方の中には、大人に近づいて自然と治る方も多いということが言われているのですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
そこで今回の記事では、小児喘息の特徴について詳しくまとめますとともに、大人の喘息との違いや、大人になると治るのかどうかということについてまとめていきたいと思います。
目次
小児喘息と大人の喘息との違いとは?

小児喘息と大人の喘息は、しばしばその特徴にはいくつか違いがあるといわれているのですが、その根本的な症状自体が変わることはありません。
近年、この気管支喘息という病気の患者数は増加傾向にあることがわかっていますが、この気管支喘息とは、一言でいうと、「気管支に慢性的に炎症が生じるようになる病気」のことを言います。
普通、炎症という反応は、感染症などを発症したときに、それに対する免疫反応として見られるような症状ですが、気管支喘息を発症してしまうと、何らかの原因によって気管支に慢性的な炎症が生じるようになってしまうのです。この、気管支喘息の実態については現在までに色々とわかってきてはいますが、そのメカニズムはいまだに完全には解明されていません。
ただ、この気管支喘息という病気はアレルギー体質の方に多いという特徴があることから、総じて喘息は免疫の誤作動によって引き起こされている疾患であるということができ、子供の場合には、特にそのアレルギー反応によって症状が悪化してしまう場合が多いことがわかっています。
また、アレルギー反応が起こることによって喘息症状が悪化してしまうのは、アレルギー反応が起きた際に体内に放出される、ヒスタミンや、ロイコトリエンといった伝達物質が、炎症の悪化や、気管支の収縮を引き起こす原因になるためであると考えられています。
一般的に、こういったアレルギー反応によって悪化してしまう喘息を「アトピー性喘息」と言ったりもするのですが、特に大人の気管支喘息の患者の中には、そのアレルギー以外の要因によって症状が悪化しやすいような方もおり、そのような症状は、先ほどの「アトピー性喘息」に対して、「非アトピー性喘息」と呼ばれます。
最初にも説明しましたが、その「非アトピー性喘息」の症状悪化を招く原因としては、お酒、たばこ、運動、ストレス、気温や気圧の変化、感染症、解熱鎮痛剤などが挙げられます。
このなかで、解熱鎮痛剤によって悪化するケースは特に注意すべきものの1つなのですが、解熱鎮痛剤とは、俗にいうロキソニンやバファリンなどの痛み止めのお薬のことであり、特に大人の気管支喘息の患者の中には、その痛み止めの服用によって急激に喘息症状が悪化してしまうケースがあることがわかっています。逆に、小児喘息の患者でそのようなケースがみられることはほとんどないことから、この症状は大人の喘息患者に特有の後天的に発症するものなのではないかと考えられています。
この、痛み止めのお薬によって喘息が悪化してしまうケースは「アスピリン喘息」と呼ばれているのですが、これについては別記事の方で詳しくまとめていますので、気になる方はそちらをご覧になってみてください。
まとめますと、気管支喘息とは何らかの原因によって気管支に慢性的に炎症が生じるようになってしまう病気のことであり、小児喘息の場合はアレルギー反応によって症状が悪化してしまうケースがほとんどですが、大人の喘息の場合には、そのアレルギー反応によって悪化するケースに加え、その他の要因によって悪化するケースも増えてくるということになります。
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小児喘息は大人になると治るの?

小児喘息の患者の中には、大人に近づいていくにつれて、確かにその症状が治るケースも多いようです。その理由が明らかにされているわけではありませんが、気管そのものの発達や、成長に伴う免疫力の向上など、様々な説がささやかれています。
ただ、その小児喘息の患者の中には、本当にそのまま喘息自体が治る方もいれば、後々大人になってまた症状を発症してしまう方や、やはり症状が治ることなく大人の喘息に移行してしまうような方もいらっしゃるようです。そのため、小児喘息の患者は、もちろんその全てが体の成長とともに症状が治るというわけではありません。
ちなみに、私は以前小児喘息を患い、成長とともにいったん症状は落ち着いたのですが、大人になってから、感染症を重症化させてしまったことをきっかけにしてまた喘息を発症してしまいました。このように、感染症から喘息を発症するケース、悪化させてしまうケースも多いようなので、以前喘息を発症していたような方や、小児喘息の方は、くれぐれも感染症には気を付けてください。
また、喘息は体質的に遺伝するケースもあるといわれていますが、私の母は以前、出産と同時に喘息を発症してしまったことがあるそうです。このように、近親者に喘息患者がいるような場合も、喘息の発症、悪化が起こらないように、体調管理にはくれぐれも気を付けましょう。
吸入ステロイドを使うと喘息が治るのはどうして?

実は、小児喘息と大人の喘息にはまだその特徴にいくつか違いがあって、その1つとして、大人の喘息の方が治療しづらい、完治しにくいということが一般的に言われています。
そもそも、気管支喘息という病気自体が一生を通じて付き合っていく必要もある病気といわれているのですが、特に、大人になった時に喘息を発症してしまっていると、より一層その治療や体調の管理には気を使わなければならないようです。
そして、だからこそ小児喘息を発症してしまった場合には、その喘息の症状を大人になるまで引きずらないように、そこで適切な治療を行うことが重要であると言われているのですが、この喘息は、基本的に吸入ステロイドというお薬を使って治療するということは皆さんもご存知ではないかと思います。
では、なぜその吸入ステロイドを使うと気管支喘息の症状をが治っていくのかということですが、このステロイドという成分には免疫の働きを抑える作用があるため、これを吸入によって気管支に直接作用させると、その結果免疫反応として表れている気管支の炎症を鎮めることができる、というのがその治療のメカニズムになります。
ただ、免疫の働きを下げる、ということには多少のリスクもあり、使用後に口をゆすがないと、口の中の免疫力も下がって、口内常在菌によって感染症を発症してしまうこともあります。その中では口腔カンジダ症と呼ばれるカビ(真菌)による感染症が非常によく知られていますが、こういう副作用を防ぐためにも、吸入ステロイドの使用後には必ずうがいをすることが大切です。
もちろん、そのうがいは吸入ステロイドを使う上での注意事項としてはとても基本的なことなので、医師の方からも必ず指示があるとは思いますが、うっかり忘れないように注意しましょう。ちなみに、吸入ステロイドは吸入した時点できちんと炎症部位に届いているため、うがいをして口内に残った余分な成分を洗い流すことにはその効果的になんの問題もありません。
ちなみに、吸入ステロイドは全身に作用させる薬ではないので、よほど長期にわたって使用を続けないことには副作用を心配する必要はほとんどないといわれています。喘息という症状は1日や2日で治るものではないので、多少の期間はそれを吸入し続ける必要があるのですが、ちなみに私は過去に1か月から2か月にわたってその吸入ステロイドを使用していましたが、それによって何らかの副作用を感じるようなことは全くありませんでした。
むしろ、喘息の治療をきちんと行わないと、症状が悪化し、吸入ステロイドよりももっと強い服用タイプのステロイド薬を使う必要が出てきたり、そもそもの治療期間が延びてしまうというような場合も考えられます。なので、もし治療を行うとなった場合には、用法用量を守って、症状が完全に良くなるまではしっかりを吸入ステロイドを使った治療を行う必要があります。
まとめ

今回の記事では、小児喘息の特徴について詳しくまとめますとともに、大人の喘息との違いや、大人になると治るのかどうかということについて詳しくまとめました。
確かに、小児喘息の患者の中には、大人に近づいていくにつれてその症状が治るというようなケースも多いようですが、もちろん確実に治るわけではありません。
また、健康的に生きていくためには、その小児喘息の時点でしっかりと治療してしまうということが重要になってくるようなので、もし自分のお子さんが小児喘息を発症してしまった場合には、大人の方が見守りながら、症状改善を目指して一緒に治療に取り組んであげるようにしましょう(^^)
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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