hiv感染症は、hiv(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)と呼ばれるウイルスが感染することによって発症する病気で、感染すると長い年月をかけて人の免疫システムを破壊していく難病です。性行為によって人から人へ感染する性病の1つとしても知られており、このhiv感染症の症状が進行してしまったものを通称AIDS【エイズ】(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)と呼びます。このAIDSは1981年に初めて患者が報告された比較的新しい病気です。
このhiv感染症の恐ろしいところは、感染すると初期症状以外にはほとんど自覚症状がないまま免疫システムがどんどん壊されていくことによって、数年後には普通なら発症しないような様々な重篤な感染症を発症してしまう原因になるということです。普段、私たちの体はウイルスと出会わないから感染症を発症しないのではなく、ウイルスがあっても免疫が働いているから発症しないのです。このhiv感染症は、その免役のシステムを破壊し、長い年月をかけて体を無防備な状態にしてしまう病気なのです。
このhiv感染症は、日本では年間約1500人ほどの患者が新しく登録されているそうですが、感染者本人が感染に気が付いていないケース、つまり潜在的な患者数を含めると、国内のhiv感染症の患者数は現在確認されている数の何倍にも膨れ上がるといわれています。この、感染に気が付かないというのがhiv感染症の恐ろしい特徴の1つであり、hiv感染症は、感染が起きてその初期症状としてインフルエンザのような症状が表れた後は、その後数年間は特に目立つような症状を示すことはなく、その間hivはひそかに免疫のシステムを破壊していくのです。
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hiv感染症というより、AIDSという病名の方が一般的かもしれませんが、このAIDSは、hivの感染が起きてから数年経って免疫システムが正しく機能しなくなってしまった状態になって初めて発症したとみなされます。そして、このhiv感染者とAIDS患者をどう区別するかというと、AIDS発症とみなされる場合は、厚生労働省によって定めれれているAIDSと診断する指標となる23種類の病気のどれかを発症していことがその条件となります。
以前、このhivは一度感染すると手の施しようのない難病でしたが、現在は医療技術の進歩によって、hivウイルスの増殖、働きを抑え、症状の進行を遅らせる治療が確立されています。未だにhiv感染症の完全な治療法は存在していませんが、症状の進行を遅らせることが出来るようになったのは非常に大きなことであり、それゆえに、hiv感染症は、どれだけ早く感染に気付けるかということが非常に大切です。このhiv感染症の症状の進行を遅らせる、つまり体内のhivの増殖を防ぐ療法は、AIDSを発症してしまった患者にもある程度は有効に働きますが、hivの感染初期から治療を開始するのと、AIDSを発症してから治療を始めるのとでは、言うまでもありませんがその効果には雲泥の差があります。もしAIDSを発症してしまった場合は、延命治療を行っても数年で亡くなってしまう方が多いそうです。
そのため、hivウイルスがもし感染してしまったときには、その感染に早く気付くことが出来るように、hivウイルスが感染した時の初期症状についてよく知っておくことが大切です。今回の記事では、このhiv感染症の概要や初期症状に加えて、その感染経路や感染率、また検査の方法などについて詳しくまとめていきたいと思います。
目次
知らない間に体がぼろぼろに…hivの恐ろしい特徴とは?

それではまずはじめにhiv感染症とはどのような病気なのか、またhivウイルスの特徴などについて詳しくまとめていきたいと思います。
hivは、主に性行為や、hiv感染者の血液などが傷口から入ることによって感染するウイルスであり、Tリンパ球や、マクロファージといった免役反応において非常に重要な働きをする細胞に感染して増殖を行います。
hivを野放しにしてしまい、このウイルスがどんどん増殖を繰り返し、逆に免疫細胞が減少していくと、最終的に免疫のシステムは正常に機能しなくなり、普段なら発症しないような様々な感染症にかかりやすくなります。そして、hiv感染者において、厚生労働省が定めている23個の病気のいずれかの発症が認められると、その方はAIDS患者とみなされます。
厚生労働省が定めているAIDSと診断する指標となる23の病気は次のものになります。
1:カンジダ症
2:クリプトコッカス症
3:ニューモシスチス肺炎
4:コクシジオイデス症
5:ヒストプラズマ症
6:クリプトスポリジウム症
7:トキソプラズマ脳症
8:イソスポラ症
9:非結核性抗酸菌症
10:化膿性細菌感染症
11:活動性結核
12:サルモネラ菌血症
13:サイトメガロウイルス感染症
14:単純ヘルペスウイルス感染症
15:進行性多巣性白質脳症
16:カポジ肉腫
17:原発性脳リンパ腫
18:非ホジキンリンパ腫
19:浸潤性子宮頸癌
20:反復性肺炎
21:リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
22:HIV脳症
23:HIV消耗症候群
どれもあまり聞いたことのないような病名ばかりですね。免疫のシステムが正常に機能していればこれらの病気を発症すること基本的にはありませんが、知らない間に免役のシステムがぼろぼろになってしまっているAIDSの患者はこの23個の病気を発症しやすくなってしまうのです。
この、知らない間に、ということが非常に怖いところであり、hivは、感染すると、初めに風インフルエンザに似たような初期症状を起こした後はその後数年間はひそかに体の中で増殖と免疫細胞の侵食を繰り返します。この自覚症状のない期間は人によって個人差があり、数年から10年以上に及ぶこともあるといわれています。この間特に治療を行わないと、この長い年月を経てAIDSと診断され、そこで初めて体がぼろぼろになっていたということに気が付くのです。
最初にも書きましたように、hiv感染症は、AIDSにまで発展してしまうとその後数年で亡くなってしまう可能性があります。こうならないためにも、hivの感染に早く気付けるよう誰もがhivの感染の初期症状について知っておくことが大切です。そこで、次にhiv感染症の初期症状についてまとめていきたいと思います。
空咳や発疹、知らないとなかなか気付かないhiv感染症の初期症状はこちら!

このhiv感染症の初期症状は、風邪やインフルエンザなどの一般的な感染症と非常によく似ており、知らないとその症状がhivの感染による初期症状であるとは気が付かない可能性が高いです。
現在、hiv感染症の初期症状として挙げられるものには、発熱、喉の痛み、筋肉痛や関節痛、空咳(乾いた咳)、リンパ節の膨張、頭痛、体重の減少、倦怠感、皮膚の発疹、夜間の冷や汗、口腔カンジダなどが挙げられます。これだけを見ると風邪などの感染症の初期症状と、症状が良く似ていますよね。
しかし、その中でも特に空咳(乾いた咳)や発疹の症状というのは、hiv感染症を見分けるうえで重要な症状です。もし、急激な発熱などに伴い、痰が絡まないような空咳の症状や、体のどこかに発疹の症状が表れ始めたら、hivが感染している可能性がありますので注意が必要です。
また、このhiv感染症が風邪などと勘違いしやすいのには、hivの感染が起きてから初期症状が出るまでの期間には人によって個人差があるということも挙げられます。具体的には、hivが感染してから空咳などの初期症状が表れるまでに一ヶ月以上かかる方もいるそうです。
しかし、もし性行為などを行ってから少し経った後に空咳や発疹などのhiv感染症の初期症状として挙げられるような症状が出始めたとしても、hiv感染症だからこそ表れる特異的な症状がない以上、最終的には検査を行わなければ本当に感染しているのかどうかはわかりません。
そのため、次にhiv感染症の検査について詳しく解説していきたいと思います。hivの検査においては、いつ検査を受けるのかが非常に重要になってきます。
hiv感染症の検査の仕方とは?

hivの検査では、hivが感染したことによって血液中に抗体ができているかどうか、すなわち抗体検査がまず1番初めに行われるのが一般的です。そして、この抗体検査の結果が陰性がった場合はそこで検査終了となりますが、陽性であった場合はさらに次の検査に移行します。
このhivの抗体検査は全国のほとんどの保健所において、匿名、無料で受けられるそうです。医療機関でも有料で検査を受けることが出来ます。もし、性行為のあとにhivの初期症状として挙げられるような症状が表れ、hivかどうか少しでも気になる場合は、必ず検査を受けるようにしましょう。
しかし、このhivの抗体検査においては1つ重要な注意点があります。それは、検査を受ける場合には、性行為をしてから3カ月以降に検査を受けた方が良いということです。
この3カ月という数字は絶対というわけではなく、人によっては抗体ができるまでの期間に個人差があり、最長で3カ月ほどかかるということでこのように期間を空けてから検査を受けることが勧められているそうです。しかし、検査機関によっては、90日や、12週間後と定めているところもあります。
もちろんその90日や、12週間の間に1度検査を受けてみても良いですし、そこで陽性と診断される可能性ももちろんありますが、実は感染しているのに陰性と診断されてしまう可能性もあります。この場合が1番怖いので、もし3カ月以内に1度検査を受けていても、最終的には3カ月たってからもう一度検査を受けた方が良いでしょう。3カ月たっても陰性であった場合は、間違いなくhivの感染は起きていません。この、陰性と判断されてしまうかもしない3カ月という期間はhiv感染症のウインドウ期間と呼ばれています。
しかし、性行為をしてから3カ月というのは非常に間が空いてしまい、その間もし初期症状のようなものが表れても、いったんその初期症状が落ち着いてしまうと大丈夫だろうと安心してしまって検査を受けないまま終わってしまう可能性もあるかもしれません。また、hiv感染症は先ほど挙げたような初期症状が表れないこともあります。そのため、普段からよく性行為などを行うという方は、定期的に検査を受けておいた方が良いでしょう。hiv感染症の検査について気になることがあったら、まずは近くの保健所などに相談してみてください。
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hiv感染症の感染経路や感染率とは?

次に、このhiv感染症はどのような感染経路で感染するのか、またその感染率はどのくらいなのかという情報についてまとめていきたいと思います。
hivの主な感染経路としては、性行為を行うことによる「性的感染」や、輸血、傷口からの血液の侵入、注射器の使いまわしによる「血液感染」そして、出産や授乳による「母子感染」の3つが挙げられます。では、この3つの感染経路における感染率はどのくらいなのか説明していきたいと思います。
感染経路1:性的感染
まずhiv感染症は性病としても知られているように、hivは性行為によって人から人へ感染します。しかし、hivを持っている人と性行為をすると必ずうつるわけではなく、むしろ性行為による感染率は1%未満とされています。
性行為においても、異性同士の性行為や、同性同士の性行為など、また違った感染経路が考えられるのですが、その中で1つの例を挙げますと、統計的なデータによると、避妊具(コンドーム)を使わなかった場合の性器同士の性行為においては、男性から女性側の感染率が0.1%、女性から男性側の感染率が0.05%となっています。
ちなみに唾液にはhivはほとんど含まれていませんので、キスなどによってhivが他の人へ移ることはないといわれています。性行為によってhivが感染するのは、精液や膣分泌液に含まれるhivによるものです。
感染経路2:血液感染
次に、血液が他人の体内に入る血液感染ですが、こちらの方がある意味では性的感染よりも感染率が高いです。注射器の回し打ちによる感染率は性行為と同じように1%未満とされていますが、輸血によって大量の血液が体に入ってしまった場合には、ほぼ間違いなくhivが感染してしまうそうです。
輸血によってhivを感染するなんてそんなことあるのかと感じる方もいるかもしれませんが、インドでは2014年の初めころから約1年半の間に、輸血によって新たに2000人以上のhiv感染者が確認されているそうです。
日本では輸血に使われる血液の検査を行っているためこのようなケースはほとんどありませんが、2013年にはhiv感染者の献血した血液が、日本赤十字社の安全検査をすり抜けてしまい、実際に献血に使われてしまったそうで、献血をされた60代の男性ではhivの感染が認められたそうです。これはもう気を付けようがありませんね。
感染経路3:母子感染
感染経路3つ目は母子感染です。母子感染では、母親がhiv感染症の場合に、出産や授乳などによって感染する可能性があります。
妊娠している場合はほぼ間違いなくhivの検査をしますので、もし検査で母親がhiv感染症と分かった場合、適切な処置の上で出産を行えば子供の感染率は1%未満に抑えられるそうです。しかし、特に何の治療も行わないでhiv感染症の母親が子供を出産した場合、産道を通るときの感染率は20~30%にもなるといわれています。
授乳による子供への感染に関する数値的なデータはありませんが、hiv感染症の場合は母乳にもhivが含まれていることは確認されています。子供はただでさえ免疫が未発達ですから、生まれて間もない赤ちゃんがhiv感染症の方の母乳を飲んでしまったときに感染してしまうことは十分にあり得るでしょう。
しかし、現在は妊婦健診においてほとんど間違いなくhiv感染症を含む感染症の検査をしますので、母子感染による感染率は、つまるところhiv感染者と分かったうえで出産する場合の1%未満ということが言えるでしょう。
以上がhivの主な感染経路と感染率に関する詳細ですが、結局のところhivは感染するときは感染しますし、感染しない時はしません。圧倒的に感染しないことの方が多いのですが、するときは1度の性行為でも感染してしまいます。
そのため、もし自分がhivに感染しているかも、と少しでも思うのであれば迷わず検査をした方が良いでしょう。
早期発見が何よりも大切!現在のhiv感染症の治療法とは?

現在hiv感染症の患者に行われる治療法はHAART療法と呼ばれるもので、これは抗hiv効果のある薬を3種類以上同時に使うことによってウイルスの増殖を防ぎ、症状の進行を遅らせる治療法です。hivは1つの薬剤による治療ではすぐに耐性菌に変異してしまうため、このようにいくつかの薬剤を組み合わせて、どれかの薬に耐性を持ったウイルスに変異をしても、また別の薬による効果によって増殖を制御できるようにするのです。
この治療法では体内のhivをすべて排除することはできないのですが、ウイルスの増殖機能を著しく低下させることが出来るため、この治療を行えば長期にわたって健康な方と変わらない日常生活を送ることが出来ます。
hiv感染症は未だに完全に治すのが難しい難病ですが、このHAART療法は、AIDSが確認された1980年代初期の治療法に比べると格段に進歩した治療法です。その証拠に、現在hiv感染症の患者は増えていますが、それに比べるとAIDSの患者の増加率は非常に緩やかになっています。つまり、hiv感染症になっても、AIDSにまで発展してしまう方は非常に少なくなったのです。
しかし、最初にも書きましたように、このHAART療法は、hiv感染症の初期に開始するのと、AIDSを発症してから開始するのとでは、得られる効果には天と地ほどの差があります。hiv感染症は何よりも早期発見が大事ですので、もしhiv感染症の初期症状のような症状が表れ、感染しているか気になる方は、迷わず一度hiv感染症の検査をしてみた方がよいでしょう。
hivウイルスの撲滅に成功したって本当?英国で世界初の快挙達成!

しかし、2016年の10月に驚くべきニュースが報じられました。なんと、イギリスの5つの大学の共同研究チームが、世界で初めて血液中からhivの排除に成功したというのです。
話によると、このチームは50人のhiv感染症の患者を対象に治療法の研究を行っていたそうなのですが、そのうち44歳の男性において血液中のhivウイルスを完全に排除することに成功したそうです。
もしこのまま研究が進めば、hiv感染症が治る病気になる日も近いかもしれません。
まとめ

今回の記事では、hiv感染症の概要や初期症状、その他検査の方法や感染経路、感染率、そしてこの病気の治療法などに関する情報についてまとめました。
hivの初期症状はインフルエンザによく似ているといわれるのですが、空咳や皮膚の発疹などが表れたらこの病気を疑った方が良いかもしれません。hiv感染症は感染してからすぐに初期症状が表れるわけではなく、感染したと思われる日から1か月以上経ってから初期症状が表れる場合もありますので、特に初期症状が表れた直前に感染したと思われる行為がなかったとしても安心してはいけません。
また、このhiv感染症は、人によってはこのような初期症状が表れないこともあるそうです。そのため、少しでも気になるようであれば、1度検査をしてみた方が良いでしょう。
また初期症状があっても、いったんその症状が落ち着いてしまうと、その後は特に表面的な症状はなくても、体の中では確実に症状が進行していきます。後であの時検査をしておけば良かったと後悔しないためにも、是非しっかりと危機感を持って、少しでも不安があるなら検査をしてみてください。
今回の記事の内容以上になりますが、以下の記事の中で気になるものがありましたら、是非ご覧になってみてください。
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今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。(^^)
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