結核とは、結核菌と呼ばれる細菌の感染によっておこる感染症です。結核菌は体の様々な部位に感染する可能性がありますが、特に多いのが肺に感染するケースです。
結核は以前は発症すれば命を落とす方がほとんどであった重い病でしたが、現在は医学が発達し、結核を発症しても死に至る割合は大幅に少なくなりました。しかし、それでもなお結核は現在も年間約2000人もの死者数を出していますし、発症した場合は長期の入院も必要になる注意しなければならない病気の1つです。
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結核は、発症すると咳の症状が表れる病気の1つです。咳には、特に風邪などの時に見られる痰が絡むような咳の他、痰が絡まないような空咳(乾いた咳)の症状など、その原因となる病気の種類によって表れる咳の症状にも違いがあります。
今回の記事では、結核の症状や薬、入院などに関する情報について説明するとともに、咳が出る病気にはどのようなものが挙げられるのか、詳しく解説していきたいと思います。
目次
結核の原因や症状とは?長引く咳の症状に注意ください…

それでは、結核とはいったいどのような病気なのか詳しくまとめていきたいと思います。
結核は結核菌と呼ばれる菌の感染によって引き起こされる病気です。結核菌のほとんどは肺に感染しますが、実は結核菌は体のいたるところに感染する可能性があります。結核=肺の病気という認識を持っている方も多いかもしれませんが、そうではないということも覚えておいてください。
しかしその割合的には、結核は圧倒的に肺で発症しやすい病気です。具体的には結核の8割が肺における感染であるといわれています。
結核菌が肺に感染して発症した場合、主に痰が絡む咳や熱の症状が表れるのが特徴です。この熱は、高くても38度くらいといわれており、中には微熱の症状が続くということもあるそうです。極めて高熱の症状が表れるというわけでもないため、結核なのに風邪と勘違いをして発見が遅れてしまうというケースもあります。
しかし、結核を発症した場合、痰の中に血が混じっていることが多いといわれています。この血痰の症状の他、息切れ、息苦しさなども結核の症状として見られることがあるため、こういった症状が長引いているという場合には、早めに医師に相談するようにしてください。
当たり前ですが、結核は市販の風邪薬などで治すのは困難であり、細菌感染症の中でも特にしっかりとした治療が必要になる病気です。早めの対処が重要ですので、もし少しでも普通の風邪とは違う違和感を感じた場合には、早めに病院へ行くようにしましょう。
もし、結核の疑いがある場合、病院ではまず胸部のレントゲン写真を撮ります。ここで肺に白い影が見られた場合は、結核を含め、肺炎などの病気を発症しているということが分かります。そして、レントゲン写真に加え、CT検査や、結核菌の培養検査の結果などから、結核の場合は最終的に結核であると判断が下され、治療が開始されるという流れになります。
それでは次に、この結核はどのようにして治療を行うのか詳しく説明していきたいと思います。
結核の薬や治療法とは?結核を発症すると入院が必要になります。

もし結核であると診断された場合で、排出された痰などにおいて結核菌の存在が確認され、排菌(菌の放出)をしていることが分かった場合は、結核菌が他の人にうつる可能性があるため入院治療が必要になります。そのうえで、複数の薬(抗生物質)を使用した治療を進めていくことになります。
結核の治療においては、リファンピシン、イソニアジド(ヒドラジド)、ストレプトマイシン、エタンブール、ピラジナミドなどの薬による治療が基本です。
このうち、一般的には
(リファンピシン+イソニアジド+【ストレプトマイシンorエタンブール】+ピラジナミド)
の4種類の薬による治療を2か月ほど行い、その後は
(リファンピシン+イソニアジド)の2種類による治療を4か月ほど行うことで結核の治療が完了するという流れになります。
なぜこのように2か月と4カ月でわかれているかというと、薬による治療が順調に進んだ場合、結核菌の排菌が2か月ほどで治まるのがその理由です。そのため、入院が必要な場合、入院期間も2か月ほどということになります。このように長期の入院が必要になることからも、結核が決して過去の病気ではないということが分かりますね。
結核の治療において、複数の薬を使用するのは、耐性菌が出来てしまうのを防ぐためです。これはどういうことかというと、結核菌は1つの薬で治療をするとすぐにその薬に対して耐性を持った菌を作り出してしまい、薬が効かなくなってしまうのです。そこで、どれか1つの薬に対して耐性を持つ菌が生まれても、他の薬の作用によってその増殖が抑えられるように複数の薬を使用して治療を行うのです。
入院も含め、結核は治療するのに非常に時間がかかる感染症ですので、症状がある程度改善するとうっかり薬を飲み忘れてしまいそうですが、そうならないように注意が必要です。抗生物質によって菌の数が減っても、もし治療を途中で怠ってしまうとまた菌が増殖し、入院治療が必要になってしまう可能性もあります。こうならないように、もし現在結核の治療を行っている方は注意が必要ですし、現在結核ではないという方も、今後発症する可能性がないとは言い切れませんので是非覚えておいてください。
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結核の他、空咳や痰が絡む咳の原因には次のようなものもあります…
咳という症状は何らかの不調や病気のサインとして表れているものであり、その原因となっている病気の種類によって、表れる咳の症状にも違いがあります。ここからは、結核以外に咳の症状が表れる病気についていくつかご紹介したいと思います。
肺がん

先ほど、結核の症状において、咳や血痰の症状が見られるということをお伝えしましたが、同じく咳や血痰の症状が見られることがある病気として、肺がんも挙げられます。
肺がんはその初期症状ではあまり自覚症状がないことが多く、症状が進むにつれて咳、血痰、胸部や背部の痛みなどが表れ始めるといわれています。熱が出る方もいるようですが、肺がんの患者全てにおいて発熱が見られるというわけではありません。もし、これらの症状に思い当たるものがある場合はなるべく早めに病院へ行き検査を受けた方が良いでしょう。
肺がんに関する詳しい情報はこちらの記事でまとめています。
肺炎

咳の症状が表れる病気として肺炎も挙げられます。肺炎は高齢者の死因の第三位にも挙げられている重症化が懸念される病気ですので、早めに気が付くことが大切です。
肺炎はその原因のほとんどが肺炎球菌と呼ばれる細菌ですが、その他、クラミジアニューモニエ、マイコプラズマなどもよく肺炎の原因になりえます。このクラミジア肺炎やマイコプラズマ肺炎は、初期症状として空咳の症状から始まることが多いといわれており、クラミジア肺炎に関してはあまり熱が出ない肺炎としても知られています。クラミジア肺炎に関する情報はこちらの記事で、マイコプラズマ肺炎に関する情報はこちらの記事で解説しています。
気管支喘息

特に熱はなく、空咳や息苦しさの症状が続いているという場合は気管支喘息を発症している可能性があります。気管支喘息は、感染症に伴って発症する場合や、出産、気圧の変化などをきっかけに急に発症してしまうこともある呼吸器疾患です。
喘息も、現在は治療法が進歩しましたが、それでも年間2000人近い方が亡くなっているといわれる病気です。発作が起きると入院が必要になることもありますし、処置が遅れると最悪の場合命を落とす可能性もある怖い病気なのです。
気管支喘息は発作が起こる病気、という認識の方も多いのではないかと思いますが、正確には気管支に慢性的に炎症が起こるようになってしまう病気です。この炎症の影響によって気道があらゆる刺激に対して過敏に反応してしまうようになり、アレルギー反応、タバコの煙、お酒、運動などによって強い刺激が加わると、気管支が急激な収縮を起こして呼吸が困難になってしまうことがあるのです。これが、気管支喘息における発作と呼ばれる症状です。
気管支喘息の概要や、入院に関するさらに詳しい情報はこちらの記事でまとめています。
貧血

貧血と咳、この2つはあまり関連性がないように思えますが、実は貧血を起こすと、肺が酸欠状態になることによって負荷がかかり、空咳の症状が表れることがあります。
貧血は、特に女性が妊娠をしたときなどに起こりやすい病気です。貧血のさらに詳しい概要や、貧血を改善したり、予防するのに効果的な食べ物などについてこちらの記事で解説していますので、是非ご覧になってみてください。
気胸

気胸とは、一言でいうと肺に穴が開いてしまう病気です。特に痩せている男性に多い病気として知られていますが、生理や月経に伴って発症する女性ならではの気胸というものもあります。
気胸を発症すると、肺から漏れ出した空気によって肺が圧迫されることにより、その結果胸の痛みや空咳の症状が表れます。
気胸も、症状の程度によっては入院が必要になったり、最悪命に係わるほど重症化してしまうことのある病気です。この気胸に関する詳しい情報はこちらの記事でまとめています。
ストレス

ストレスを感じ続けると、空咳が出てしまうことがあるということをご存知でしょうか。ストレスが原因となって起こるこの咳の症状は心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)と呼ばれており、なかなか医師もその原因がストレスであると特定するのは難しいといわれています。
原因のわからない空咳の症状が続いており、気管支拡張剤などの薬を使用しても全く症状の改善が見られない場合は心因性咳嗽の症状が疑われます。詳細はこちらの記事でまとめていますので、是非一度ご覧になってみください。
不整脈

不整脈とは、心拍数が異常に増加、減少したり、本来規則的であるはずの心拍の間隔が不規則的になってしまう病気のことです。
不整脈で咳の症状が起こる場合、特に横になったときにビクビク、と心臓が動き、その後むせるようにして空咳の症状が表れる方が多いそうです。不整脈は軽度のものであれば多くの方に見られる症状ですので、それほど怖いイメージを持つ必要はありませんが、もし少しでも心拍などに違和感を感じた場合には一度検査を受けてみるとよいかもしれません。不整脈の種類や概要に関する詳しい情報はこちらの記事でまとめています。
まとめ

今回の記事では、結核に関する情報や、痰が絡む咳や空咳の症状などから考えられるいくつかの病気に関する情報についてまとめました。
結核は、発症してしまった場合は長期の入院と、いくつかの薬を組み合わせた徹底的な治療が必要になる病気です。決して過去の病気ではないため、もし結核を発症してしまった場合は医師の指示のもとしっかりと治療を行うようにしましょう。
しかしこの結核という病気は、結核菌の感染=発病ではなく、感染してもその発病は1から2割程度であるといわれています。免疫が低下していると結核を発病する可能性が高くなるため、普段から免疫を低下させないように規則正しい生活を心がけるようにしましょう
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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