近年、国内の気管支喘息の患者数は増加傾向にあるといわれており、その数はすでに500万人近くいるとも言われていますが、この気管支喘息とは、一言でいうと、何らかの原因によって気管支において慢性の炎症が生じるようになってしまう呼吸器疾患のことを言います。
普通、気管支などの喉の炎症というと、何らかの細菌やウイルスなどが感染してしまった際に、その免疫反応として表れるような症状のことを言いますが、気管支喘息を発症してしまうと、その気管支において白血球などの免疫細胞の増加がみられ、常にそこが炎症を起こした状態になってしまうのです。
そして、その炎症の影響から気管支の壁はむくみを起こし、健康な方に比べて気管支が細くなってしまうほか、さらにその炎症部位は様々な刺激に対して敏感に反応して収縮を起こしてしまうため、気管支喘息を発症してしまうと、その患者は常に咳が出たり、息苦しさを感じるようになってしまいます。
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そして、人によっては、その炎症部位が急激な収縮を起こすことによって呼吸が困難になってしまうような場合もあり、これが、俗に「発作」と呼ばれている症状になります。そのため、気管支喘息の治療においては、いかにその発作が起こらないように気を付けながら、その症状のコントロール、および症状改善に取り組んでいくかが重要です。
さて、その気管支喘息という病気は、基本的には呼吸器内科などの専門の医師に相談をして、そこで処方された薬を使って治療していくことになるのですが、中には、そういった気管支喘息の薬は、市販でも存在しているのかどうか気になるという方もいると思います。
そこで今回の記事では、気管支喘息の概要についてもう少し詳しくまとめますとともに、気管支喘息に効果があるとされる市販の薬はあるのかどうかということについて詳しくまとめていきたいと思います(^^)
目次
気管支喘息ってどんな病気?気管支喘息の患者が気を付けるべきこととは?

今この記事をご覧になってくださっている方というのは、自身が気管支喘息の患者であったり、または身内にその気管支喘息の方がいるというような方なのではないかと思います。
そういう方は、気管支喘息という病気について既に色々とご存知だとは思うのですが、ここで、その概要と、気管支喘息の患者が気を付けたほうが良いことについて改めて詳しくまとめていきたいと思います。
まずこの気管支喘息という病気は、最初にも申し上げましたように、気管支に慢性的に生じてしまう炎症の影響から、呼吸機能に障害が表れてしまうような呼吸器疾患のことを言います。
この病気は、子供に多いことでも知られていますが、最近では、大人になってから気管支喘息を発症してしまうというような方もまた増えてきているそうです。ちなみに、私は子供のころに治ったと思っていた気管支喘息の症状を、大人になってからまた再発させてしまったのですが、そのように、一度治ったと思っていた症状を再発させてしまうケースというのも少なくないそうです。
気管支喘息という病気の最も怖いところは、なんといっても「発作」が起きてしまうことがあるということですが、実際、その発作が起きてしまうと、入院治療が必要になってしまったり、中には、命を落としてしまうというようなケースもいまだに存在しています。なので、もし気管支喘息と診断されてしまった場合には、その発作が起きないように、症状をコントロールしながら、その改善に向けて取り組んでいくことが大切です。
また、この気管支喘息においては発作が起きないように注意しなくてはならないということは今説明しましたが、では、自分にとってその発作が引き起こされてしまう原因とはいったい何なのか、その症状が悪化する原因は何なのかということについてきちんと把握しておくことも非常に大切で、気を付けなければならないポイントです。
気管支喘息の症状は、アレルギー反応によって悪化する場合があるということはご存知の方も多いと思うのですが、実はそれ以外にも、非常に様々なものがその気管支喘息の悪化につながる場合があるということがわかってきています。
具体的には、その気管支喘息を悪化させる原因としては、アレルギー反応の他に、お酒、たばこ、運動、ストレス、感染症、気温や気圧の変化、解熱鎮痛剤などが挙げられます。ちなみに、特に小さい子供が発症する小児喘息においては、その症状悪化の原因のほとんどはアレルギー反応であるといわれているのですが、大人の患者ではそれ以外の今挙げたようなものも喘息症状の悪化を引き起こす原因になりやすいといわれています。
特に、この中で解熱鎮痛剤によって症状が悪化するケースについてご存じなかったという方も中にはいるのではないかと思いますが、その解熱鎮痛剤とは、わかりやすく説明すると痛み止めの薬のことであり、私たちがよく知っているものだと、ロキソニンや、バファリンなどの市販の薬もこれに該当します。
その痛み止めの薬によって気管支喘息の症状が悪化してしまうようなケースは、現在「アスピリン喘息」というような名前で呼ばれており、この症状は、大人の気管支喘息の一部にみられる症状として知られ、子供の患者はほとんど確認されていないことから、後天的に発症する可能性が高い疾患であると考えられています。
つまり、それまでは市販のロキソニンなどを普通に使用できていたというような方でも、喘息患者の場合、ある時を境にして急にそういう薬に対して過敏に反応してしまう体質になってしまう可能性があるのです。
そのため、特に女性の方だと生理痛などを抑えるためにそういう薬を使用する方も少なくないのではないかと思いますが、気管支喘息の症状がある場合には、市販の薬の中にも、そういう症状を悪化させる原因になるものがあるということを知っておくことが重要です。
ちなみに、このアスピリン喘息の症状は、薬を服用したりすると気管支喘息の症状が悪化するというようなものなので、それだけを聞くとなんだか一種のアレルギー反応が起きているように聞こえますが、そのメカニズムは、例えば花粉症のようなアレルギー反応とは異なるものになります。
では、このアスピリン喘息とはいったいどのようなものなのか、ということについては、以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方は是非一度目を通してみてください。
気管支喘息の治療方法とは?

ここまで、気管支喘息という病気の概要について説明してきましたが、この病気は、気管支に生じている炎症がその根本的な原因であると解説しました。
そのため、気管支喘息の症状を改善するためにはその炎症を治療しなければならないのですが、そこで使用されるのが、吸入ステロイドと呼ばれる抗炎症作用のある薬になります。
吸入ステロイドは気管支喘息を治療するうえで第一選択薬として用いられるものなので、気管支喘息を治療している方でこれを知らない方はあまりいないと思うのですが、基本的にその気管支喘息という病気は、その吸入ステロイドを1日数回、そしてそれを長期にわたって使用していくことによって、徐々にその炎症を鎮めて、改善を目指していきます。
ちなみに私が過去に喘息を発症してしまったときには、その吸入ステロイドを1か月~2か月くらい使用しましたところ、息苦しさの症状が治まりました。
では、なぜ吸入ステロイドは気管支喘息の治療に効果を示すのかというと、これは抗炎症作用のある薬であるといいましたが、もっと詳しく言うと、その吸入ステロイドによって摂取することができる「ステロイド」という成分は、免疫の作用を抑制する効果のある成分なのです。
気管支喘息とは、いわば免疫システムの誤作動によって過剰にそのシステムが働いている状態にある症状のことなので、その免疫の働きを、ステロイドによって抑えてあげることが、結果気管支喘息の症状改善につながっていくのです。
ちなみに気管支喘息の治療薬には、この吸入ステロイド以外にも様々な薬があり、そういった薬は、「長期管理薬」と「発作治療薬」という2つのタイプに大きく分けることができます。
そして、今お話しした吸入ステロイドのような、長期にわたって継続的に使用する薬は「長期管理薬」の方に分類され、もし発作が起きてしまったときに、その発作を鎮めるために使うものが「発作治療薬」の方に分類されます。
また、気管支喘息の治療において、吸入ステロイドと同じくらい重要な薬に、「気管支拡張剤(β2刺激薬)」というものもあります。これは、その名前からもわかりますように、喘息患者の特徴である気管支の収縮をやわらげ、結果呼吸を楽にしてくれるものになるのですが、特に、発作治療薬として処方される吸入薬は、即効性があるタイプの気管支拡張剤(β2刺激薬)になります。
つまり、気管支喘息という病気は、その治療の基本は吸入ステロイドを用いた長期管理で、それを継続して使用していくことによってその症状を改善させていくのですが、もしも発作が起きてしまった場合には、発作治療薬に分類される気管支拡張剤(β2刺激薬)などを使用して、その発作を抑える必要があるのです。
つまり、吸入ステロイドには、徐々にその炎症を抑えていく効果はあるのですが、すぐに発作によって悪化した炎症を抑えたり、収縮した気管支を拡げたりといった効果は期待されないのです。もし、発作が起きてしまった場合には、即効性のある気管支拡張剤を使用することに加えて、気管支にだけ作用させる吸入ステロイドではなく、全身に作用させる服用タイプのステロイドなどを飲む必要があります。
なので、このようなことがないように、気管支喘息の治療においては、その症状の悪化に気を付けながら治療をしていく必要があるのです。せっかく症状が良くなったのに、何らかのきっかけでまた症状が悪化してしまうと、それだけ治療期間もまた長くなってしまう可能性があります。
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気管支喘息に効果を示す市販の薬とは?

さて、前置きが随分と長くなってしまいましたが、気管支喘息に効果があるとされる市販の薬について説明するためには、ここまで説明したようなことを知っておくことが重要だと思いましたので、詳しく説明させていただきました。
まず、大前提として、気管支喘息という病気は、しっかりとした医師への相談のもとで、そこで処方された薬を使って治療をしていくというのが基本です。
気管支喘息という病気は、ほうっておくとその炎症部位が炎症と修復を繰り返すリモデリングと呼ばれる現象が起こって、気管支の壁がさらに厚くなってしまうことがあり、そうなってしまうともう元には戻せないといわれているので、そうなる前に医師の管理のもとできちんとした治療を行っていくことが重要なのです。
そういうことを踏まえたうえで説明したいのですが、確かに、市販の薬の中には、気管支喘息の症状にも効果があると説明されているようなものも存在しています。例えば、そういう市販の薬の中だと、アスクロンや、ミコルデ錠Aなどがよく知られているものになります。

市販の薬なので、薬局に行けば簡単に手に入る薬なのですが、確かにこういった薬には気管支喘息の患者にも有効ということが書かれており、実際にもちろんその一定の効果は期待されるのですが、例えば、気管支喘息に効果があると書いてあるからといって、こういった市販の薬を使用することで、どんどんその気管支喘息の症状が良くなっていくかというと、そうではないということをきちんと覚えておくことが重要です。
これはどういうことかというと、こういった市販の薬の中で、喘息にも効果があるといわれている薬の主成分は、先に説明した、気管支拡張剤(β2刺激薬)に分類されるものであり、ステロイドではないのです。
気管支拡張剤は、あくまで気管支を拡げて呼吸を楽にしてくれる成分であり、気管支喘息の根本的な原因になっている炎症を抑えてくれる成分ではないため、つまり、こういった市販の薬は、ある一定の時間だけその症状を楽にしてくれる薬でしかないのです。
もちろん、そういうことをしっかりと理解したうえで使用する分には特に問題もないですし、むしろもっておいても良いのではないかと思いますが、もう一度言いますが、この薬を飲むことで、喘息が治るわけではないということはきちんと覚えておくことが大切です。
まとめ

今回の記事では、気管支喘息の概要や、その治療方法について説明したうえで、気管支喘息に効果があるとされる市販の薬とはどのようなものなのかということについて詳しく説明しました。
市販の薬で、喘息に効果があるとされるものは、確かにその症状を和らげたい時には有効なのですが、それを使ったからといって喘息が治っていくかというと、そうではないということをきちんと覚えておくことが大切です。気管支喘息は、医師の管理の下で、吸入ステロイドを使用した長期管理による治療が基本となります。
もし今現在気管支喘息の症状があるという方は、こういったことをきちんと踏まえたうえで、その治療に取り組むようにしてください。そして、もちろん、そういうことをしっかりと理解していれば、市販の薬をもっておくこともいざという時には役に立つかもしれません。
それでは今回の記事は以上になりま。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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