皆さんはランニングがお好きでしょうか?私は最近はそんなに走ってはいないのですが、高校生の頃まではランニングがとても好きでした。
小さいころから野球部に所属し、走り込みを続けてきたおかげか、小、中、高とマラソンはいつも上位で、校内のマラソン大会で1位をとったこともあります。日本全体で考えると同級生で私より速い方なんてうじゃうじゃいたと思いますので、そんなに大したことではないのもわかっているのですが、当時の私は他の人より多少体力があることに自信を持っていましたし、そのおかげでランニングを好きになることができたのです。
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今でもたまに外を走ると、学生時代を思い出して、なつかしいな~と嬉しいような悲しいような気持ちになりますが、体はすぐに疲れてしまって、やはり学生のころとは違うんだということを痛感します。衝動的に走りたくなって、無理なペースで走った次の日には足がプルプルで筋肉痛がひどくてまともに歩けません笑やはり、ランニングは継続してやらないとだめなんだな~とつくづく思います。
さて、この記事をご覧になってくださっている方の中には、今でもマラソンに挑戦していたり、健康を保つために普段ランニングをしているという方も多いのではないかと思いますが、ランニングをするときには、口呼吸と鼻呼吸、どちらの方が正しいのかと疑問に思っている方もまた多いのではないかと思います。そこで今回の記事では、ランニングにおける正しい呼吸法に関する情報について詳しくまとめていきたいと思います。
目次
鼻呼吸と口呼吸、ランニングをするときに正しい呼吸法はどっち?

最初に私はランニングが好きですという話をしましたが、実は学生時代には、ランニングをするときには、鼻呼吸と口呼吸はどちらが正しいのかなんて考えたこともありませんでした。
結論から言うとランニングをするときの呼吸法は、一般的には鼻呼吸が推奨されているのですが、学生時代の私は思いっきり口呼吸をしていました。呼吸法について誰かに指導を受けた経験もありませんし、スポーツをするときに、鼻で呼吸をするという発想がまずありませんでしたね^^;しかし、私と同じように、走るときには口で呼吸をしているという方は非常に多いのではないかと思います。
また実際のところ、トップアスリートの方であっても口呼吸をしている方は未だに多いということも指摘されている他、中には自分がしやすいほうの呼吸法にした方が良いと指導されている方もいるようですし、鼻呼吸にした結果パフォーマンスが落ちてしまったなどの声もあります。じゃあ本当はどっちがいいの…という話になりますが、実は過去に、運動時における鼻呼吸と口呼吸がそのパフォーマンスに与える影響について実験的に調べた研究結果が、群馬大学の研究室から報告されています。
その研究結果によりますと、長距離走などの持久力を必要とする運動種目においては、鼻呼吸と口呼吸とでは、鼻呼吸の方がパフォーマンスが落ちるという傾向が見られたそうです。
まず、ここでいう鼻呼吸とは、鼻で吸って鼻ではく、を意味しており、これに対して口呼吸は、口で吸って口ではく、を意味しています。実験時には、鼻と口を脱脂綿や絆創膏で完全にふさいでから被験者に運動に臨んでもらうことによって、完全に鼻呼吸と口呼吸の比較ができるようにしたそうです。
また、この研究においては、この「鼻呼吸」、「口呼吸」と、もう1つどちらもふさがない「自然な呼吸法」の3つの呼吸法に対して、パフォーマンスにどのような変化が見られるのかを調べたそうです。
その結果わかったことは、鼻と口を自然に使う呼吸法が一番パフォーマンスが良く、その次が口呼吸、そして最後が鼻呼吸、という結果になったそうです。あれ、じゃあ運動するときは口も使った方がいいんじゃないの…という話になりますが、そう単純に決めつけるのはまだ早いようです。
まず、この研究結果からわかったことは、鼻呼吸と口呼吸とでは、鼻呼吸の方が酸素消費率は高いということが分かったそうです。つまり、吸い込んだ空気を消費する割合は鼻呼吸の方が多いということであり、これについては、過去に違う研究者からも同様の報告がされています。
しかし、空気の換気量を比較してみると、これは鼻呼吸よりも口呼吸の方が効率が良いという結果が得られたそうです。換気量で鼻呼吸が劣るのは、鼻呼吸の方が口呼吸よりも約3倍程度の気道抵抗がかかるためであるということが指摘されています。
そして、鼻呼吸と口呼吸では、酸素摂取量自体にはほとんど違いは見られなかったそうで、つまりまとめると、鼻呼吸では質の高い空気を取り込むことで酸素の消費率を高めることができ、口呼吸では量を多く取り込むことで、消費率では劣っていても鼻呼吸と同程度の酸素を取り込むことができる、ということをこの研究結果は示しているようです。(後述しますが、鼻は空気のフィルターとしての機能を果たしており、空気中の汚れなどを取り除いて、より質の高い状態にしてから肺へ送る役割を担っているといわれています。)つまり、鼻呼吸は「質」の呼吸で、口呼吸は「量」の呼吸、であるということです。
ちなみに、この研究における考え方で行くと、私が口呼吸だと思っていたものは、自然な呼吸法、というものにあたるようです。というわけで、口で吸って、口ではく、を意識してやってみましたところ、確かに多少鼻からも吸って、鼻からもはいていることが分かり、完全に口だけで呼吸をしているわけではないのかもしれない、と思いました。また走っている時にもそういえばちょっとは口を閉じて鼻呼吸をしている時もあるかもしれません。
というわけで、実際には完全に鼻で呼吸をするよりは、口も使った呼吸法の方が、パフォーマンス自体は高い結果を得ることができる、ということがこの研究からは分かったようです。じゃあやっぱり口で呼吸をすることは間違ってないんだ…と、思ってしまいそうですが、もしあなたがこれからランニングなどをしようと思っていて、それが健康維持など、特にマラソン選手のようなパフォーマンスを期待しているわけではないというなら、なるべく鼻呼吸を意識してランニングをすることをお勧めいたします。これはいったいなぜなのか、詳しいことは次の項目でお伝えします。
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口呼吸は問題がいっぱい、日ごろから鼻呼吸をする癖を身に着けよう!

鼻呼吸と口呼吸、この2つは同じ「呼吸」ではありますが、実はこのうち口呼吸は非常に問題の多い間違った呼吸法であるということが指摘されており、現在多くの医師の方が鼻呼吸への改善を呼びかけています。
もしかしたら、普段気が付くと口をぽかんとあけて口で呼吸をしまっている、という症状に心当たりがある方もいらっしゃるのではないかと思いますが、実はそれはNGな行為なので、早めに鼻呼吸への改善に取り組むことをお勧めいたします。では、その口呼吸が引き起こす問題にはどんなものがあるのか、詳しくまとめていきたいと思います。
1:感染症の発症リスクを高める

まず、口呼吸が慢性化してしまっている方は、鼻呼吸をしている方に比べて、感染症にかかるリスクが高くなるといわれています。
そもそも、口と鼻はどちらも呼吸ができる器官ではあるのですが、その本来の役割にはちゃんと違いがあり、鼻には、繊毛や粘液で異物を取り除くことで、空気をある程度綺麗にするフィルターとしての働きがある他、冷たい空気を加湿して温かい状態にしてから肺の方へ送る役割を担っています。
一方、口で呼吸をすると、冷たい空気を異物を多く含んだまま吸い込んでしまうようになるため、その影響から自然と感染症を発症するリスクは高くなってしまうそうです。
2:集中力の低下や体の疲れを引き起こす

口呼吸が慢性化してしまうと、それは集中力の低下や体の疲れを引き起こす原因になってしまうということも指摘されています。
実は過去に行われた研究において興味深いデータを示すものがあり、なんと口呼吸は、鼻呼吸に比べて、体への酸素供給量が18%も減少するということが報告されています。
何となく口の方がたくさん空気を取り込めているような気がしてしまいますが、実は空気中の酸素を肺胞に取りこませるためには空気の湿度や温度が重要であり、その点に着目すると、口から吸った空気に比べ、鼻から取り込んだ空気の方が、結果的によく肺胞になじむんだそうです。
こういった理由もあって、口呼吸をしてしまう方は何となく集中力が低下しやすかったり、体が疲れやすいといわれています。なんだか最近体がだるい…そう感じる方は、もしかしたらいつの間にか口呼吸をしてしまっているようなことはありませんか?
3:口臭や歯周病の原因になる

口呼吸が慢性化してしまうと、口臭が強くなったり、虫歯や歯周病がひどくなる可能性があるとされています。これは口呼吸によって口内が乾燥し、口内細菌の繁殖を抑える役割を担う唾液が不足してしまうのがその原因です。
知らない方も多いかもしれませんが、私たちの口内には、実に300種類もの細菌が存在しているといわれています。ただ、こういった細菌も普段は唾液の自浄作用によってその繁殖が抑えられているわけですが、口呼吸が慢性化してしまうと、乾燥した環境を好む細菌はここぞとばかりに増えてしまい、結果細菌の塊であるプラークなどもできやすくなって、これが歯周病や口臭の原因になってしまうのです。
4:睡眠時無呼吸症候群の原因になる

睡眠時無呼吸症候群とは、その名前の通り、睡眠中に息ができなくなり、10秒以上の無呼吸を何度も何度も繰り返してしまう病気です。中には、1分以上も呼吸が止まってしまう方もいるそうです(-_-;)
この病気の方は、無呼吸の影響から何度も夜中に脳が起きてしまうため、結果十分な休養が取れず、昼間に眠気が表れてしまうのがその主な症状として知られています。
しかし、この病気が近年注目されている理由はそこではなく、実はこの病気は、症状をそのままにしておくと、脳血管障害、高血圧、心不全などの重大な病気のリスクが高くなる可能性があるということが分かってきているんだそうです。
睡眠時無呼吸症候群はその多くの方がひどいいびきの症状を伴うそうなので、これにあてはまる方は注意が必要ですが、今回お話している口呼吸が睡眠時無呼吸症候群の原因になる可能性があるのは、口呼吸が低位舌と呼ばれる症状の原因になる可能性があるからです。
皆さんは普段、自分の舌の位置を意識することなんてほとんどないと思うのですが、口をしっかりと閉じて舌の位置を意識すると、舌は上の歯のすぐ後ろにあって、口の中の天井部分に軽くくっついているということが分かると思います。
これが、本来正しいとされている舌の位置なのですが、口で呼吸をするために口をぽかんとあけてみると、その舌は天井から離れてしまいますよね。このぽかん口で口呼吸をする習慣が身についてしまうと、いつの間にか舌は段々と喉の奥の方に落ち込んでしまうようになり、この症状を、低位舌と呼ぶのです。以下の画像を見ていただくと低位舌がどんなものか分かりやすいかと思います。

そして、この低位舌こそが、口呼吸を慢性化させてしまう1つの原因として指摘されています。上の画像を見ていただくと、低位舌の方は正常な方に比べ、舌によって気道がふさがれてしまい、息を吸いづらそうですよね?すると、低位舌の方はさらに息を吸いやすいように口で呼吸をする癖がついてしまうんだそうです。まさに悪循環ですね…!
そして、この低位舌の症状が特にひどくなるのが寝ている時であり、今起きている状態でも、口をあけて上を向くと、舌は何となく喉の方に落ち込んでしまうというのが分かると思います。そして、この低位舌の症状がひどくなると、寝ているときに喉に落ち込んだ舌によって呼吸が苦しくなり、その抵抗からいびきが出たり、睡眠時無呼吸症候群の症状が表れてしまうと考えられているのです。
ちなみに、この睡眠時無呼吸症候群は何となく中年の方に多い病気というイメージがある方も多いと思うのですが、子供でも発症することがあるそうです。詳しくはこちらのサイトなどを参考にしてみてください。
5:骨格や歯並びにまで影響を及ぼす

実は、口呼吸が小さいころから身についてしまうと、それは顔の骨格や歯並びにまで影響してくるということが分かってきています。口呼吸が骨格や歯並びにまで影響すると聞いても、いまいちピンとこないと思うのですが、実はこれにも、先ほど説明した舌の位置が大きく関係しています。
まず、先ほど舌は、上の歯のすぐ後ろにあって、天井に軽くくっついているのが正しい位置であるという話をしたのですが、そのまま唾を飲み込むと、その舌に、天井を押し返すような力が入るということが分かると思います。
実はこれがとても重要で、この舌が天井を押し返す力は、正中口蓋縫合と呼ばれる上あごのつなぎ目を押し拡げる重要な役割を担っていると考えられています。
このつなぎ目は12歳位まではまだ柔らかく、容易に広がるそうなのですが、舌の力がこのつなぎ目を広げ、上あごを正しく成長させることによって、歯が並ぶスペースが確保されることが、綺麗な歯並びを作るためには非常に重要なことなんだそうです。正中口蓋縫合は以下の写真を参考にしてください。

人は1日に2000回近くものを飲み込むといわれており、そう考えると、この力がいかに重要なものであるかということはよくわかりますよね。
また、小さい頃から口呼吸が身についてしまった方は出っ歯になりやすく、その影響から、まるで顎が無いかのような、独特な顔つきに成長してしまう可能性があることが分かってきています。この顔つきはアデノイド顔貌と呼ばれているのですが、このアデノイド顔貌については以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非ご覧になってみてください。
→※アデノイド顔貌は治るの?その特徴や原因の口呼吸について解説します!
また、低位舌は上あごの成長を妨げ、出っ歯になりやすくしてしまうというだけではなく、歯と歯の間に隙間を作ってしまうこともあるんだそうです。例えば以下の写真がそうなのですが、これをみるといかに舌の位置が大事かというのがよくわかりますよね^^;低位舌が進行し、上の歯と下の歯の間でその舌が常に前歯を押すような感じになってしまうと、このような歯の生え方をしてしまうんですね。

また、低位舌の方は寝ているときに呼吸が苦しくなってしまうため、その結果横を向いて寝てしまうようになり、その影響から顔のどちらかの側面に偏って重力がかかってしまうため、これも歯並びを悪くする原因になると指摘されています。歯並びと口呼吸、及び低位舌は本当に密接な関係を持っているんですね(-_-;)
6:腎臓病の原因になる可能性がある

まだあるのかよ!と思ってしまいますが、実は口呼吸は、iga腎症と呼ばれる腎臓病の発症リスクを高めてしまう可能性があるということが現在指摘されています。このiga腎症とは、体内に存在するigaと呼ばれる抗体が抗原と結合して複合体を作り、それが腎臓内部の器官の一部分に蓄積することによって、段々と腎臓が機能不全に陥ってしまう病気です。この病気は、症状が進行すると透析治療も必要になります。
口で呼吸をすることが腎臓にまで影響するってどういうこと?本当に関係あるの?と、私も最初は思ったのですが、どうやらこの話に嘘は無いようで、口呼吸が確実に関係しているという証拠は無いようですが、この患者を2000人以上診てきたという堀田さんという医師の方によると、その患者の多くにおいて慢性的な口呼吸患者において見られる特徴が観察されたということらしいのです。これはいったいなぜなのでしょうか…
詳しくは以下の記事でまとめていますので、気になる方は是非読んでみてください。
また、このiga腎症に関連して、最近ではリウマチなどの病気にも口呼吸が関連しているのではないかと指摘されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
→※リウマチの原因は口呼吸?口呼吸と扁桃病巣感染症の関係とは?…
趣味のランニングなら、鼻呼吸を意識して走りましょう!

今回の記事は決して皆さんを怖がらせたくて書いたわけではありません。何となく上に挙げたような様々な問題を見てしまうと、もうランニングなんてできないよ…と思ってしまう方もいるのではないかと思うのですが、例えばランニング中に口呼吸をしてしまったからと言って、上に挙げたような様々な問題がすぐに引き起こされてしまうわけではありません。そんなことを言ったら、外で走っている方や、アスリートの方はみんな病気などになってしまうということになりかねません。
ただ、慢性的に口呼吸をしてしまうようになると、こういった様々な問題が伴う可能性があるということ自体は、是非知っておいてほしいと思います。また、趣味程度のランニングなら、なるべくなら鼻呼吸を意識した方が良いでしょう。口にはフィルターとしての機能はありませんので、走っているあいだずっと口呼吸をしてしまうと、それは空気中の細菌やほこりなどをもろに吸い込んでしまっているということになりますからね。
大切なのは、普段から鼻呼吸を意識して行うということです。ランニングをしているしていないにかかわらず、人間は1日に2万回以上も呼吸をするといわれています。この呼吸を口を中心に行うのか、鼻を中心に行うのか、というのは、長い期間で考えると非常に大きな違いになるということはなんとなくわかりますよね。
まとめ

今回の記事では、鼻呼吸と口呼吸とでは、ランニングに適した呼吸法はどちらなのかということについて詳しくまとめました。
結論としては、群馬大学の研究室で行われた研究結果を参考にすると、良いパフォーマンスを発揮したいなら鼻と口を上手く使って自然に呼吸をするのが1番良いようです。ただ、これは喉を乾燥させ、感染症のリスクを高める可能性があるということは否定できませんので、趣味程度のランニングなら鼻で呼吸をするよう意識することをおすすめいたします。
過去にマラソンで日本記録を作ったことがある増田明美選手も、自身は現役時代口呼吸をしていたが、特に外人は鼻呼吸を意識している方が多いと語っています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
大切なことは、普段の生活の中で口呼吸を慢性化させてしまわないことです。また、口呼吸の様々な改善方法に関する情報は以下の記事の中でまとめていますので、気になる方は是非一度ご覧になってみてください。
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)
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